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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
閑話 その後

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閑話③(第九十九話) カメ先生、ついに起きる

 春の風が。


 ふわり。


 外から入ってきた。


「わぁーい」


 ユウトは外へ飛び出す。


「わふっ!」


 わんわんも元気いっぱい。


 ぴょん。

 ぴょん。


 一緒に走る。


 広場へ行くと。


「ユウトー!」


 リサが手を振っていた。

 隣にはリーナお姉ちゃん。


「おはよー!」


「おはよう!」


 そこへ。


 ガンツ。

 ミック。

 ポルン。

 みんなもやってきた。


「今日は何する?」


 リサが聞く。

 その時。

 ミックがふと。


「そういえば、もう春ですね」


「うん、そうだね?」


 ユウトが首をかしげる。


「はい。ということは……。」


 ミックはにやりと笑う。


「カメ先生が起きる頃ですよ。」


「わっ、ほんとうだ」


 ユウトの目がぱっと輝く。


「もう起きてるかも!?」


 みんなで。

 カメ先生のお家へ向かう。

 わんわんも。

 しっぽをぶんぶん。


「まだねてるかな?」


「起きてると思います!


「私は寝てると思うなぁ」


 リサもわくわく。

 ガンツは笑う。


「寝坊してたりしてな。」


「あはは!」


 みんな笑った。


   ◇


 カメ先生のお家。


 ……ずごー。

 ……すぴー。


 ……ずごー。

 ……すぴー。


 家の外までいびきが聞こえる。


「ねてるね」


 ユウトが小さな声で言う。

 リサは玄関に近づく。


「カメせんせー」


 どんどんどん。


 ドアを叩く。

 けど。

 返事はない。

 ポルンは。


「お腹すいて起きないのかなぁ」


 とつぶやいた。


「それはポルンだけですよ。」


 ミックが笑う。


   ◇


 ユウトも。


 こんこん。


 ドアを軽くたたいた。


「カメせんせー」


「あさだよー」


 しーん。


 何も起きない。


「まだねむたいのかな」


「きっとそうね」


 リーナお姉ちゃんも笑う。


 その時。


 ガンツが腕を組んだ。


「今日は仕方ないし。まあ、もう少し待ってみようぜ」


 みんなで。

 そしてガンツの言う通り。

 カメ先生が起きるのを待つことにした。 

 その日はいったん帰ることにして。

 また交代で見に行く約束をした。

 そして。

 何日か待った。

 あれから毎日行っている。

 でも。

 カメ先生の家からは相変わらず。


 ……ずごー。

 ……すぴー。


 ……ずごー。

 ……すぴー。


 と音が響いていた。


   ◇


 それから何日か経って。


 今日はいつもより。

 春の風が吹く。

 草が揺れる。

 鳥が鳴く。


 ぽかぽか。

 ぽかぽか。


 と暖かい。



   ◇


 カメ先生のお家。

 小さな虫が。


 ぷーん。


 ピタッ。


 カメ先生の鼻先に止まる。


「……むにゃ」


 小さな虫が動く。

 カメ先生の鼻もピクピクする。


 むずっ、むずずっ。


「はっ、はっ、はっくしょーん!!」


 カメ先生が大きなくしゃみ。


「わわわっ」


 カメ先生の甲羅が。


 ごろん。


 少しだけ揺れた。


 のそ。

 のそ。


 ゆっくり。

 ゆっくり。


 大きな首が出てきた。


「ふぁぁぁぁぁぁ……。」


 大きなあくび。


   ◇


 ユウトとリサは。

 今日もカメ先生のお家に。


「ん!?」


 ユウトとリサは顔を見合せる。

 いつもと違う。


 いつも聞こえる地響きのようなあの音が今日は聞こえない。


 …もしかして。

 急にドキドキする。


 絶対いつもと違う。


 そう思った時。

 ドアが急にパタリと開く。


 一呼吸して。


 中から


 のっそ。

 のっそ。


 カメ先生だ。


