17話 私は生きている
:カール視点:
あれから十年という歳月が流れた。
同期は1500人中1300人以上が死んだ。そして、ベートも依然神の憑代のままだ。
天使は確かに数は減っただろう。だが、神がいつ次の天使を作るか分からない。
絶望は終わってない。
俺はまだぴちぴちの25だ。同時に歴戦の戦士となった。
長官はまだまだ現役バリバリだ。あの人45歳超えたというのに……。
さて、今日は新規生、ここに来る子の面談と言えばいいか。
俺は個室に移動した。
………
……
…
「失礼します」
「どうも」
少し無言ののち、しゃべりだす。
「なぜこちらに」
「あ……親が天使に殺されて……それで」
「そうか。それはどうにもできない事実だが、それをどう受け止めた?」
「心が痛かったです」
「敬語はやめてくれ。いずれ俺より活躍する時が来るのだからな。話してくれ」
新規生に一筋の涙が頬を伝る。
「それで、辛かったけど、それでもどうにかこうにか抗うために、ここに来ました」
「修練はきついぞ。それでもやるというのなら、とめはしない」
「……はい」
「合格だ」
俺は部屋に案内する。
「ここが修練場だ。それと」
俺は彼を待機室に案内し、自分の部屋番号を教え、兵装、それから入教証を渡した。
「とりあえずここで待機でいいぞ」
「はい」
個室に戻る。
(自分の時も、こんな感じだったな)
「次の方」
ノックされる。
次の瞬間、途轍もない憎悪と、怒りをあらわにした子が現れた。
「名前は?」
「アテーネです」
「なぜここに」
「……まず、聖霊信仰が異端と扱われ、戦禍に私たち家族は巻き込まれました。両親は死にました」
「それで?」
「そのあと、戦禍に見舞われた大人と一緒にくらしました。それも十年。だけど、突然天使に襲われて、死にました」
「――ッ」
「天使はどうした?」
「殺したらしいですね。私も記憶がないので」
怒りだ。静かな怒りではない。ずっと燃焼し続ける怒りだ。
「だから、私みたいな人を減らすためにここに来たんです。それが理由です。私は生きさせるという傲慢さを行うけど、親を亡くした子が、生きた証を残すために子供を残したのなら、それは救わなければならない存在だと私は思っています。だから押しつけでも、守りたい」
「いいだろう。君はあの場所に行かせよう」
「……?」
「ついてこい」
「分かりました」
俺は秘密の場所に案内する。
「ここは?」
「ここは死の場所――メルテルス・マイガンだ」
「メルテルス・マイガン?」
「お前なら抜けるかもしれねぇ」
秘密の場所、その縁側を開ける。
そこには梯子がある。
「下れ」
「はい」
下る。どんどん地下に降りる。反響が大きくなる。
下った先には。
「広いですね」
「ああ、そうだな」
純粋な感想を抱けるのはここまでだ。あとは、憎悪と、行き過ぎた怒りだ。
無。
「アッ」
「気づいたか?」
中央には台座があり、一振りの剣が眠っている。
それは――
「怒りを振るう剣。これは誰にも抜けない一振りだ」
「怒りというより静寂な怒りといったところでしょうか」
「知らん」
❊ ❊ ❊
私の目の前に剣がある。
君はきっと、怒りから同調しようとしたけど、怒りが少し強すぎた。
でも、私が振るってあげる。その怒りをもらってあげる。
だから、力を貸せ。
私は力強く剣の柄を握り、引き抜いた。
「抜けた」
あっさりだった。
不敵な笑みを浮かべている面接官。
『君は死神だ』
なんだ?幻聴か?分からないが、力を貸してくれということはわかった。
君と私自身のために、力を振るうことを誓おう。
君はまだ、怒りを抑えられないようだね。私はもう絶望しているけど、私の怒りをすべて奪うのか?
それは分からないけど、君に力を託そう。




