第九十話 おしょーがつ
朝。
窓の外は、まだ雪景色。
お庭も。
道も。
屋根も。
真っ白だった。
「……んぅ」
ユウトが目をこする。
「今日は……」
少し考えて。
「おしょーがつ!」
ぱっと飛び起きた。
◇
居間へ行くと。
「明けましておめでとう、ユウト」
お父さんが笑った。
「おめでとう、ユウト」
お母さんもにっこり。
「そして」
二人に向かって。
「あけましておめでとう」
ユウトも元気いっぱい。
「今年もよろしくな!」
ぺこり。
お父さんとお母さんもぺこり。
「こちらこそ、よろしくね」
なんだか、それだけで嬉しくなった。
◇
朝ごはんは。
昨日、うさぎさんが届けてくれたおもち。
「美味しそうに焼けたわよー」
お母さんがお皿を並べる。
こんがり。
ぷくーっとふくらんだおもち。
「わぁ!」
「ふくらんでる!」
ユウトは目をまんまるにした。
「おしょうゆつける?」
「うん!」
ちょん。
のりをくるり。
「いただきまーす!」
ぱくっ。
「わぁぁ!」
びよーん。
おもちがながーく伸びる。
「すごーい!」
「こんなに伸びた!」
お父さんも笑う。
「今年もいいおもちだ」
わんわんは。
「わふぅ……」
じーっ。
おもちを見つめていた。
「はい、わんわんも」
小さくちぎってもらう。
「わふっ!」
ぱくっ。
もぐもぐ。
しっぽぶんぶん。
「気に入ったみたいね」
お母さんが笑った。
◇
その時。
「ユウトー!」
外から元気な声。
どんどんどん。
「あけましておめでとー!」
「リサだ!」
ユウトは玄関へ走る。
「おめでとー!」
「おめでとう!」
二人でにっこり。
「ガンツたちも広場にいるよ!」
「ほんと!」
「みんなで新年のごあいさつしよう!」
「うん!」
◇
広場には。
ガンツ。
ミック。
ポルン。
リーナお姉ちゃん。
みんな集まっていた。
「あけましておめでとう!」
「あけましておめでとう!」
元気な声が響く。
「今年もいっぱい遊ぼうぜ!」
ガンツが笑う。
「おー!」
みんな元気いっぱい。
「今年はですね」
ミックが胸を張る。
「本を百冊読む予定です!」
「そんなに読めるの?」
リサがびっくり。
「たぶん!」
「たぶんなんだ」
みんなが笑う。
「ポルンは?」
「いっぱい食べる!」
「それ去年も聞いた!」
「今年はもっと!」
「わははは!」
笑い声が広場いっぱいに広がった。
◇
「せっかくだし」
ガンツが雪を丸める。
「今年最初の雪玉だ!」
「それー!」
ぽふっ。
「わっ!」
ユウトの肩に当たる。
「あはは!」
「まけない!」
ころころ。
ぽん。
ぽふっ。
ほんの少しだけ。
みんなで雪玉を投げ合う。
わんわんも。
「わふーっ!」
雪玉を追いかけて。
ぴょん。
ぴょん。
大はしゃぎ。
「今年もにぎやかだなぁ」
遠くでそんちょーがにこにこ笑ってる。
「元気が一番だよなぁ」
◇
しばらくして。
「そろそろおうちに帰ろうよぉ」
ポルンが言い出した。
「そうだな。お正月だしな」
「今日は家族でゆっくり過ごさないとですね!」
「うん!」
みんな素直にうなずく。
「また明日ね!」
「またねー!」
「ばいばーい!」
手を振って。
それぞれのお家へ帰っていった。
◇
おうちに帰って。
お部屋はぽかぽか。
お鍋の中では。
ぐつぐつ。
いい匂い。
「お雑煮できたよ」
お母さんが運んでくる。
「やったー!」
ユウトは大喜び。
「ゆっくり噛んで食べるんだぞ」
お父さんが笑う。
「うん」
ボクは元気に返事した。
◇
お腹いっぱい食べると。
「ふぅ」
ユウトは、ごろん。
お父さんも。
「よいしょ」
ごろん。
お母さんは。
ふふっと笑いながら。
みんなを見つめていた。
◇
「ねぇ、おとうさん」
「なんだ?」
「ことしもいっぱいあそべる?」
「もちろん」
「いっぱいわらえる?」
「もちろん」
「あかちゃんもうまれる?」
お母さんは優しくお腹をなでた。
「うん」
「もう少ししたらね」
ユウトも。
そっとお腹をなでる。
「まってるからね」
お腹の中で。
ぽこん。
「あっ!」
「今、動いた!」
お父さんも。
お母さんも笑う。
「きっと返事してるんだね」
「えへへ」
ユウトも笑った。
◇
外では。
雪がしんしん降っている。
でも。
お部屋の中は。
ぽかぽか。
笑顔がいっぱい。
家族みんなで。
のんびり過ごすお正月。
それだけで。
とても幸せだった。
そして。
おふとんに入ると。
うにうに。
もぞもぞ。
今日も気持ちいい。
「えへへ」
今年もきっと。
笑顔がいっぱいの一年になる。
ユウトはそう思いながら。
ゆっくり目を閉じた。
「おやすみ」
新しい一年も。
今日も世界は平和だった。




