学ぶ
「夕、今の俺は基礎体力のトレーニング以外に、ほかに何を学べるんだよ?」
じりじりと照りつける太陽の下、大樹の根元に立つ夏凪が顔を上げた。その視線の先では、木の上で悠々と足を組みながら本を読んでいる夕の姿があった。
「焦ってるの?」
夕は顔も上げずにページの次のページをめくった。
「もう二ヶ月も経ったんだ。あんただって俺がいつ覚醒するかなんて分からないだろ。もしこのまま一生……」
自分の弱さを認めたくないのか、夏凪は俯いて視線を逸らした。
「はぁ……これだから今時のガキは……。焦らなくていいって言ったでしょ」
夕がため息を漏らす。夏凪は気まずそうに夕を見られない。
「まあ、君に教えられることが、ほかに何もないわけじゃないけどね」
その言葉を聞いた瞬間、夏凪はパッと顔を上げて夕を見つめた。
「剣術。それと、剣術に関連するいくつかの『技能』だ。学ぶ気はある?」
「……学ぶ」
夏凪は小さな声で応じた。
「聞こえな〜い。もっと大きな声で」
「学ぶって言ってんだろ!!!!」
夏凪の大声での返答を聞くや否や、夕は本をパタンと閉じ、大笑いした。そして本を手にしたまま、ひらりと身を翻して木から飛び降り、夏凪の正面へと歩み寄った。
「ついでに言っておくけど、僕の指導はかなり痛いよ。毎日アザだらけになるからね」
「悪魔め……」
夏凪は太陽の下に立ちながら、木陰の中にいる夕を見つめていた。その時、夕がさっきまで木の上で読んでいた本に目が留まる。
「さっきは何の本を読んでたんだよ?」
夏凪は夕の手にある本を指さした。
「……読者が主人公を見捨てた物語さ」
「そいつは主人公じゃないのか?」
「そいつは読者であり、同時に作者であり、主人公でもあると僕は思っているよ」
「意味分かんねえ」
夏凪は一歩前へ踏み出し、木陰の中へと入った。
「そういえば、粟冬はどうしたんだ?」
「想像力を鍛えるトレーニングに行かせたよ。せっかくの『創造』の能力だからね。あの子、今は頭の中が羊のことで一杯だよ。将来は羊飼いにでもなるつもりかな?」
夕が少し離れた場所で大量の羊の群れに埋もれている粟冬を指さし、呆れたようにため息をついた。
「たっぷり鞭を打って、しごき上げなきゃね」
「悪魔だ……」
翻訳ツールを使っているので、間違っていたら教えてください。




