表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キャラメイクに失敗して幼女になった僕は、いつの間にか最凶ギルドのマスターに!?  作者: 向原 行人
第4章 幼女護衛ギルド設立

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/37

第28話 二次クラス

 控室の周囲を見渡すとギルドの皆が居て、零勝二敗のリーチをかけられた暗い敗戦ムード……になって居なかった。


「畜生! あのスナイパーは鬼か!? 天使みたいに可愛いツバサちゃんに矢を射るなんてっ!」

「あいつだけは絶対に許さねぇっ! GvGの勝敗とかはどうでも良い! とにかく、あのスナイパーを全力で殴らないと気がすまねぇ!」

「いや、GvGの勝敗はどうでも良くないだろ。お風呂が賭かっているんだから」


 どうやら、GvGに負けそうだという事よりも、僕が戦闘不能になった事に怒ってくれているみたいだ。


「ツバサちゃん。怖かったね。大丈夫だった? 痛みは無い?」

「オジサンがヒールの魔法を使ってあげるから、もう大丈夫だからね」

「ツバサちゃん。ツバサちゃんのために特注した、苺味のポーションだよ。飲んで、飲んで」


 苺味のポーションなんて売っているんだ……あ、本当に苺の味がする。


「あの、皆さんありがとうございます。戦闘不能になってしまって、ごめんなさい。一先ず、別に痛みも感じなかったし、元気なので」

「痛くなかった? めちゃくちゃ痛いって訳ではないけど、切られたりしたら多少の痛みはあるんだけど……あ、もしかして低年齢プレイヤー補正で、痛みが伝わらないようになっているのかな?」

「ツバサちゃんが元気で何よりだよ。そして、ごめんね。攻撃側ギルドも、ギルドマスターが戦闘不能になったら負けっていうのを知らなかったんだ」


 最後にシュタインさんが謝ってきたけれど、そもそも僕なんてルールすら調べていないのだから、何か言う権利は無い。

 むしろ、他にも沢山調べてくれていた事に対して、お礼を言わなければならない程だ。

 手にしていたポーションの瓶を床に置くと、シュタインさんに向かって深々と頭を下げる。


「いえ、それよりも僕が悪いと思うんです。ギルドマスターなのに、何にも知らなくて。それに、一次クラスのままですし。こんなのすぐにやられちゃいますよね」

「いやいや、ツバサちゃんへギルドマスターになって欲しいとお願いしたのは俺だよ。一次クラスのままでも構わないし、それを護るのが俺の役目のはずだったのに。面目ない」

「……お、おい。あのポーションの空瓶って、ツバサちゃんが飲んだヤツだよな? ……お、おい! ずるいぞっ! あれは、俺が最初に目を付けたんだっ!」


 頭を下げる僕の前で、シュタインさんが頭を下げる気配がした。見えていないけれど、おそらく外れていないだろう。


「あ、あの。シュタインさん、頭を上げてください。シュタインさんが謝る事なんてないですよ」

「いや、そういう訳にはいかないよ。実際、あの矢が放たれた瞬間、俺は気を抜いてしまっていたんだ」

「……おぉっ! レモンの味だっ! ツバサちゃんが口を付けた瓶を舐めると、レモンの味がするぞっ! ……いや、マジだって。苺味!? 違うってば」


 その言葉を聞いた僕は、しゃがみ込みで頭を下げたままのシュタインさんの下へ潜り込み、じっとその顔を見上げてみる。


「うわっ! ツバサちゃん!? 一体、何をっ!?」

「シュタインさん。頭を上げてください。そして、僕たちが勝てるように導いてください。このギルドの事を一番考えてくれているのは、きっとシュタインさんですから」

「……いや、マジでレモン味だったんだってば! ……って、おい! お前らまでレロレロするなっ! その瓶は俺の宝だぞっ! ツバサちゃんの舐めた瓶が腐るっ! おい、やめろっ!」


