第七十九話 まさかのこたつみかん
今日はとても寒い。
リサと外で遊んでいたけど。
「さむーい」
ユウトは鼻をすすった。
「リサも寒ーい」
リサも両手をこすこす。
「うん、うちで遊ぼう」
二人でリサのお家に。
「うぅー」
「足が冷たいよぉ」
ぺたん。
二人で床に転がる。
「そんなところで寝転がってると、もっと冷えるわよ?」
リサママがくすっと笑った。
「だって寒いんだもん」
「そうそう!」
「こんな時のためにね」
リサママはにっこり。
「いいもの買っちゃったの」
「いいもの?」
「こないだサルーキさんから買ったのよ」
「ぎょーしょーおじさん!」
ユウトの目がきらり。
◇
「これよ」
ぺらっ。
リサママが見せてくれたのは、一枚のお札。
「もしかして?」
「ふふっ、そうよ。魔法の紙よ」
「まほうのかみ!」
「これを机の下に貼ってね」
ぺたり。
「それで」
リサママは集中し、胸を張る。
「――温化」
ぽわっ。
「あれ?」
「わっ!」
机の下が、ほんのり暖かくなった。
「おぉー!」
「ほんとだぁ!」
「すごーい!」
ユウトとリサは机の下に足をのばす。
「わぁぁぁ」
「あったかーい!」
「しばらく温かいんですって」
「すごーい!」
ユウトは感動した。
「ねっ、便利よねー」
リサママはすごく嬉しそう。
◇
すると。
「うーん」
リサママが腕を組む。
「思ってたより温かくならないわね」
「えー、でもぽかぽかだよ」
「でも、もっと暖かくならないかしら?」
「もっと?」
「うん、そうね。この中の熱を逃げないようにできれば……」
そして。
「あっ!」
リサママの目がぴかーん。
「そうだ!」
「リーナー!」
「はーい」
リーナお姉ちゃんが部屋から出てきた。
「どうしたの?」
「ちょっと手伝って!」
◇
ごそごそ。
がさがさ。
「よいしょっと」
リサママとリーナお姉ちゃんが、大きなお布団を持ってきた。
「おふとん?」
「そう!」
机の上に、ふわり。
その上から布団をかぶせる。
さらに。
「よいしょ」
上に板を乗せた。
「できた!」
「なにこれ?」
「秘密基地?」
「ふふふ」
リサママは得意顔。
「入ってごらん」
ぽわっ。
「わぁぁぁ、おふとんきもちいい」
「わぁ、さっきよりあったかーい!」
「ママ、これすごくいいね!」
みんな大感激。
机の下は、ぬくぬく。ぽかぽか。
お布団のおかげで暖かさが逃げない。
「すごーい!」
「なんか秘密基地みたい!」
「足があったかーい!」
リーナお姉ちゃんもにっこり。
「ほんとだぁ」
「気持ちいいね」
すると。
ぐぅ~。
「あっ」
ユウトのお腹。
「ふふっ」
「おやつにしましょうか」
リサママが笑った。
◇
ころころ。
ころころ。
机の上に置かれたのは。
「みかん!」
「わぁー!」
オレンジ色のまんまる。
「食べよー!」
「うん!」
むきむき。
「リサ、じょうずー」
「えへへ」
「ユウトもできるよ!」
ぺりぺり。
「できた!」
ぱくっ。
「わぁ」
「甘ーい!」
「おいしー!」
リーナお姉ちゃんも。
「ふふっ」
「冬のみかんって美味しいよね」
「うん!」
リサママもみかんをむく。
「はぁー」
「暖かいところで食べるみかんって最高ねぇ」
ぽわぽわ。
ぬくぬく。
もぐもぐ。
「しあわせー」
ユウトが言った。
「うん!」
リサも大きく頷く。
「リサも!」
「おふとんとみかん、さいこー!」
◇
それから。
「温化!」
ぽわっ。
「温化!」
ぽわぽわ。
魔法のお札を使いながら。
みんなでぬくぬく。
「もう出たくなーい」
リサがごろん。
「ボクもー」
ごろん。
「ふふっ」
リーナお姉ちゃんもごろん。
「もう、みんなだらけちゃって」
と言いながら。
リサママも。
「よいしょっと」
ごろん。
「きゃははは!」
「リサママもー!」
「だって暖かいんだもの」
みんな大笑い。
そして。
ひゅるるる。
外では冷たい風。
でも。
お部屋の中は。
ぽかぽかでぬくぬくで
お口はもぐもぐ美味しかった。
「ねぇ」
ユウトが笑った。
「これ、なんていうの?」
「んー?」
リサママは考えて。
「そうねぇ」
机。
お布団。
みかん。
ぽかぽか。
「こたつ……かしら?」
「こたつ!」
「こたつ!」
「こたつー!」
こうして。
村に初めて。
ぬくぬくで。
みかんが美味しくて。
一度入ったら出られなくなる不思議な机『こたつ』が誕生した。
そして。
「みかん、もう一個ー!」
「ユウト、食べすぎー!」
「えへへー」
冬の幸せは。
ぽかぽかと。
みかんの甘い匂いと一緒に。
今日ものんびり流れていくのでした。




