↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リベル・オブ・ゴット  作者: タルタル
意思――世界編
PR
20/21

18話 宝物は普通の日

私に「また明日」と約束を交わせたことはあるだろうか。物心ついても、記憶は簡単に忘れる。

ある程度の記憶が保持できる年齢から、私はその約束が果たせたのか。


分からない。人は死にゆくものだとして、寿命や病気で亡くなるのは、そこまで通った道があるから果たせたと私は思う。けど、その前に死んでいった人の約束はどうなるのだろうか。


そこまで考えること自体が、その約束を交わした人を無下にするようで。私と関わっている人間は、大体死んでいる。私の両親、おそらく亡くなっている幼馴染。


……おじさんも。

結局死ぬ運命は変わらない。だけど、死にざまが私にとって重要だ。

大人になって疎遠になったりすることはザラにある。ただ、それを経験せず、周りが死んでいくのは孤独だ。私だっていずれ死ぬ。


だけど、こんなのってないと思う。周りが全員生きれる年齢なのに死ぬなんて、そんなのあんまりだよ。


❊ ❊ ❊


「……」


「今から実技試験を始める」


話しているのは、私を担当した面接官だ。

周りはざわついており、いかにも余裕そうな雰囲気だ。


「全員で俺を倒しに来い。それが、実技試験だ」

「随分と余裕じゃないか?ボコしてやんよ」

「……」


面接官はいきり散らかしていた相手にに手刀を当てた。そして、すぐに手刀をしまった。そのことに誰も気づいてない。実践なら、相手はもう死んでいる。


「来い」

「行くぜぇ!」


周りが一斉に攻撃を始める。遠距離要員やら、中距離、近距離の三種類に分けられた。


「終わりだよ!」


一斉に魔法、弓矢が飛ぶ。ただ、そのころにはもう、近距離部隊は気絶していた。


おそらく、始まった瞬間に全員を蹴りや手刀で気絶させてた。遠距離や中距離は前衛がいるから成り立つ戦術であり、もう無力だ。


開始から3分もたっていないだろうか。もう私以外残っていない。


「来ないのか。いい判断じゃないか」

「邪魔でしたから」

「まぁ君の実力なら俺を殺すのも容易だろ?」

「技術と経験だと圧倒的に足りていないので、私があなたを殺すのは不可能でしょう」

「よくわかってるじゃないか」


会話が途切れた瞬間、それは超高速の剣技の応酬。


経験から成り立つ面接官の攻撃は、私の隙を完全に暴いている。逆も然り、私の才能はおそらく面接官の才能を凌駕している。ただ、やはり対格差、経験なのでは完全に負けている。


しかも面接官は剣をあまり得意としていない。剣技が成り立っているのか分からないくらい下手だ。

ただ、それでも食われる。


というより早すぎる。私より何倍も速い。ただ、大振りなおかげで助かっているだけだ。

面接官が多少剣技を扱えたなら、私は負けている。


「ふーん。そろそろ本気出していい?」

「別にいいですけど、こちらも怒りを振るう剣(コスモス)があるので」

「そっか……いいんだね?」


すこしばかり会話が止まる。


「神器、解放。狂うような重さの斧(アルケビオン)」

「すごい力ですね、まるであなたがその重さに乗っ取られているように。怒りを振るう剣(コスモス)、来て」


❊ ❊ ❊


「あーあ、抜かれちゃった」


❊ ❊ ❊


戦闘は第二段階に移行した。


私の技量は面接官にはかなわない。ただ、才能と感覚だけで上回ってやる。

面接官の一撃は重い。衝撃や威力を剣を斜めにして相殺しているが、それでも足りない。そして早い。面接官は重量感がありそうな斧を振りかぶるはずなのに隙がなく、私の剣技と同じくらいの回転率だ。


「君は怠惰だな。俺よりも才能があるくせして努力を怠るなど理解ができない」

「私は戦いとは無縁だったんですよ。非力で弱い女性なんですよ」

「そんなことはどうでもいい」


目つきが変わった。私はその冷徹なる瞳に絶望……何もかも諦めている感じがした。


「俺はこの10年で失ったものが多すぎた。自分の力が増大したところで意味がなくなってしまった」

「だからなんですか」

「君には後悔してほしくない。これは俺の願いであり、強欲なものだ」

「……」


「これで終いだ。――崩万(ほうま)」


私は面接官の武器の柄で剣を弾かれ、高速の二段攻撃で、負けた。


「私の負けですね」

「いや、俺が負けただろうな」

「どういう――」

「そのうち分かる」


そのうち分かるといわれても、分からないものは分からない。人の心なんてわかりやしないのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。