14話 神へ依存する烏合の衆
私は聖霊教会の修道女だ。私は神を信仰している。
宗教――教えは人間たちが作ったものでも、神は存在すると信じて。
私は16年も……その教えに従ってしまった。
今、その信念は揺らいでいる。無論神がそんなことをするわけがないという、自分の固定概念。
今、現実に起こっていること。それが、あまりにも違いすぎるのだ。
神が生み出した天使は、人を殺している。天使は悪魔を祓い、掃討する。
それが人間が作り出した聖典の教え。
人間と神というのは思考が違いすぎるのかもしれない。私たちがすこしばかり傍若無人にふるまってしまったから、神は怒った。
そういう考えを持つ人もいる。けれど、人間を殺す神なんて……信仰できるわけがない。
神に依存する人たち、要は他責思考な人はこの世に何千万といる。
でも、依存させたのは宗教を説いた人なはずで?
でも従っているのは人間だ。自分自身なのだ。それが、その開祖である人にまで他責するということなのか。神に私たちは依存しているのだ。飴が、舐めても舐めても溶けないように。
………
……
…
聖典の外伝プレ・アルタにはこう書かれていた。
――終わりはない。
神の言葉を真に理解しえなかった。現状が、それを物語っている。
終わりはないという言葉、その真意は――
『思考を放棄しろ』
……何を考えていたのだろうか、虚空を見つめて。さて、業務に戻ろうか。
❊ ❊ ❊
また一人、一人と朕の考えは失われていく。人間には神は複数いるなんて考えなかったのだろうか。
朕の考えの真意を教えた人物は、もうこの世界には存在していない。正確に言えば存在はしているものの、教え自体を放棄している奴が一名いるという話だ。
故に、この朕の真意を知る人物など存在しないのだ。
――滅ぼしたくなった。
疑似顕現ができる天使の神――堕天神はそう考えている。
朕は堕天神の思考を読み解くことができるからだ。
神という名のもとで、人類を虐殺する。人をなぜ殺すかまではわからない。
なぜなら、朕は浅い思考は読めても、完全なる真意を読み解くなど朕でさえ不可能なのだ。
不確定要素は全生物に適応される以上、どのような行動原理で動いているなんて説明がつかないのだ。
――朕にはわからない。
思考をすることに、終わりはない。
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私は真意なんてわからない。
神は問いていたはずだ。人間とは、生物とは何か。
究極的に存在する一として。宇宙開闢のなかから選ばれた存在が人間なのだと聖典には書いてあった。が、実情は生物が存在し、人間はいずれ死にゆくものとして作られた。
全生物適応されている究極真理。
「……そこに置いて」
私は花瓶を棚に置く。思考ということをしなければ、人間は発達しない。
花瓶には花が添えてあった。オレンジと黄色の百合が。
人間に意思など、もう残っていない。




