13話 永思騫兮
朕は永く生き過ぎてしまった。
朕は世界創造の時、宇宙開闢からこの世界を創生し、生と死というサイクルを与えた。
そして、朕の赴く儘、世界というものを安定と繁栄を促すため、七人の神を生み出した。
一人は豊穣。一人は意思。一人は時。一人は傲慢。一人は呪。一人は恐怖。一人は天使。
……天使には特別な力を与えた。それは朕の力を行使することにより、疑似顕現を行えるということにある。
故に朕が一時的に眠りについたとて、彼は疑似的だが朕を顕現させることで世界を保つ役割を与えたはずだった。
不幸は突然やってきた。幾億年前、黄昏戦争が起こった。
天使の神は叛逆した。そして朕の生み出した神の半分は戦死……というより世界と一体化した。
朕と朕が戦うという最悪な状況に陥り、確かに朕、本物のほうが実力は上だったが、不意を突かれた。
天界は荒れた。朕でなければ他にも死んでいただろう。
………
……
…
彼――天使の神は堕天神という汚名と共に消え去った。
朕は数万年ほど眠った。朕は些細な時間だったが、どうやら七人の神、もとい六人の神の半分は世界と一体化し、精神世界から会話でき、ほかの三人の神は心配しているそうだと教えてくれた。
朕の教え子的存在で、まるで朕の息子とでも言おうか。それどころか朕はすべての一。
始まりの原初なのだ。
遍くすべての世界、そのサイクルは朕が作り、繁栄する。それが美しいはずだ。
神話ができ、教ができる。無論朕が神である教え――宗教はあるが、一部である。
それはどうでもよかった。干渉できなくともそれは別に些細な事。朕にとっては争うということでさえ可愛く見えた。
順調な発達。別々に世界は分岐していった。一つの世界は能力なんてなく、科学に頼る文明。
見ていて飽きない。人間はすばらしい。
ふと目を逸らした。その世界は……。
堕天神がいた。なぜそんなところにいるのだろうか?朕の眠る直前に、朕は絶望の領域、黙示録の彼方という世界に送ったはずだ。なのになぜ、人の世に存在する?
朕という全なる一に抗うということ自体に問題があった。仮にも「神」という存在なのにもかかわらず。
朕は憤慨した。だが、干渉ができないのだ。その世界に干渉しようにも失敗する。
朕が作り、理を作ったのにもかかわらずだ。
何か異質……。
歯車は、どこで狂った?
朕にはわからない。
まさか、いやそんなことあるわけない。
その世界にベートという肉体が意思を持って転生したとすれば?
………
……
…
それは封印という八人目の「疑神」である。
疑似的神。超常の前では無力な神。ただ封殺することを目的とした。
それがベートという肉体であり、「疑神」なのだ。
そうか、堕天神はその気配で飛んだのか。なるほど、あれは介入できないから、な。
朕でさえ。
朕は確かに「疑神」を生み出た。そして、唯一朕に勝てる、封印することができる。
その「封印」全体が世界を覆っていたとしたら、それは朕でさえ介入できない。
ただ、もう少し調べる時間が必要だ。
少し、眠ろう。
あの一族に託そう、あの世界は。あの世界はきっと……。
タイトルの意味




