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リベル・オブ・ゴット  作者: タルタル
意思――世界編
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18/21

16話 笑っていてほしかったんだ

「なぁアテーネ」

「なに?」

「ここの暮らしは楽しいか?」

「うーん、両親が死んじゃったのは悲しいけど、おじさんと暮らせるのは楽しいよ?」

「そっか」


薪を割る。魚を釣る。イノシシを狩る。

アテーネとやったことが、全て新鮮で楽しかった。


もうあの戦禍から10年か……。


アテーネは17歳か……。なにか考え深いものがある。自分は一度も子供を育てたことは無かったけど、それでも楽しかった。苦労することもあったけど、それ以上に楽しい思い出が造られた。


「……」


あの時、小屋を見つけた。崩れかけていたが、板を張り替えるだけで済んだだけだったからよかったよ。

この家も愛着深い。


「そろそろ何処かに行かないか?」

「何処って?」


考える。


「……アテーネはどこかに行ったことがあるか?」

「ほかの国に行ったことは無いし、家の周りだけだったかな?両親たちは旅行を計画してたけど、侯爵?だっけ。殺されてから国に渡ることを禁じられたからね」

「……いいんだぞ、ほかの国に渡っても」

「正直言っておじさんを置いていけないよ。もう40超えてるんだから」

「もう老人扱いか?」


アテーネは頬を膨らませる。若干怒っているようだ。なぜ?


「あと10年すぎないで初老を超えるんだから、足腰悪くなったら飢えるかもよ?」

「違いねぇ」


他愛ない時間。これが永遠に続けばいいと思うのに。


――いつも突然、不幸はやってくる。


「おじさん!」


あれはまさか、――天。


意識を失った。


❊ ❊ ❊


おじさんの首が撥ねられた。なんで突然こんなことになるのだろう。私には分からない。

不幸を忘れていた。


バチが当たったのだ。それでも、許せない。


「……おじさんを返せ」

「しゃぁぁッ」


天使は唸り声を出す。唾液はボタボタ垂れる。気持ち悪い、けれどそれ以上に――怒りだ。


「私の不幸を肯定するやつなんて死んでしまえばいいんだ」


私は吐き捨てる。怒りに身を任せる。こんなやつなんて死ねばいいのに。


❊ ❊ ❊


気づいたら、天使の肉体はばらばらだった。


気持ち悪い……それ以上におじさん!


「そっか。死んじゃったんだ」


私は地面を掘っておじさんを埋めた。

祈ることしかできない。私はなんて無力だったのだろうか。私は守られてばっかりだった。

でも、結局一人なんだ……。


神様ってひどいね。そもそも天使を生み出したのが神なのだから、嫌いだよ。神も。


そっか、だから異端宗教として聖霊信仰は。


孤独を私は取った。どうして私から大切なものを奪うんだ。なんで人を襲うんだ。食べるならわかる。当然の摂理だ。私たちが危害を加え、人間を殺すのは仕方ないと思う。けど、何もしていないのに……。


そっか、神を殺せばこれから先、子供を襲う天使が出てくるかもしれない。

私と同じ未来を辿ってほしくない。

私は傲慢だ。そんな勝手に押し付けるなんて。でも、おじさんが言っていた。私が生まれているのは「証」なのだと。


それが痛いと私自身感じているし、庇っても庇いきれないことなんてしょうがないと思う。


それでも……。

押し付けだけど。守ろうと決めた。


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