訓練
「どうやって基礎体力をトレーニングするつもりなんだよ?」
不耐そうにそう問いかけたのは夏凪だった。対する夕は、少しの間考え込んだ。
「君たち二人、腕立て伏せは最高で何回できる?」
夕が尋ねる。
「大体……150回です」
「俺は180回だ」
「じゃあ、まずはそれをやろうか。今すぐにね」
夕がそう言い放つと、夏凪と粟冬は呆気にとられた。
「はあ!?」
「え?」
目の前で驚愕する二人を無視して、夕は上着を脱ぎ、ウォーミングアップを始めた。そして、振り返って不可解そうに二人を見る。
「どうしたの? やらないの? 僕も一緒に付き合ってあげるって言ってるのに」
夕は呆れたように二人を見つめた。
「なんでそんな原始的な方法で体力トレーニングすんだよ!」
夏凪が不満を漏らす。
「大声を出すんじゃないよ、うるさいな。じゃあ、君が想像してた体力トレーニングってどんなもの? 言ってみなよ」
夕は夏凪を見つめ、その答えを待った。
だが、夏凪は沈黙した。夕はため息をつく。
「何でもかん便に『能力』に頼ろうとしないこと。もしもいつか『無効化』の能力者に出会ったら、君たち二人じゃ対抗する術もないでしょ」
夕はウォーミングアップをしながら言葉を続けた。
「そんな奴に出会うわけねえだろ……」
夏凪が小さく呟くと、夕は眉をひそめて夏凪を見た。
「君、バカでしょ?」
「あ?」
「薫の奴、君たちの目には何歳に見えてる?」
夕が腕を組んで粟冬を見ると、粟冬は少し考えた。
「23歳から25歳くらい……に見えます……」
粟冬の答えを聞いた夕は、呆れて白目をむいた。
「あの薫のジジイはもう500歳を超えてるんだよ。ついでに言っておくと、あいつは『無効化』を使える能力者だ。あいつを中心とした半径三メートル以内では『能力』が使えなくなる。もっと昔は、あいつの能力の有効範囲は一つの街にまで及んでいたんだよ」
夕は驚きを隠せない二人を見つめた。
——こいつら、本当に何も知らないんだな……。
夕は心の中でそう思った。
「武力で倒すことはできるんですか……?」
粟冬が恐る恐る尋ねる。
「当然無理だよ。僕とあいつは同じ師匠に教わったんだ。最初は僕たちも基礎体力のトレーニングをさせられて、その次に武術、護身術、剣術……っていう風に続いて、最後にようやく『能力』だった。倒せるなんて考えるくらいなら、大人しく夢でも見てる方がマシだね」
夕の言葉を聞いた夏凪は信じられないといった表情を浮かべ、一方で粟冬は夕の言葉を噛み締めながら、ふと一つのことに気づいた。
「薫先生が五百歳で……能力や能力者が発見されたのは数百年前。じゃあ、薫先生とあなたの師匠は何歳なんですか……?」
粟冬の質問を聞いた夕は、狡猾な笑みを浮かべた。
「知識を求めるガキは嫌いじゃないよ。でも、今日の質問チャンスはもう終わり。さっさと体力トレーニングを始めなよ」
夕は人差し指で夏凪を指さした。
「君は態度が生意気すぎるから、さっき言ってた180回じゃなくて250回ね」
「はあ!?」
翻訳ツールを使っているので、間違っていたら教えてください。




