第七十六話 あったかおふとん
ひゅー。ひゅるるる。
ひゅー。ひゅるるる。
今日は雪が降ってないけど、冷たい風がしんしんと吹いている。
「さむーい」
ユウトはお布団の中で丸くなっていた。
「ユウトー!」
元気な声。
最近、毎日のように朝から来てくれる。
実はちょっと嬉しい。
けど、眠たい。寝たい。
ばっ!
「おはよー!」
「わっ」
ふとんをまた被ろうとするけど
リサに邪魔される。
「遊ぼ!」
「さむいよぉ」
「大丈夫!」
リサはにっこり。
「いっぱい動けばあったかくなるよ!」
「うぅー」
でも寒い。
「ほらほら!」
リサに手を引っ張られて。
ユウトはお外へ。
◇
「おーい!」
「おはよぉ!」
「おはようございます!」
ガンツたち、みんなもいる。
なんだか安心する。
「今日は、あそこの様子見に行こうぜ」
と、ガンツは森の方をチラリと見る。
もちろん秘密基地の奥の部屋だ。
「う……うん」
ユウトはまだ行きたくはなかったけど、みんなと一緒ならと思ってこくんと頷く。
「わふっ!」
みんなで森へ。
さくっ。
さくっ。
落ち葉を踏む。
でも。
「さみぃー!」
ガンツが叫ぶ。
「鼻が冷たいよぉ」
ポルンもぶるぶる。
「指がかじかみますね」
ミックも手をこすこす。
わんわんも。
「わふっ!」
元気いっぱいしっぽを振ってる。
寒くなさそうだ。
「リサも寒ーい」
と言ってはぁーっと白い息を吐いて遊んでる。みんなも真似する。
でも、歩いてるうちに。
体はだんだんぽかぽか。
遠くに見える大きな木。
だんだん近づくとあの木が優しい笑顔でようこそ。おいでおいで。してるように感じた。
みんなでだんだんと足が早くなる。
急いでまずは秘密基地へ。
◇
「うぅー、寒い。寒い」
「さむかったぁ」
「手が冷たいですぅ」
と、ミックがポルンに手をくっつける。
「ひゃっ」
その様子になんだか楽しくなって。
あははっ。
みんな笑った。
◇
秘密基地も寒かった。
「帰るか?」
ガンツがユウトに先に行きたくないか確認してくれる。優しさが伝わってくる。
「ううん、いくよ」
「でも、その前に」
リサはにんまり。
「もっと遊びたいの」
「遊びたいですが、寒いのをどうにかしたいです」
「うん、寒いよぉ」
ミックとポルンはかなり寒そうだ。
その時。
「あっ!」
ユウトが立ち上がった。
「いいこと思いついた!」
「ん?」
「あれだよ、あれっ」
ユウトはにっこり。
「あれ?」
リサが首をかしげる。
「おふとん召喚!」
ぽわん。
「きゃー!きたー!」
ふかふかのお布団。
「おっ、いいなー!」
「わははっ!」
「いつ見てもすごいです!」
「わぁーい!」
「わふー!」
みんな飛び込んだ。
ぼふっ。
「うおぉぉぉ!」
ガンツが目を丸くする。
「あったけぇ!」
「ふにゃぁ~」
ポルンはごろーん。
「これは最高ですねぇ」
ミックもうっとり。
「ふふーん」
リサもごろごろ。
「おふとんさいこー!」
わんわんも。
ごろん。
「わふぅ~」
しっぽぶんぶん。
◇
「うにうに~」
リサがふとんの中でもぞもぞ。
「うにうに~」
ユウトももぞもぞ。
「わはは!」
「なんだそれ!」
ガンツも真似する。
「うにうに~」
「きゃはははっ!」
みんな大笑い。
すると。
「くんくん」
ポルンが鼻をぴくぴく。
「なんかいい匂い!」
「え?」
「ユウトのお腹だぁ!」
「わははっ!」
「お前腹減ってるだけだろ!」
「だってぇ」
ポルンのお腹。
ぐぅ~。
「きゃははは!」
みんな笑った。
◇
みんなでおふとんの中に入って。
おやつの時間。
「ボク、干しいもあるよ」
「リサ干柿持ってきた!これ甘いよ」
「見て見て。おにぎりとおまんじゅう」
いろんなお菓子や食べ物を持ってきて。
どれも美味しそう。
みんな笑顔だ。
「わふっ!」
みんなで分けっこ。
「あっ、おいもさんおいしーよ」
「うん、おいしいですねぇ」
「ポルンのまんじゅう、いつも旨いな!」
「わふわふ!」
そして。
ぽかぽかで。ふかふかで。
ごろごろ。うにうに。
ごろごろ。うにうに。
「もう出たくないー」
リサがふとんにくるまる。
「オレもー」
「ボクも」
「私もです」
「わふぅ」
すると。
みんなの笑ってる顔。
すごく楽しそう。
なんだか、自然に笑顔になった。
胸の奥がすごくぽかぽか。
「ふふっ」
ユウトも笑った。
「やっぱりみんなといるの楽しい」
「ん?」
リサが顔を出す。
「なんか言った?」
「ううん!」
ユウトはにっこり。
「なんでもない!」
「ふーん?」
リサもにっこり。
「リサも!」
「みんなといると楽しい!」
「わはは!」
「そうだな!」
「ですね!」
「お腹いっぱいだよぉ!」
「わふっ!」
みんな笑った。
◇
「よしっ、最後に見て帰るか!」
ガンツが言って。
みんな、こくんと頷く。
「行くぞー」
奥の部屋。
「えっ!」
部屋の真ん中には。
大きな鏡。
どうして?
だれが?
ユウトは驚きを隠せない。
みんなはにこにこしてる。
「わははっ、びっくりしただろ?」
「えっ?」
「よし、帰ろー!」
「えぇー!」
みんな、何も言わない。
「えっ、えっ、どうして鏡があるの?」
「ふふっ、ユウトよく見て」
ん?と思い、よく見ると。
鏡と思った、その場所には。
木で出来た板だった。
少し不恰好。
「みんなで作ったんですよ」
「ふっふっふっ、引っかかったねぇ」
「わははっ、ユウト目が丸まるだったぞ」
「ユウトに元気出して欲しくて。みんなで作ったの。本当は鏡を置きたかったけど、それは無理だったから。今はこれでがまんしてね」
「わふー!」
うぁーん。
みんなありがとう。
気持ちが溢れだす。
「わっ、わっ、やりすぎですよ、ガンツ」
「いやミックだって賛成してたじゃんか」
みんなわたわたしてる。
「あははっ。ううん、これはうれしくてだよっ」
ユウトは、すごく温かい気持ちになった。
ボクには頼もしい友達がいる。
鏡がなくったって、鏡を作ってくれた。
みんな、すごい!!
すごく、すっごく嬉しかった。
◇
外に出ると。
ひゅるるる。
冷たい風。
「さむー!」
「あははは!」
「走れー!」
みんな元気いっぱい。
でも、ボクの心は晴々していた。
そして。
その日の夜。
お布団の中。
ぬくぬく。
ぽかぽか。
ユウトはふとんをぎゅっと抱きしめ。
「えへへっ。おふとん、さいこー」
いつものユウトだ。
すやぁ。
外は、しんしんと寒く。
ふわふわと雪が降り始めている。
冬は寒い。
でも。
おふとんと。
みんながいれば。
今日も世界はぽかぽかだ。




