19話 神代
クソほど英語が拙いです、てか崩してます。
私はあの面接官――カール大佐に負けた。
「しかしすごいね、あなたは」
「えっ?」
私が住んでいるのはこの教会の住み込み部屋。部屋は2人で分けられる形であり、まあそこそこの広さである。もちろん同性と暮らす。
「あの面接官、うんとカール大佐だっけ?それを相手にできるなんてさ」
私と半同居しているのは、リィンという子である。私より一つ年下で16歳だ。
「ただ、また戦場には出れないんだね」
「そうだね。ただ合格したっていろいろな座学とか教え込まれんでしょうね」
リィンはすこし顔を歪める。
「えっ、やだよ座学なんて」
「それは同感だけど、それ以上に頭がちとよくなくても戦場にでれてある程度の判断できればあんま問題ないし、天使の弱点とか、大体どういう攻撃を仕掛けてくるのかを教えられたら大丈夫でしょ、座学は」
「へぇー。できるか心配なんだよ、私は」
手で髪を遊びながら、笑う。
「何笑ってんのぉ!」
「いや別に、ハハハ、アㇵッ」
リィンは頬を膨らませる。可愛い仕草でまた笑ってしまう。
「なんかさ、アテーネは達観しているよね。人と違うっていうか」
「私が?まあ親がいなくなって10年だし、育てていたおじさんも一年前に天使に殺されているわけだし、そりゃ達観もするかもね」
「なんかごめん……」
だが、手を掲げながらリィンはこんなことを言った。
「でも、それが憎しみとなって自分を動かす糧になるかもしれないけど、自分が家族に対して顔向けできなくなるね」
私は何を言っているかわからなかった。家族なんて結局離れるのだから意味がないのではないかと思ってしまった。人は死ぬし、顔向けができないとか関係ないと思う。自分が選択した道なのだから、きっと家族も応援してくれるはずだから、そう信じているから。
「顔向けできないとは思わないよ、私が進んだ道だから」
「そっか、人によって考えは違うからね」
リィンの目がすこし暗くなった気がした。
❊ ❊ ❊
――聖域内
「聖域内も天使が消えたよな、カール」
「ええ、俺らがほぼ掃討してしまったのでしょう。だが熾天使やら智天使あたりはおそらくまだいるでしょうし、なにより神からベートを取り戻せていません」
「まあねぇ、ベートが鍵になってるのに神に取り込まれてるってどういうことなんだが」
「ええ、それが謎です。確か神はベートを究極の肉体と言っていました。そして憑代とも。ただ憑代に究極の肉体が必要ということだが、それって人間ではだめなのでしょうか」
「おそらく神に対しての力が耐えれない、ということだろう。でも人間がだめということはベートはなんだ?」
「わからないです。ただ、一般的な人間ではないはず」
「……お前、ベートの親見たことあるか!」
「無いですけど…」
長官の目が絶望の色へと変わる。顔色は悪くなり、拳で大岩を壊す。
「チッ、やられた可能性がある」
「どういうことですか?」
「いや、憶測だが――」
長官は話始めた。
「親がいないというのを前提で話す」
「はい」
「その育った場所で親を見ないなんて考えられるのか?」
「――確かに、あそこは長閑な場所で、小さな村でした。それなのに見ないなんて」
一段と顔色が悪くなる。
「つまり何者かにベートは置かれたか、造られた可能性がある」
「なるほど、でもなぜ封印という能力が備わっているのかが謎ですね」
「ああ、だな」
聖域を走りながら、会話を続ける。多少雑音があるが、気にしない。
「しかし天使は何処に行ったのでしょうか…」
「多少気配は残ってる。索敵は不可能だが」
しばし無言が続く。
口を開いたのは長官だった。
「俺らは何に向かって走り続けているんだ…?」
「神を殺すだけです」
「だが、現状は10年たった。情報がキネルテルからしか流れてこない。それで、俺らが死んだあとも仲間は足掻くのか?違うだろ、次第に諦めていくんだ。怒りは年齢を重ねれば重ねるほど、神を殺すという執着が、俺にはなくなってきた。しばらく、あと数十年たてばこの組織は自然に瓦解するさ、何かが起きない限り」
「……今日、この教会においての最高戦力は、『今期』です。それすなわち、此処で勝てないなら詰みです。勝てない以前の問題として、神が今どこにいるかすら分からない。この現状が続いている以上、足掻こうとしても無駄なのかもしれませんね」
「所詮は無駄足さ、人生なんてそんなもんだろ」
「長官はもうすぐ前線には出れないでしょう?」
「老い、か。まだまだ現役でやるつもりだが。あと10年すれば引退だろうな」
長官は苦笑する。なんだか誇らしい顔をしているが、終わっていないのだが。
きっといつか誰が殺せると信じて、進み続けている。
――終わりがあると信じて。
❊ ❊ ❊
また、目を開ける。その動作が億劫であり、体が気怠くなる。
「何年時がたったのだろうか」
何もない空間、そもそも空間なのかすら怪しい、永遠に続く上下左右の在処が分からない「そこ」に立っている。立つというのもおかしいのかもしれない。
少し歩くことにした。このままでは歩く感覚すら失ってしまいそうで、自分が何なのかが分からなくなったから。
何分何時間何日、歩き続けたのだろうか。永遠に続く空間の中で、目立つものを見つけた。
何もない空間、虚空だと思っていたのに…。
それは、真っ黒い球体で、俺も体より一回り大きい。
