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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第三章 秋は、美味しい

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第六十六話 栗ご飯は、ほくほく

 ピィーヨ。ピィーヨ。

 キーキー、ピーピー


 朝から鳥さんの声が遠くから聞こえる。


 ひゅるるる。


 秋の風が窓を揺らす。

 おふとんの中。


 うにうに。

 うにうに。


「んーっ」


 ユウトはおふとんを股に挟みながら、ほっぺをすりすり。


「おふとんあったかーい」


 でも。


 くん。

 くんくん。


「ん?」


 なんだかいい匂い。


 くんくん。


 もっといい匂い。


「わぁ!」


 ユウトは飛び起きた。


「おいしそう!」


 わんわんも。


「わふっ!」


 しっぽぶんぶん。

 てってって。

 二人は台所へ。


   ◇


「おはよう」


 お母さんがにっこり。


「おはよー!」


 ユウトは目をきらきら。

 目の前には、美味しそうな朝ごはん。

 ご飯に、味噌汁、卵焼き。

 ユウトの大好物だ。


「いいにおい!」


「ふふっ。昨日、いっぱい遊んだからお腹がすいたのかしらね。いっぱい食べなさい」


「はーい」


   ◇


「今日は栗ご飯を作るから手伝ってね」


「くりごはん!」


 ユウトはぴょんぴょん。


 昨日拾った栗。

 昨日、お父さんと一緒に焼き栗も食べた。


 今日は。

 大きなお鍋の中で栗ご飯を作るみたい。 

 楽しそう。


「それじゃ、さっそく栗を洗うぞー」


 さっそくお庭で栗を大きな鍋にいれてお父さんは持ってきた。


「これに水を入れてっと」


 ジャーっと水を入れる。


「よし、ユウト。じゃぶじゃぶ洗ってくれ」


「うん。くりさんがお風呂に入ってるみたいだね」


 お母さんはくすっと笑った。

 ユウトはゆっくり両手を入れてじゃぶじゃぶする。ひとつ。ひとつ。土や汚れを落としていく。


「ふふっ。上手ね」


「ほんと?」


「うん、とっても。栗さんと仲良しになってるのね。栗さん、きれいになって喜んでるわよ」


「へぇー!」


 ユウトはお鍋をのぞきこんだ。


 あっ!


 ひとつ栗が外にこぼしちゃった。

 お鍋の外にころころと転がっている。


「あれ、こぼれちゃったかな?」


 ユウトが拾おうと手を伸ばした、その時。


「ユウト、おはよー」


 元気な声。

 あっ、リサだ。と思って振り向いた。

 その時。

 

 カサッ。


 草むらが少しだけ揺れた気がした。

 んっ?風かな? と思って振り返ると、いつの間にか栗は消えている。


「あれっ、くりさんがどこにいったかな?」


「キョロキョロして どうしたの?」


 リサが不思議そうに指をあごに当てて聞く。


「んー、くりさんがひとつあそびにいっちゃった」


 リサが笑う。


 でも、その草むらの奥で、誰かが「くすくす」と笑ったような、そんな楽しい気がした。


   ◇


「それで、今何してるの?」


 リサが目をキラキラさせて見てる。


「くりさんをお風呂に入れてるんだよ」


「えー、いいなぁ。リサもしたーい」


「うん、いっしょにしよ!」


 リサはすぐ隣にやってきて、腕を捲る。


 きゃっきゃっ。

 じゃぶじゃぶ。

 ころころ。

 楽しそうに洗う。


「できたー、リサはやーい」


 えっへん。とリサは得意気。

 だがまだ土がついてる。


「リサ、まだ泥がついてるよ?」


「あららっ、ごめーん。失敗しちゃったね」


 ぺろっ。と舌を出す。

 すると。


「おーい!」


「おはよう!」


 ガンツたち三人組もやってきた。


「今日は栗ご飯だろ!」


「楽しみです!」


「くんくん。もうお腹すいたー!」


 ポルンはお腹を押さえる。


「あははは!」


 みんな笑った。


   ◇


 やがて。


「できたわよー」


 お母さんがふたを開ける。


 ふわぁぁ。


 湯気。

 いい匂い。


「わぁぁ!」


 ユウトも。

 リサも。

 ガンツも。

 ミックも。

 ポルンも。

 目がきらきら。


「黄色い!」


「栗がいっぱい!」


「すごいです!」


「おいしそう!」


 ポルンなんて。


「幸せの匂い……」


 うっとり。


「あはは!」


 お父さんも笑う。


   ◇


「いただきまーす!」


 ぱくっ。


「んー、おいしぃ!」


 ユウトは目を丸くした。


「あまくて、美味しいですー!」


「わぁ、いい匂い。それに、ほくほくしてる」


「すごくおいしねー!」


 リサもにこにこ。


「栗、うんめぇー!!」


 ガンツも。


「昨日みんなで拾った栗ですもん!」


 ミックも嬉しそう。


「はぁぁ……幸せぇ。世界で一番おいしいかも!」


 ポルンはすごく幸せそうな顔。

 ほっぺを押さえている。


「ポルン、まだ一口だぞ!」


 ガンツが笑う。


「あははは!」


 みんな大笑い。

 わんわんも。


「わふっ!」


 小さくした栗をもらって。

 もぐもぐ。

 しっぽぶんぶん。


   ◇


 おかわり。

 おかわりー。

 おかわりくださーい。

 まだ食べたーい。おかわりー。


 気がつけば。


「ふぅー」


 みんなお腹いっぱい。

 ぽかぽか。

 幸せ。


 ひゅるるる。


 秋の風。

 さらさら。

 落ち葉が踊る。

 庭の隅っこにある草むら。


「わぁ!」


「栗ご飯かぁ。美味しそう!」


 目をきらきら。


 後ろの方でユウトのお母さんが、残った栗ご飯をおにぎりにしている。


「いっぱい食べたわねぇ」


「これは小さいおにぎりにしちゃいましょう」


 ころん。


 最後の一つ。


 小さなおにぎり。


「あとで誰か食べるかな?」


 お母さんはにこにこ。


「よし、片付けなきゃ」


 と言ってお母さんは片付けに家の中へ。


「おっ?」


 きょろきょろ。


 誰もいない。


「よし、あの小さいのだ!」


 遠くでは子どもたちの笑い声。

 気づかれないように。

 見つからないように。


 てってってっ。てってって。


 素早く移動して、小さなおにぎりをひとつ。


「ありがとう!おにぎりさん」


 小さな影もにっこり。

 もぐもぐ。


「おいしー!」


 ひゅるるる。

 優しい風が吹いた。

 秋の恵みは。

 今日もみんなのお腹をぽかぽかにして。

 みんなをちょっぴり幸せにするのだった。

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