「成神」
「くそ……あのクソババア……」
夏凪は芝生の上に死に体でひっくり返り、休みながら夕への悪態を吐いていた。
「誰がクソババアだって? 僕はまだ16歳だよ。今の人間はこんなに体力が落ちてるわけ?」
夕は夏凪を見下ろし、呆れたように首を横に振った。
「薫先生がトレーニングされてた時は、何回くらいやってたんですか……?」
粟冬は地面に倒れていた夏凪を引きずり起こし、近くのベンチに座らせて休ませた。
「薫? あいつは基本500回だね。たまに師匠の機嫌を損ねた時は、1500回まで跳ね上がってたよ」
夕はスポーツドリンクを二本、夏凪と粟冬に放り投げた。その話を聞いた夏凪は、危うくボトルを取り落としそうになった。
「三倍じゃねえか、一体何をしでかしたんだよ」
夏凪はドリンクを数口一気に流し込み、口元を拭った。
「………………」
夕は沈黙した。
「なんで黙るんだよ」
「知らない方がいいこともあるんだよ。特に君たちにとって尊敬する人物ならね。幻想を壊したくないし」
夕は視線を逸らした。
「一体何をやらかしたんだよ……」
夏凪は力なく呟いた。
「あの……師匠、一つだけ聞いてもいいですか? 質問のチャンスは終わったって言われましたけど……」
粟冬が顔を上げて夕を見つめた。
「礼儀正しい子は嫌いじゃないよ。聞きなよ」
夕は向かい側のベンチに腰掛けた。
「人が死んだ後、本当に神になるんですか?」
粟冬の真剣な眼差しに、夕は眉をひそめ、顎に手を当てて考え込んだ。
「……」
——……………………………
夕の沈黙に、粟冬はがっかりしたようにうつむいた。
「神になる……そういうこともあると思うよ、僕はね」
夕は自分の考えを口にした。
(神成る、か……そんなこと、ほんの一握りの人間にしか成し遂げられない。何しろ、僕だって一度しか見たことがないんだから)
まるで夕の心の声が聞こえたかのように、粟冬は驚愕してバッと顔を上げた。しかし夕はさらに思考を巡らせていた。
(師匠に聞いてみるべきか……いや、あの師匠が話してくれるとは思えないな。……まあいい、やめよう)
「この件に関しては僕もはっきりとは言えない。でも、可能性はあると思っているよ」
夕は粟冬に視線を戻した。
(この子には曖昧な答えしか返せなかったけど、まさか『見たことがある』なんて言えないしね……他人に知られたら面倒なことになる……)
「ありがとうございます、師匠」
粟冬は微かに笑みを浮かべて夕にお礼を言った。
「今日はここまでにしよう。これ以上やったら、どこぞの誰かさんが持ちそうにないしね」
「あぁ!?」
夏凪がイラついた様子で立ち上がった。
「じゃあ、何か食べてから帰りませんか?」
粟冬は夏凪の袖を引いて落ち着かせるように促した。
「師匠、何が食べたいですか?」
「僕は海鮮が食べたいな」
「お刺身なんてどうですか?」
「俺は焼き肉がいい!」
「それは明日にしよう」
「よし、決まりだ! 案内しなよ、ガキども」
「俺より年下のくせに! 大人のフリすんじゃねえ!」
翻訳ツールを使っているので、間違っていたら教えてください。




