1話 不法侵入――聖域
目を開ければ、そこは「聖域」だった。
「全兵、『聖域』に行け、散らばれぇ!」
聖域とは何か。――神が形成する領域であり、空間と空間を仕切る板のようなもの。
そして、またの名を『死の腐廻』と呼ばれる。
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俺はいったんカールを探しに行こうと決めた。
まぁ、すぐに土壇場であってしまった。
「よう、相棒」
「おう」
「とりあえずだが、一緒にやろうじゃないか」
「ま、その方が士気が上がるってものよ」
薄ら笑みを浮かべるカール。
その言葉に、ちょっと嬉しくなった。
「ま、ともかく天使を殺さなければな」
「ああ」
聖域内部はとても広い。
内側から見れば、光が差し込む帳のように思える。
………
……
…
天使には階級がある。下から――天使、大天使、能天使、力天使、権天使、座天使、智天使、熾天使である。
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歩いていれば、天使に出会う。
「侵入者かぁ」
滴る唾液?それがぽたぽたと落ちる。
顔が異形の形で、御伽話の腐肉者のようだ。
不自然に顔に傷があり、腐った匂いがする。
「なぁカール。これが天使だと?まるで悪魔じゃないか」
「もはや悪魔より恐ろしい」
あの天使はただの天使。階級だと一番下に分類されるだろうが、一番下でこの異形なのか?
上の階級はどうなってやがる。
――恐怖。
その言葉が全てを支配する。
「いくぜぇ」
天使は小さくも大きくもない翼を広げ、体を細め、突進してくる。
手にはいつ持っていたかもわからない光の槍のようなものを所持し、突っ込んできた。
唾液をだらだらと垂らしながら、突進してくる。
「やばいぞ!」
「わかってるって!」
反神霊大型斧をカールは構え、飛ぶ。
俺もすかさず、反神霊剣を抜きながら、飛ぶ。
「避けんじゃねぇ!虫けらぁッ!」
「虫けらはお前の台紙じゃねぇよっ」
天使は光の槍を投げて、目くらましをしてきたが変わらない。
カールは重量級の覇者だから。
「ギャァッ――ッ」
カールは天使の首元を反神霊大型斧で切断していた。
最後に、天使は言葉にならない悲鳴を上げ、絶命した。
首元は蒼色の血を噴水のように噴き出していた。
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「あらあら、可愛い子がいるものね」
「俺らと同じ血筋が」
「いるな」
枯れ葉が落ちる一瞬まで、『やつ』を見ている――
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「ちょっと進んだだけでこれだ。まったく精神神経症になるわ」
「ほんとだよベート。進んだらわけわからん死体や、身体の一部が欠損している死体ばっかりだし」
踏めば血がにじみ出る世界。
これが、『死の腐廻』か。
「ベートッ!」
「!」
「シャァッ」
危ねぇ。今忠告がなかったら俺は今頃、首と胴体が離されていただろう。
「チッ!」
「何舌打ちうってんだよ。俺の相棒が殺されかけたじゃなぇーか」
「貴様らがこの巣窟にはまってんだろネズミども」
「なんだと?」
「冷静になれ、カール」
俺はカールのデコに、デコピンを打った。
「分かったよ相棒」
「わかってくれたようでなによりだが、こいつ普通の天使より気配がちっとばかしやばいね」
「少なく見積もっても、能天使くらいはありそうだな」
そう、此奴は異常なまでの殺気と知性を併せ持っている。
故に、油断したら……。
――死ぬ――




