第七十話 うーにーず①妖精さん、お願い!
リュックを背負って。
「しゅっぱーつ!」
リサが元気いっぱい手を上げる。
「おー!」
「わふっ!」
ユウトもわんわんも元気いっぱい。
そして。
「わーいっ!」
ジーンはふふふんとご機嫌。
わんわんの背中にちょこんと座っていた。
「特等席だねー!」
ご機嫌でわんわんの首をなでなで。
わんわんもしっぽをぶんぶん。
四人と一匹は森へ向かった。
◇
ユウトは家に帰った時。
お母さんとお父さんに森の秘密基地に行くことを伝えた。
おともだちがぴんちなこと。
たべものがほしいこと。
ほしいもとほしがきをもっていきたいこと。
リサやガンツたちといくこと。
しっかり伝えた。
お母さんとお父さんは。
優しく微笑み。
遅くならないように。
もう森の中は寒いから、暖かい格好をするように。
そして、狐さんが描かれ御札の貼られた小さな箱を持って行くように。
と教えてくれた。
そして。
おやつのクッキー。
干芋や干柿。
おにぎりや水筒。
そして小さな箱。
リュックいっぱいに詰め込んだ。
◇
はぁー。とすると、息は白く。
空気は冷たい。
でも、森の中を歩くたびに。
さくっ。さくっ。
かさっ。かささっ。
さくっ。さくっ。ばさっ。
地面いっぱいの枯れ葉が。
素敵な音色を奏でる。
みんな楽しそうに。
枯れ葉を踏んで進む。
木の間をすり抜けて。
根っこのお山を乗り越えて。
葉っぱが無くなった木は。
なんだか少し寂しげだけど。
遠くに見えるあの木だけは。
葉っぱをいっぱい身につけて。
ボクたちを歓迎してくれてるようだった。
◇
「ふーっ。着いたー」
「とうちゃーく!」
大きな木の下に広がる洞窟。
秘密基地に着くと、リサがばんざーい。
「ジーン、ここがリサたちの秘密基地よ!」
「ボクたちのひみつー」
「わふっ!」
わんわんも誇らしそう。
「すごーい!」
ジーンはキョロキョロ。
木漏れ日がきらきら。
小鳥のさえずり。
寒いけど、なんだか気持ちいい風。
「不思議なところねー。でもとってもいいところね。落ち着くわー」
すると。
くんくん。
ジーンが鼻を動かした。
「あれ?」
「どうしたの?」
「それにね、この木。この木よ」
ジーンは辺りを見回す。
「この木はね、妖精様が大好きな木よ」
「ほんと!?」
リサがぱぁっと顔を明るくした。
「うん。すっごくいい香りだもの」
「近くにいるのかな?」
ユウトもきょろきょろ。
でも。
誰もいない。
◇
「妖精さーん!」
リサが両手を口に当てる。
「おねがいしまーす!」
「ボクたちきたよー!」
「わふー!」
わんわんも吠える。
「妖精様ー!」
ジーンも小さな声で呼ぶ。
でも。
さらさら。
風が吹くだけ。
「いないのかなぁ」
リサが残念そうにしょんぼり。
「おでかけかなぁ」
ユウトもこてんと首をかしげる。
「困ったね」
ジーンも、うーんと考える。
その時。
「よしっ、みんなで遊びましょ」
ジーンが急に言い出した。
「どうして?すぐ探さなくていいの?」
「くすくすっ。探してもいない時はいないものよ」
ジーンは少し離れた場所を見る。
「それに、ここは妖精様にとって大切な場所」
「ここ?」
「うん、だから楽しく過ごすの」
「どうして?」
「妖精様だって、遊びたいでしょ」
くすくすっと楽しそうに。
ジーンはにっこり笑った。
「うん。わかった」
「それがいいわね!」
みんな笑った。
◇
その後。
鬼ごっこやかくれんぼ。
虫を見つけたり。
楽しくしゃべったり。
みんなでいっぱい遊んだ。
そして、何度も呼んでみた。
「妖精さまー!」
「リサ会いたーい!」
「ボクたちここだよー!」
ユウトたちの声がこだまする。
でも。
何も起きない。
しーん。
静けさにリサが耐えきれず
「あははっ」
なんだか面白くなって。
みんな顔を見合わせて。
つられて笑った。
「わははっ」
「くすくすっ」
◇
「ふぅ、疲れたー」
リサがぺたん。
「でも、楽しかったね」
「ボクもー」
ユウトもぺたん。
「わふぅ」