 カメ先生はぐっぐーっと。


 気持ちよさそうに伸びをしている。


「……おや」


 カメ先生は。

 のんびり辺りを見回した。


「早起きしすぎましたかの?」


 ユウトはずっこける。


 ボクより寝る人がいた。

 上には上がいる。

 まだまだ勝てない。


「あははっ、カメ先生ぃ!おっはよー!もう春だよー!」


 リサが手を振りながら元気いっぱい答える。


「おはよー、カメせんせー」


 ユウトも笑う。


「ほう。もう春か」


「また少し寝ててもよかったかのう」


「あはは!」


 みんなで大笑い。


   ◇


 それからみんなを呼びに行く。

 そして。

 カメ先生のお家に集まる。

 カメ先生は。

 一人ずつ優しく見つめる。


「おやおや、ユウトくんじゃったかのう。少し大きくなったのう」


「えへへ」


 頭をなでてもらう。


「ほっほっほっ、リサくんも元気そうじゃ」


「うん、もちろん!」


 リサは力こぶを作って元気いっぱいを伝える。

 ポルンの方をちらりと見て。

 おひげを触りながらカメ先生は。


「ほっほっほっ、美味しそうものを食べておるの」


「えへへ。」


 ポルンは口いっぱいにおやつのクッキーを入れていた。


「いつ食べたの!?」


 リサがびっくり。


「さっき」


 またもう。とみんな笑う。


   ◇


「おや?」


 カメ先生は。

 今度はわんわんを見た。


「これは驚きじゃ。ずいぶん立派になったのう。」


「わふっ!」


 わんわんは嬉しそう。

 しっぽをぶんぶん。


「冬の間にしっかり成長されたようじゃな」


「みんな立派ですじゃ」


 ユウトは嬉しくなった。


「いっぱいあそんだから!」


「うむ」


「きっとユウトくんのおかげじゃな」


 わんわんは。

 ユウトへ。


 ぺたん。


 寄り添った。


   ◇


 カメ先生は。


 今度はガンツとミックを見る。


「ガンツにミックも人として大きく成長したの」


「えっ?」


 ガンツとミックが目をぱちぱち。


「そんな事ねーよ。今まででのままだぞ。わはは」


 そう言いながらも。

 ガンツは少しだけ照れくさそうだった。


「そうですかな。私には分かりますぞ。お二人ともこの冬で大きく成長なされたようですな。ほっほっほっ」


「みんなもいい顔になっとる」


 リサも。ユウトも。ガンツも。

 一人一人優しく微笑みながら見る。


「ほっほっほっ」


 なんだかこそばゆい。


「カメ先生はいつ起きたの?」


 リサが聞くと。


「ついさっき。今日ですじゃ」


 そしてポルンが興味津々に。

 目をキラキラさせて。


「お腹すかないのぉ?」


「ほっほっほっ。寝てる間は食べなくても平気なんですよ」


「へぇー」


「でも、ポルンくんを見てるとお腹が空きましたな。ほっほっほっ」


 みんな大笑い。


 カメ先生まで。


 ほっほっほっ。


 と楽しそうに長い髭を撫でている。


   ◇


 しばらくして。


 カメ先生は空を見上げた。


 青い空。


 白い雲。


 暖かな春。


「春はいいのう。」


「新しい命が生まれ。」


「草も花も芽吹く。」


「みんなも。」


「また一つ大きくなる。」


 ユウトは。


 少し考えて。


「ボク」


「おにいちゃんになったよ」


 胸を張る。


「ほぅ、そうですか。通りで大きく成長された訳じゃ。お兄ちゃんの顔になってますぞ」


 カメ先生は。

 優しく笑った。


「立派なお兄ちゃんですな」


 その言葉が。

 なんだかとても嬉しかった。


   ◇


 カメ先生は。

 ゆっくり立ち上がる。


 ぐーっと背伸び。


「さて。今年も一年、また古代遺跡を見に行きますから、その時は、またよろしく頼みますぞ」


「はーい!」


 元気な返事。


「わふっ!」


 わんわんも鳴いた。

 春の風が。

 みんなの間を優しく吹き抜ける。

 長い冬が終わり。

 カメ先生も目を覚ました。

 村は今日も笑顔いっぱい。

 少しずつ。少しずつ。

 春色に染まっていく。

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