羊
「夏凪」
「?」
夕と別れた後、夏凪と粟冬は帰り道を歩いていた。二人は並んで歩道を歩み、沈みゆく夕日が二人の影を長く引き延ばしていた。
「師匠のこと、どう思う?」
粟冬が顔を上げると、すでに高い空に月が昇っていた。今日はちょうど新月だった。
「そのセリフ、俺がそっくりそのままあんたに返したいんだけど。読心術が使えるのはあんたでしょ」
「そういう意味じゃなくて」
夏凪は足元の小石を蹴りながら考え込んだ。
「突然現れた奴が俺たちの師匠になるなんて言い出してさ。薫先生は心配ないって言ってたけど……誰だって驚くだろ」
夏凪はため息混じりに言った。
「師匠は嘘をついている」
粟冬の言葉に、夏凪は振り返って彼を見た。そして、次に続く言葉に夏凪は目を見開いた。
「薫先生も、嘘をついている」
「どうして……」
「師匠と薫先生にどんな意図があるのかは、まだ分からない。ひとまずは二人の考え通りにトレーニングを進めよう?」
夏凪は粟冬の言葉を頭の中で咀嚼し、最終的に頷いた。
「ま、それは置いといて。最近、夜になると怪物が現れるらしいんだ。早く晩飯を買って帰ろうぜ」
夏凪はそう言って歩みを速めた。
「まさか。ここには薫先生の結界があるはずなのに……」
粟冬もペースを上げ、夏凪の隣に並んだ。
「そんなの知るかよ! とにかく早く帰るぞ!」
二人はコンビニで夕食を買い、マンションへと戻った。二人は同じ部屋に住んでおり、ルームシェアのような関係だった。
夏凪の部屋は青と白を基調としたミニマルなスタイルで、机の隣の木製ラックには本がぎっしりと詰まっていた。建築に関する本もあれば、恐竜に関する本もある。
粟冬の部屋はブラウンを基調としたモダンなスタイルで、木製ラックにある本はすべて写真集や小説だった。机の上にはカメラが置かれ、ベッドの上には小さな羊のクッションが転がっている。
「明日もトレーニングかよ……あの執念深い奴のしごき、マジで死にそうになる……」
夏凪はソファに寝転がりながらパンを齧っていた。
「そんな風に寝転がって食べてると、喉に詰まらせるよ」
粟冬がそう言った次の瞬間、夏凪は本当に喉を詰まらせた。ソファから転げ落ち、胸を激しく叩いている。粟冬は呆れながら水の入ったコップを差し出し、夏凪はそれをひったくるようにして一気に飲み干した。
「だから寝転がって食べるなって言ったのに」
「マジで死ぬかと思った……」
「明日もトレーニングだし、早くお風呂に入って寝よう」
粟冬はコップを洗って水切りラックに戻すと、着替えを持って浴室へ向かった。後ろでは、夏凪が再びソファに倒れ込み、「勘弁してくれ」とうなだれていた。
しばらくして、お風呂から上がった粟冬はベッドに横たわり、傍らにある羊のぬいぐるみを抱きしめた。
「明日もトレーニングか……クタクタだよ……」
粟冬が時計を見ると、もうすぐ12時になるところだった。彼は起き上がって電気を消し、再びベッドに潜り込んでぬいぐるみを抱いた。
(薫先生と師匠がどうして嘘をついているのかは分からないけれど……でも……今はトレーニングの計画通りに動こう)
粟冬が目を閉じようとした、その時。
(筋肉痛で全然眠れない……うぅ……羊でも数えよう、そしたら眠れるかも。羊が一匹……羊が二匹……羊が三匹……羊が四匹……)
どういうわけか、部屋の床にメーメーと鳴く本物の綿羊たちが現れ始めた。しかし、羊を数えていた粟冬は、すでに深い眠りへと落ちていた。
翻訳ツールを使っているので、間違っていたら教えてください。




