閑話②(第九十八話) 教えて!ミック先生
春の風が吹く。
ぽかぽか。
お日さまも気持ちいい。
「わふっ!」
わんわんが元気いっぱい走っていく。
「まってー!」
ユウトも笑いながら追いかけた。
広場には。
リサ。
ガンツ。
ポルン。
ミック。
いつものみんなだ。
「今日は何して遊ぶ?」
リサが聞く。
「かけっこ!」
「いいぞ!」
ガンツが笑う。
「ボクも!」
「わふっ!」
みんなで走り出した。
◇
ひとしきり遊ぶと。
みんな草の上へごろん。
「つかれたぁ」
ユウトは空を見上げる。
白い雲が。
ゆっくり。
流れていた。
「あっ!」
「ミック!」
「なんですか?」
「くもって、なんでういてるの?」
ミックは待ってましたと言わんばかりに立ち上がる。
「それはですね!」
胸を張る。
「雲は水の粒がたくさん集まってできてるんです」
「みず?」
「はい!」
「とっても小さい水の集まりなんですよ」
「へぇー!」
ユウトは目を丸くした。
「じゃあ、なんでおちないの?」
「それはですね」
ミックは人差し指を立てる。
「とっても小さいので、魔法の力で浮いてるのではないかって本に書いてありましたよ」
「ほぉー」
ガンツまで感心している。
◇
「じゃあ!」
今度はリサ。
「虹はどうしてできるの?」
「それはですね!」
また始まる。
「雨粒の中で、お日さまの光が曲がって出来るんです」
「光がまがる?」
「はい」
「光が七色に分かれるんですよ」
「七色?」
ユウトは指を一本一本数え始めた。
「いっぱいあるんだね!」
「はい、そうなんです!」
ミックはとても楽しそうだった。
◇
「じゃあさ!」
ポルンがお腹を押さえながら言う。
「お腹ってなんですくの?」
「それはですね」
ミックは真面目な顔になる。
「体が、ご飯くださいって教えてくれるんです」
「なるほど!」
ポルンは何度もうなずいた。
「じゃあ、お腹すいたらおやつも食べないとなぁ」
と言って。ポルンはカバンからお菓子をいくつも取り出す。
「はい、それはもちろんです」
ミックもあははっと笑う。
「やったー!」
みんな大笑い。
「それは知ってるよー!」
ポルンのお菓子をみんなで食べながら笑って過ごす。
◇
その時。
一羽の鳥が。
ぱたぱた。
空を飛んでいった。
「ミック!」
「はい!」
「なんでとりさんは、とべるの?」
「それはですね!」
ミックは両手を羽みたいに広げた。
「羽が空気をつかまえてるんです」
「それに体も軽いんですよ」
「へぇー!」
ユウトも羽をぱたぱた。
とりさんの真似をする。
わんわんも。
ぴょん。
ぴょん。
飛ぼうとしている。
「あはは!」
「わんわん、とべないよー!」
「わふぅ」
ちょっぴり残念そうだった。
◇
「それじゃー」
ガンツが腕を組む。
ちらりと周りを見て。
何かに気づく。
「春になると花が咲くのはなんでだ?」
「それはですね。」
ミックは少し考えた。
「暖かくなってきたよーって分かるからです」
「ふーん」
「花も春が分かるんだ」
「そうなんですよ」
ミックは嬉しそうに笑った。
「本に書いてありました!」
「ミックは、賢いなぁ」
ガンツは腕を組んだまま。
ずこいぞ、ミックと。
何度もうなずく。
◇
「ならなら」
ユウトは首をかしげる。
「なんでカメせんせいは、ずっとねてるの?」
「それは……」
ミックは止まった。
「えーっと……」
みんな見る。
「……」
「……」
ミックは頭をぽりぽり。
「これは……」
「帰って調べます!」
一瞬静かになって。
「あははは!」
みんな大笑い。
「先生でも分からないことあるんだ!」
リサが笑う。
「あります!」
ミックも照れ笑い。
「まだまだ勉強中です!」
◇
ガンツは笑いながらミックの肩をぽんと叩いた。
「でもよ」
「ミック、本当に何でも知ってるな」
「え?」
「オレたちの先生だな」
「先生?」
ミックはびっくり。
「うん!」
「ミック先生!」
リサがにっこり。
「ミックせんせい!」
ユウトも真似する。
「先生ー!」
ポルンが手を挙げた。
「なんですか?」
「お腹がすいたらどうしたらいいですか!」
「それは食べてください!」
「やっぱりー!」
またみんな大笑い。
「わふっ!」
わんわんまで嬉しそうにしっぽを振る。
ミックは少し照れながら。
でも。
とても嬉しそうに笑った。
「また分からないことがあったら聞いてください!」
「はーい!」
春の広場には。
みんなの笑い声が。
いつまでも響いていた。




