第八十五話 みんなで雪合戦!
朝。
「ユウトー!」
どんどんどん。
「あーそーぼー!!」
元気いっぱいな声。
「んぅ……」
ユウトはお布団から顔を出した。
ふとんをがばっとめくられる。
目の前には大きなお目目。
ぱちぱちとまばたきしてる。
「雪だよー!」
リサが大きく手を振りあげ、なぜか雪を持 っている。
リサがにこっと笑う。
すると。
手に持つ雪を洋服の中に入れてきた!!
「わわわっ、つ、つめたいぃ」
「あははっ」
とその横、リサは大笑い。
リサは笑いながら手を伸ばす。
「さっ、行くわよ!」
全く強引である。
でも、そこがいい。
「うん」
ユウトはぱっと起き上がる。
今日は何をするんだろう。
わくわくがとまらない。
◇
「いってきまーす!」
「転ばないようにね」
お母さんはやさしくユウトに手袋をはめながら。
「手袋ちゃんとするのよ」
お母さんが笑う。
「うん!」
ユウトは元気よく返事をした。
今日は昨日よりもっと雪が積もっていた。
歩くたび。
さくっ。
さくっ。
白い道が音を立てる。
「すごーい!」
「ねっ、起きてよかったでしょう?全部真っ白よ!」
リサは嬉しそう。
「今日は遊び放題ね!」
その時。
遠くにわんわんを見つけた。
あっ、わんわんだ。
「わんわーん」
ユウトはわんわんに手を振る。
わんわんが振り向き。
たたたっとかけてくる。
「わふーーっ!」
ぽーんっ!
胸へ飛び込む。
「わっ!」
「あははっ」
「ゆきだらけ!」
ユウトは笑いながら。
わしゃわしゃ。
頭を撫でた。
「わんわん、真っ白!」
頭にも。
背中にも。
雪がいっぱい乗っていた。
「あははっ!」
ユウトは笑った。
◇
広場。
雪だるまが何個もある。
「おーい!」
ガンツたちが雪玉を作ってた。
みんな気付いて手を振ってる。
「一緒に雪合戦しよーぜ」
「おーー!」
みんな大歓声。
「あっ、それとですね!」
ミックが指を立てる。
「雪は強くぎゅっとしないこと」
「それに顔は狙ったらダメだぞ」
ポルンが胸の前で両腕をバツにする。
「痛かったらすぐやめること」
「誰か泣いたら終わりね。ガンツ泣かないでね」
リサは、うふふっとガンツを見て笑った。
「わはは。雪合戦で泣くわけねーだろ」
ガンツは楽しそう。
「よーし、やるぞー!」
ミックとポルンはもう雪を丸め始めていた。
「はい、いっぱい作るのです」
「もう、こんなに作ったよぉ」
ころころ。
ころころ。
小さな雪玉。
大きな雪玉。
気が付けば、みんな夢中だった。
◇
「いくぞー!」
びゅっ!
ガンツの雪玉。
「きゃー!」
リサが笑いながらよける。
「それー!」
ぽふっ。
「うわっ!」
今度はガンツに命中。
「やったー!」
「リサ、やるなぁ!」
ユウトも雪玉を作る。
ころころ。
「えいっ!」
ぽすっ。
「わぁ!」
ミックの帽子に当たった。
「やりましたねぇ」
ミックも笑う。
「反撃です!」
ぽふっ。
「きゃっ」
ユウトの胸に当たった。
「あははっ!」
みんな笑う。
◇
その頃。
「わふっ!」
わんわんも負けていなかった。
ぴょーん!
ぴょーん!
飛んでくる雪玉を追いかける。
ぱくっ。
「あっ!」
「食べた!」
「わははは!」
でも。
口に入った雪は冷たかった。
「わふぅ!?」
ぶるぶるっ!
慌てて雪を吐き出す。
「きゃははは!」
みんな大笑い。
今度は。
雪玉じゃなく。
降ってくる雪を食べようと。
ぴょん!
ぴょん!
ぴょーん!
「わふっ!」
でも。
ふわっ。
ふわっ。
雪は逃げていく。
「わふ?」
不思議そうに首をかしげる姿に。
「かわいいー!」
リサが笑った。
◇
しばらく遊ぶと。
「はぁ……」
「疲れたぁ」
みんな雪の上へごろん。
空を見上げる。
白い雪が。
ふわふわ。
静かに降ってくる。
「きれいだね」
ユウトがぽつり。
「うん」
リサも空を見る。
「雪ってさ」
「遊ぶだけじゃないんだね」
「なんだか見てるだけでも楽しい」
誰も返事をしない。
でも。
みんな同じ気持ちだった。
◇
「そうだ!」
ガンツが起き上がる。
「明日はもっとでっかい事しよろうぜ!」
「でっかい?」
「そう、大きなかまくらとか!」
「うん、それ楽しそう!」
リサが飛び上がる。
「リサも作る!」
「ボクも!」
「私も賛成です」
「中に入れたら楽しそうですねぇ」
「お腹空いたら食べよう!」
ポルンはいつも通りだった。
「わはは!」
またみんな笑う。
「よーし、ミック、ポルン。でっかい雪だるまを作って準備しようぜ」
とガンツは言って元気に雪をコロコロし始めた。
◇
帰り道。
さくっ。
さくっ。
雪を踏みながら歩く。
わんわんは。
ユウトの足あとへ。
ぴょん。
ぴょん。
楽しそうについていく。
「明日も遊ぼうね」
「うん!」
その約束を聞いていたように。
空から。
ふわり。
またひらひらと。
雪が舞い降りた。
明日はもっと楽しい一日になる。
そんな気がした。