 ようやくシュタインさんが顔を上げて……


「って、僕が飲んだ瓶で何をしているんですかっ!」


 ずっと外野が五月蠅かったのを我慢していたけれど、オジサンたちが瓶をレロレロと舐める姿が視界に映ると、流石に止めざるを得なかった。


「それより、本当に崖っぷちですけど、どうしましょうか」

「とりあえず、ツバサちゃんの防御力は上げたいな。支援はしてもらいたいけれど、スナイパーの攻撃で一撃ダウンは辛いな」

「ですよねー。でも、守りの歌を修得したとしても、そっちを使うと、肝心の会心の歌が使えなくなっちゃうし」


 会心の歌を使わないのであれば、そもそも僕が前線に上がる必要がなくなるからね。

 そんな事を考えていると、大きな全身鎧に身を包んだクルセイダーさんが口を開く。


「そうだ! ツバサちゃんの身体が小さな事を活かして、俺の鎧の中へ一緒に入るっていうのはどうだ? 密着すれば鎧の中で安全に……痛いっ! ちょ、マジで痛いって!」


 確かに、あの鎧の中になら隠れられそうだけど、すっごく汗臭そうだからヤダ。

 いや、弱い僕がそんな事を言う権利は無いのかもしれないけど……うん、やっぱり嫌だ。

 そして、それ以前に皆がクルセイダーさんを蹴り倒している。

 なるほど。パーティを組んで居なくても、同一ギルドならプレイヤーに攻撃出来るのかな?


「せめてツバサちゃんが二次クラスなら、装備出来るアイテムの幅が増えて、いろいろプレゼントする事が出来るだけどなー」

「おい、まさかまた抜け駆けか!? 言っておくが、本気を出せば俺だってツバサちゃんに貢げるん出来るんだぜ! ……ただし、今月のリアル食事が全部インスタントラーメンになるが」

「くっ……学生に課金アイテムは厳しいぜっ!」


 あの、食費を削ってまでオンラインゲームに課金しちゃダメだと思うんです。

 あと、余って居て要らないからプレゼントというのは分かるけど、課金してまでプレゼントされても困るんですが。


「あ、そうだ。課金アイテムで思い出したんだが、誰かクラスリセットを使って、アコライト系統になれば良いんじゃないか? 神聖魔法でツバサちゃんを護る壁を付与出来るはずだし」

「うーん。ツバサちゃんを護る為にアコライト系統にチェンジするのは構わないんだが、後衛の立ち振る舞いが全く分からないんだが」

「あー、そうか。前衛職のウォーリアからソードマンへ変わるならともかく、前衛職から後衛職へのチェンジは確かに厳しいか。しかも、あと数十分しか時間がないしな」


 VRゲームでずっと前衛をやってきたのに、突然後衛を……って難しいか。

 実際、僕もこのゲームで魔法の使い方とか分からないしね。どんなスキルがあるとか、どういう使い方をすれば良いのかとかさ。

 でも、歌クラスは会心の歌を使う事が決まっているけれど、サブクラスで何か出来ないだろうか。あ、けどサブクラスって、一つしか修得出来ないんだっけ?

 とりあえず確認してみようと思い、ステータスウインドウを開くと、メニュー欄に「二次クラス」という項目がある。

 一体、これは何だろうか。クラスチェンジの条件の確認が出来るのかな? でも、こんな項目あったかな?

 一先ず、見慣れない「二次クラス」メニューに意識を向けると、「ミンストレル」と「ダンサー」というサブメニューが表示され、ネットで見たものと同じクラスチェンジ条件が表示される。

 やっぱり予想通りクラスチェンジの条件を確認するだけか……と、何気なくそれぞれのサブメニューに意識を向けてみた。


「って、あれ? え、どうして!?」

「どうかしたの? ツバサちゃん」

「え、えーっと、どういう訳かは分からないけれど、僕いつの間にか、ダンサーの転職条件満たしていたみたい」


 ミンストレルは条件が表示されるだけで、「転職する」というボタンが灰色になっている。

 それに対してダンサーは、既に条件が表示されず、「転職する」というボタンが水色になっていて、試しに意識を合わせるてみると、


『ダンサーに転職しますか?』


 というメッセージが表示されたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