佳日屋
——素晴らしいな。外の世界にもこんなに美味しいものがあるなんて。いくつか買って帰ろうか……でも、生ものだしな……。
数分前、粟冬と夏凪は夕を連れて佳日屋という店にやってきた。店内は伝統的な和風の佇まいで、脇には畳の席があり、そこでも食事ができるようになっていた。
店主は一見すると強面の男だったが、粟冬と夏凪の姿を見るなり、にこにこしながら中に招き入れてくれた。
最初は生魚を前にしてなかなか箸を付けられずにいた夕だったが、粟冬と夏凪がガツガツと平らげていく様子を見て、試しに一口食べてみた。
「美味しい……」
そう呟くや否や、夕も粟冬たちと同じように、猛烈な勢いで平らげ始めた。
「気に入ってもらえてよかったです。ワサビと醤油を足してみますか?」
粟冬がワサビ醤油の小皿を夕の丼の前に押し出すと、夕はそれを全部一気に投入してしまった。
「待って! 全部入れたら……」
粟冬が言い終わる前に、夕はすでに口に運んでいた。
「ツーンとしすぎるんじゃ……」
粟冬が冷や汗を流しながら夕を見つめると、夕は身震いを一つして、興奮したような表情を浮かべた。
「面白い!」
夕はそう言うと、ワサビ醤油をたっぷりまぶしたご飯を、さらに大口でかき込み始めた。
凄まじい勢いで飯を食らう夕を、粟冬は冷や汗交じりに見つめた。
「ワサビがめちゃくちゃ好きな奴ってたまにいるよな。鼻にツーンとくる感じがさ」
夏凪が、粟冬の心の中の疑問に答えるように言った。
「どうして僕の考えてることがわかったんですか。まさか、あなたも読心術が使えるんじゃ……」
「なわけねえだろ。俺はあんたじゃねえんだから」
夏凪は呆れ顔で粟冬を見た。
「粟冬、これ何?」
二人が顔を上げると、夕が丼を掲げていた。底にはもう一杯の文字が印字されている。
「それはあたりですよ。無料でもう一杯食べられるっていう意味です」
粟冬の説明を聞くや否や、夕は嬉しそうに丼を持って店主の元へと駆けていった。夏凪もご飯を食べ終え、自分の丼の底にあるもう一杯の文字に気づいた。
「普段こういうの全然当たらない俺まで当たるなんて……。明日は槍でも降るんじゃねえか?」
夏凪は冷や汗を流しながら呟いた。
「お前らが珍しく友達を連れて店に来てくれたんだ。だからもう一杯サービスしてやったのさ」
店主は手の水滴を拭いながら、厨房から出てきた。
「ありがとうございます、大将」
粟冬が笑顔で言った。
「そりゃねえよ大将、いつもは全然サービスしてくれないくせに」
夏凪は文句を言いながら店主から丼を受け取った。振り返ると、夕が海鮮丼を手にしたまま、嬉しそうに手足をバタバタと踊らせている。
「早く食えよ、新鮮じゃなくなっちまうだろ」
夏凪は苦笑しながら席に戻った。
夕はにこにこしながら席に戻ろうとしたが、突如として足を止め、脇の壁に掛けられた絵画に目を向けた。
「大将、その絵の後ろにあるものは何?」
夕は振り返って店主を見つめ、小首を傾げて問いかけた
翻訳ツールを使っているので、間違っていたら教えてください。




