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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第四章 冬は、おふとん

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第八十話 甘くて丸い、月林檎

「ただいまー!」


 お父さんが帰ってきた。

 大きな木箱を抱えて。


「おかえりー!」


 ユウトは急いでお出迎え。


「お帰りなさい。重そうね、大丈夫?」


 お母さんもゆっくりぱたぱたと、大きくなったお腹を抱えながらやってきた。


「あぁ、今年も叔父さんから届いたよ」


 どんっ。

 木箱を置く。


「なぁに?」


 ユウトは大きな木箱の隣に、ちょこん。

 何だろうと興味津々。

 ペタペタと箱をさわる。

 ユウトの目はきらきら。

 お父さんを見上げる。


「ふっふっふっ、じゃーん」


 お父さんが箱をばーんと開ける。

 中には。

 ころん。

 ごろごろ。

 丸い果物がいっぱい。


「わぁぁ!」


 まるくて。

 いい匂いで。

 お月さまみたいな色。


「あっ、やっぱり月林檎ね。嬉しいわぁ」


 お母さんは分かってたみたい。

 両手を絡み合わせて嬉しそう。


「今年は豊作らしいぞ」


「あらっ、よかったわね。叔父さんの月林檎すごく評判いいから嬉しいわ」


 きゃっ、きゃっと喜んでいる。

 好きなのが伝わってくる。


「つきりんご!」


 ユウトは目をまん丸に。

 薄い黄色の皮。

 ほんのり甘い匂い。


「ん~、いい香りね。すごく美味しそう。後でみんなで食べましょうね」


 お母さんは月林檎を一つ手に取り嬉しそう。


「やったー!」


「あっ、そうだ。ねぇ、ユウト。たくさんもらったからリサちゃんの家にお裾分けしてきて」


「うん、分かった」


   ◇


 リサの家。


「はい、つききんご。おかあさんがどうぞって」


 袋いっぱいに入れた月林檎。

 甘いかおりがする。

 リサに袋いっぱいの月林檎を渡す。


「わぁ、こんなにいっぱい。いいの!?ありがとー」


 いつの間にかリーナお姉ちゃんが飛んできた。


「きゃーっ、月林檎すごく好きなの。美味しいよね。ユウトくん、ありがとう」


「うん!」


 わーいと、リーナお姉ちゃんが褒めてくれた。えへへっ。と照れくさい。

 リーナお姉ちゃんも月林檎が好きみたい。


「今年ももらったの!?」


「うん、いっぱいきたよ!」


「きゃー、いいなー」


 リサもリーナお姉ちゃんもなぜか大喜び。


「リーナお姉ちゃーん好きだもんねー」


「ふふっ、リサも好きでしょ」


 リサとリーナお姉ちゃんは見合わせて楽しそう。


「あらっ。月林檎ね。美味しい季節よね」


 いつの間にかリサママもいた。

 ありがとう。とユウトの頭をなでなで。

 ユウトは再びえへへっと照れた。


「リサも大好き!」


「ボクも!」


 すると。


「すごく、いい匂いよねぇ」


 くんくん。

 くんくん。

 すごくいい匂い。


「これを見ると、あー、いよいよ冬だなって思うのよねー」


 リサママも嬉しそう。


「ねー」


 みんな嬉しそうに、にっこり。

 幸せいっぱい。


   ◇


 夕方。 

 だんだんと日も落ちてきて。

 風も冷たくなってきた。

 でも。

 今日はこれからお楽しみ。


「よーし」


 お父さんが一つ手に取る。


「まずは、そのまま食べよう」


 しゃりっ。


「わぁーい、たべるぅ」


 中は薄い黄色。

 甘い香りが広がる。

 ユウトは、ぱくっ。


「やっぱりそのままが一番だな」


 お父さんが美味しそうに食べる。

 ぱくっぱくっと食べる。

 しゃくっ。しゃくっ。


 甘い。

 すごく甘い。

 でも、さっぱり。


「うん、おいしー!」


「本当にそうね。とってもおいしいわー!」


 お母さんもにこにこ。


「しあわせぇ~」


 縁側で。

 わんわんにもお裾分け。

 小さく切った月林檎。

 しっぽをぶんぶん。


「わふっ!」


 もぐもぐ美味しそう。


   ◇


「あっ、そうだ!」


 お母さんがパンっと手を叩き、立ち上がる。


「月林檎のパイを作ろーっと♪」


「ぱい!?」


「うふふっ、ユウトもお手伝いしてね」


「うん!」


   ◇


「はい、ユウトこれを、混ぜてねー」


「うん」


 パイ生地を作ったり。

 月林檎を洗ったり。

 お母さんは楽しそうに歌いながら作る。


「るんるん♪るんるーん♪」

 

「月林檎を甘く煮て~♪」


「パイに包んで焼くだけよ~♪」


 甘~い香りが部屋中に広がる。

 じゅわぁ、じゅわぁ~♪

 と幸せな音がする。


「うーん、これよこれ。この匂いがいいのよねぇ」


 お母さんが幸せそうに鼻をくんくん。


「もう食べれる?」


「うふふっ、ユウト。まだよ。もう少し待ってね」


「はーい」


 お母さんと笑い合う。

 そして。


「できたわよ」


「わぁぁぁ!」


 焼いた月林檎のパイ。

 湯気がふわふわ。


 ぱくっ。サクッ。


「あつっ」


「あついけど、おいしーね」


「寒い時はこれが美味しいのよぉ」


 お母さんは幸せそう。

 外は寒いのに。

 でも。

 焼きたての月林檎のパイは。

 甘くて。

 あったかくて。

 とっても美味しかった。


   ◇


 夜。


「やっぱり月林檎はうまいなぁ」


「うふふっ、本当ね」


「月林檎ってお母さんが子どもの頃もみーんな大好きだったのよっ」


 お母さんは、また少し月林檎を食べながら幸せそう。


「そうなの?」


「うん、それにね。月みたいな色だから月林檎って呼ばれてるんだって」


 ユウトは外を見た。

 ちょうど。

 まんまるお月さま。


「ほんとだ!」


「ねっ、似てるでしょ」


 お母さんもにっこり。


「うん!おつきさまみたい」


   ◇


 夜。

 お布団の中。

 ぬくぬく。

 ぽかぽか。

 ユウトは、今日も幸せそう。


「えへへ」


 お空には、まんまるお月さま。

 黄色い光。

 そして。

 台所には、まだいっぱいの月林檎。


「また明日食べよう」


 うにうに。

 うにうに。


「おやすみぃ」


 すやぁ。

 冬の夜。

 甘い月林檎の香りと一緒に。

 今日も世界は。

 平和だった。

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