わんわんもごろん。
すると。
「ねぇ」
リサがにっこり。
「お昼寝しよ!」
「さんせー」
「わふっ!」
「えっ?」
ジーンがぱちくり。
「こんな所で?」
「うん!だっていっぱい遊んだら」
リサはにっこり。
「寝むくなるでしょ?」
リサはユウトにパチリとウインク。
「うん」
ユウトもコクンと頷き、嬉しそう。
「おふとん召喚!」
「えっ?」
ジーンがまたびっくり。
その瞬間。
ぽわんっ。
ふかふかのお布団が現れた。
「きゃああっ!?」
ジーンが飛び上がる。
「えぇぇ、なにこれー!?」
「ふふーん」
リサが得意顔。
「ユウトのお布団だよ!」
「ふわふわだよー」
「す、すごーい!」
ジーンは恐る恐る触る。
「やわらかーい!」
「わーい!」
ぴょんっと飛び込んだ。
「きゃはははっ!」
ころころ転がる。
「気持ちいいー!」
「でしょー!」
リサもごろん。
ユウトもごろん。
わんわんもごろん。
ふわふわ。
ぽかぽか。
気持ちいい風。
いつの間にか。
みんなすやすや。
ジーンもわんわんに抱きつきながら。
すやぁ。
そして。
いつの間にか。
どこから来たのか。
白うさも。
白にゃーも。
お布団の中ですやすや。
◇
ふわり。
小さな光が舞い降りる。
ふわふわとゆっくりその光は。
光が徐々に弱くなる。
そして。
小さな羽に。
小さな体。
森の小さな妖精さん。
大きな木の下で寝てるみんなを見る。
すやすや眠るみんなを見て。
くすっと笑う。
そして。
小さな袋を置いた。
きらきら。
金色の粉。
妖精の粉。
みんなを起こさないように。
そっと。
そっと。
そして。
ふわり。
また光になって消えていった。
◇
「ふぁ~」
最初に目を覚ましたのはユウトだった。
「よくねたー」
「わふっ」
わんわんも起きる。
「ん?」
ユウトは周りを見る。
「あれ?」
いつの間にやら。
白にゃーや白うさがいる。
小声で。
「リサー」
「んー?」
「見て見てー」
と、指差す。
リサも気づいて目が輝く。
ふわっと、なでる。
気持ちいい。
ふと、ユウトは枕元を見る。
「あれ?」
小さな袋。
「リサー!」
「んー?」
「これおいた?」
「え?」
リサはユウトの所に来て。
「リサのじゃないよ」
と言って中を開けると。
きらきら。
袋の中には光る粉。
「きゃっ、これって!」
「ジーン、おきてー!」
小声で起こす。
ゆさゆさ。
「ふぁぁ……」
ジーンが目をこする。
「んー?わぁ、動物さんがいっぱいねー。かっわいぃ」
と、目がハートマークに。
リサが、それじゃないと袋を見せる。
「これよこれ!見て!」
「ん?くんくん」
ジーンの目がまん丸になる。
「わっ、これは妖精様の匂いがするよ!」
ジーンは袋をゆっくりと両手いっぱいに持ち、置き場所を変えて中を見る。
「えっ。ええっ!」
中にはキラキラのお粉。
「これ、妖精様のお粉だよ。なんでー?」
ぴょこんっと立ち上がる。
「これが?」
手で救うとキラキラ光ってる。
「うん、間違いないわ。昔見たことあるもの。妖精様のお粉よ!」
ジーンはすごく興奮してる。
どうしよう。どうしよう。とはしゃいでる。
「ようせいさん、たすけてくれた?」
「うん!」
ジーンの目がきらきら。
「よかったね」
「うん!うん!」
嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。
その時。
「おーい!」
「ユウトー!」
遠くから声が聞こえた。
「おっ、いたいた!やっぱりこっちだっただろ?こっち来て正解じゃねーかぁ。わっはっは」
ガンツはなんか楽しそう。
「ふぅ、重かったよぉ~」
「ほら袋いっぱいですよ!」
ガンツ。
ポルン。
ミック。
三人が大きな袋を抱えてやって来た。
「見ろよ!」
「柿いっぱい!」
「栗も拾ってきたよぉ!」
「ふっふっふ。私たちに任せればこのくらい当然です!」
「わぁー!」
ジーンは目をうるうるさせながら。
「みんなぁ!」
とびっきりの笑顔になった。