「なんだろうか」
ひとまず触れてみることにした。
このまま永遠に閉じ込められるのか、自分の好奇心で自分を蝕むのか、どちらを選ぶと言ったら、俺は後者だろう。あり続けたいからだ。誰かに一生残ってほしい。だから、触れてみることにした。
球体は柔らかく、すべてを労うようにして、飲み込んでいった。
「――」
「――あ」
「ぃッぁぁっ」
「ーい^いあはー」
…。…。…。…。……。………。
my body in the god. …So cry more. god die.
I miss you.
Open the lid of your memory.
From the me that lurks within me.
come her.
Love her.
No.
Listen up.
If you don't love her, you'll die.
Got it?
I won't be controlled by my desires.
So? What of it?
A good-for-nothing who can’t even kill God, a heartbreaker.
That's you.
This is advice from the me closest to myself. Get out of here quickly, love her. Kill God. No, seal him. That's all your job is.
Who the hell are you?!
I am you, and you are me.
That's it.
Get out quickly, your heart is craving it, you want to leave soon. Give yourself some desire. Then I'll tell you. About a world you don't know, and about your past life.
OK.
Finally, I got the okay...
Thanks for responding to the silent call. But it's almost time... You will be set free, and die. Just a little longer, and it will be us soon. I want you to understand that this isn't according to human values.
what?
I get why you'd say 'why.' You're going to die. But you can be proud that you lived a good life. In the end, you'll get to see 'that guy.' So yeah, don't worry. You had a good life. And your life will be remembered by future generations. That’s something to feel happy about. The only bummer is that it’s just a few more decades. Everyone’s going to be sad.
oh.
So, why are you here?
How should I know? The only explanation is that it was here from the start. Even if we gods die, we get integrated into the world. Well, I guess it’s fine to say I died and ended up here too.
Is that so?
It's probably just a guess, so don't take it as certain.
foaofnaofenheofnaifnaofjdaofhnaofdjakdanjaklfafaknfja who?
Never let her go through something like this again. Someday, I’ll save you. I’m sure of it, that’s just how it is. And love. It’s hard to explain why, but you’re craving something. Even desire is like a god. To me, it seems like you have no emotions at all. That’s why you need something, something to support you. Even a bridge has a beam that holds it up. It’s the same. You need to satisfy your desires.
