第八十七話 おふとんはさいきょー
朝。
ひゅるるる。
窓の外では、まだ雪が静かに降っていた。
「さむぅ……」
ユウトは、おふとんの中でもぞもぞ。
「……あったかい」
ぎゅっ。
おふとんを抱きしめる。
「やっぱり、おふとんはさいきょー」
その時だった。
「ユウトー!」
どんどんどん!
「あーそーぼー!」
元気いっぱいの声。
「……リサ」
ユウトは目を閉じる。
「きこえなーい」
おふとんを頭までかぶる。
ぬくぬく。
ぽかぽか。
このまま寝ていたい。
でも。
ばっ。
「おはよー!」
「わぁっ!」
やっぱり、おふとんはめくられた。
「今日も遊ぶよ!」
「まだ、おふとんでうにうにしてたい」
「だーめ!」
リサは笑う。
「冬はね、お外も楽しいの!」
◇
結局。
いつもの広場。
昨日作ったかまくらは、まだちゃんと残っていた。
「おぉー!」
「まだある!」
「よかったぁ」
みんな嬉しそう。
でも。
「さむい」
ユウトはぶるっ。
「ボク、おうち帰っておふとんしたい」
「またー?」
リサが笑う。
「ユウト、おふとん好きすぎ!」
「好きだもん」
胸を張る。
「おふとんはさいきょーだから」
「わはは!」
ガンツが笑った。
「そんなにすごいか?」
「すごいよ!」
ユウトは真剣だった。
「ふかふかで」
「ぬくぬくで」
「うにうにできる!」
「最後だけおかしいですね」
ミックが笑う。
◇
「そんなに好きなら」
ガンツがにやり。
「どっちが強いか勝負しようぜ」
「しょうぶ?」
「おふとんとオレたち!」
「えぇ?」
「ユウトを笑わせたり遊ばせたりして、おふとんのこと忘れさせる!」
「面白そう!」
リサも乗ってきた。
「リサもやる!」
「ボクもです!」
「お腹が空いたら終わりね」
ポルンはいつも通りだった。
◇
最初は雪だるま。
「できたー!」
大きな雪だるま。
「わぁ!」
ユウトは拍手。
次は雪のすべり台。
「いくよー!」
しゅーっ!
「きゃはは!」
何回も滑る。
わんわんも。
「わふーーっ!」
ころころころ。
転がり落ちてきた。
「かわいい!」
みんな大笑い。
◇
そのあと。
かくれんぼ。
雪の中で追いかけっこ。
雪玉転がし競争。
いっぱい遊んだ。
「はぁ」
「たのしい」
ユウトは笑っていた。
すると。
リサが得意そうに胸を張る。
「ほらね!」
「もう、おふとんのこと忘れてる!」
「……」
ユウトは考える。
「うーん」
「忘れてないよ?」
「えぇーっ!」
「ずっと思ってた」
「えぇぇぇ!」
みんな転びそうになった。
◇
「だってね」
ユウトはにこにこ。
「いっぱい遊ぶと」
「おうち帰って」
「おふとん入るのがもっと気持ちいいんだもん」
「……」
一瞬。
みんな黙る。
「それは」
ミックがぽつり。
「確かにそうですね」
「うん」
リーナお姉ちゃんも頷いた。
「いっぱい遊んだ日の、おふとんって最高だよね」
「でしょ!」
ユウトは嬉しそう。
「だから」
「あそぶのもすき!」
「でも」
「さいごは、おふとん!」
「わははは!」
ガンツが大笑いした。
「負けた!」
「おふとんには勝てねぇ!」
◇
夕方。
みんなで手を振る。
「また明日ー!」
「ばいばーい!」
「わふっ!」
ユウトはおうちへ帰る。
◇
夜。
ぽふっ。
いつものおふとん。
「はぁぁぁ」
あったかい。
ふかふか。
ぬくぬく。
わんわんも。
ぽふっ。
隣で丸くなる。
「わふぅ」
ユウトは笑った。
「いっぱいあそぶのもすき」
「でも」
「やっぱり」
ぎゅっ。
おふとんを抱きしめる。
「おふとんはさいきょー」
外では。
しんしん。
雪が静かに降っていた。
でも。
おふとんの中は今日もぽかぽか。
世界で一番幸せな場所だった。