You will have to kill people. Seven hundred thousand. No, even more. But it's all for God. But you have a mission. To 'kill' God. For that reason, you will commit 'mass slaughter.' All for the sake of all the children who will be born afterward, and for your comrades! But why did I kill them? That's all I can think. Are you going to massacre the lives that were there!? For you, your child, your children afterward, and your most precious companions? It's laughable—you're a scumbag as a human being, and as the 'worst person' admired, you're called a 'hero who died for children.' Apparently, you don't mind massacring people for that purpose. That's what I hate to me. I hate it deeply. I hate it unbearably. But if it's for the sake of the children... I'm just being forced on... In this dark, dark life, you're the one walking the path. Not me. Do your best.
『Goodbye
See you in 17 years』
始まりは終わりだった。すべてだった。なにがこうとか、未来がどうとか、分からない。ただそこにあるべき存在ようだ…。
英語日本語訳
我が肉体は神の内にあり。
……だからもっと泣け。神は死ぬ。
お前が恋しい。
記憶の蓋を開けろ。
俺の中に潜む、俺の中から。
ここへ来い。
彼女を愛せ。
嫌だ。
よく聞け。
彼女を愛さないなら、お前は死ぬ。
分かったか?
俺は欲望になんか支配されない。
だから? それがどうした。
神を殺すことすらできない役立たず、薄情者。
それがお前だ。
これは、自分に最も近い俺からの忠告だ。ここから早く失せろ。彼女を愛せ。神を殺せ。いや、封印しろ。お前の仕事はそれだけだ。
お前は一体、誰なんだ!?
俺はお前、お前は俺だ。
ただそれだけのこと。
早く出ろ、お前の心は渇望している。すぐにでも去りたがっている。自分に欲望を許してやれ。そうすれば教えてやる。お前の知らない世界のこと、そして、お前の前世について。
分かった。
やっと、許可が下りたな……。
音のない呼びかけに応えてくれて感謝する。だが、もう時間だ……。お前は解き放たれ、そして死ぬ。あと少しだ。もうすぐ俺たちになる。これが人間の価値観とは違うってことを、分かってほしい。
なんだって?
「なぜ」と言いたくなる気持ちは分かる。お前は死ぬんだからな。だが、良い人生を送れたと誇っていい。最後には「あいつ」に会えるんだ。だからそう、心配するな。お前は良い人生を送った。お前の生は後世に語り継がれる。それは喜ばしいことだ。唯一の心残りは、あと数十年しかないってことくらいだ。みんな悲しむだろう。
そうか。
それで、お前はなぜここにいるんだ?
知るかよ。最初からここにいたとしか説明がつかない。俺たち神は死んでも、世界に溶け込む。まあ、俺も死んでここに辿り着いたと言ってもいいだろうな。
そうなのか?
どうせただの推測だ。真に受けるなよ。
彼女に二度とこんな思いをさせるな。いつか、俺がお前を救ってやる。絶対にだ。そういう決まりなんだ。そして、愛だ。理由はうまく説明できないが、お前は何かを渇望している。欲望すらも神のようなものだ。俺から見れば、お前には感情がまるでないように思える。だからこそ何か、お前を支えるものが必要なんだ。橋にだってそれを支える梁があるだろう。それと同じだ。お前は自分の欲望を満たさなきゃならない。
お前は大きな犠牲を伴う選択をすることになる。多くの命を背負うことになるだろう。だがすべては神のため。お前には使命がある。神と対峙するために、お前は大きな戦いに身を投じる。すべては、その後に生まれてくるすべての子供たちのため、そしてお前の仲間のためだ!
……だが、なぜ俺がそんなことをしなければならないんだ? そればかりが頭をよぎる。そこにいた命を、お前は奪うというのか!? お前のために、お前の子のために、その後の子供たち、引いては最も大切な仲間たちのために? 笑わせるな——お前は人間としては罪深い存在として恐れられながら、「子供たちのために尽くした英雄」と呼ばれるんだ。どうやらお前は、その目的のためならいかなる手段も厭わないらしい。そんな自分が大嫌いだ。心の底から憎い。耐え難いほどに嫌悪している。だが、もしそれが子供たちのためなら……。俺はただ、押し付けられているだけだ……。この暗い、暗い人生で、道を歩んでいるのはお前だ。俺じゃない。せいぜい、足掻いてみろ。




