第六十五話 くり、だいばくはつ
秋の午後。
ひゅるるる。
落ち葉がさらさら。
栗拾いから帰ってきたユウトたちは、かごいっぱいの栗を見てにこにこ。
「いっぱいだー!」
ユウトは目をきらきら。
「わふっ!」
わんわんもしっぽをぶんぶん。
「なぁ!」
ガンツが胸を張る。
「さっそく焼き栗しようぜ!」
「おお!」
ポルンの目がぴかーっ。
「焼き栗!」
「いい匂いになるんですよ!」
ミックも嬉しそう。
「やったー!」
ユウトも大喜び。
◇
お庭のすみっこ。
「よーし!」
ガンツが小枝を集める。
「これくらいでいいかな?」
ミックも葉っぱを集める。
「焼き栗いっぱい!」
ポルンは栗を抱えてにこにこ。
「わーい!」
ユウトも嬉しそう。
ぱちぱち。
小さな火。
「できた!」
「すごい!」
「焼き栗だー!」
すると。
「栗はそのまま入れればいいんだよな!」
ガンツが栗を持ち上げた。
「入れましょう!たぶん大丈夫ですよ!」
ミックも元気よく頷く。
「いっぱい入れてもいい?」
ポルンなんて。
「んー、それじゃ、一気に10個いくかー!?」
ガンツが得意気に言う。
「おー!」
ころころ。
ぽいぽい。
栗が火の近くへ。
◇
しばらくして。
ぱちぱち。
ぱちぱち。
「まだかなー?」
「いい匂いしないなぁ」
「焼けてるんですかね?」
「お腹すいたー」
その時。
ぴしっ。
「ん?」
ユウトが首をかしげる。
ぴきっ。
「なんか音したぞ?」
ガンツも首をかしげた。
すると。
ボンッ!
「わぁ!」
たき火の中。
栗がひとつ。
弾け飛んだ!
「えっ!?」
「これ、まずくない!?」
!
みんな、慌てる。
その時。
ボンッ、ボーン!
バンッ、ポーン!
「ひゃぁぁ!」
「うわぁ!危なーい」
「爆発ですー!」
栗が弾け飛び跳ねる。
ポルンなんて。
「あぁ、栗が……」
涙目。
すると。
「みんな伏せろ!」
お父さんの声。
◇
ひゅん。
お父さんの手が光る。
「守りの結界!」
ぽわぁん。
透明な光がみんなを包む。
ぽんっ。
ぽーん。
飛び出した栗が結界に当たってころころ転がる。
さらに。
「炎よ、静まれ」
お父さんが指を向ける。
すると。
ぱちぱち。
火が小さくなっていく。
「ふぅ」
たぶん……。
お父さんが火にお願いしたのかな。
たき火の炎は何もなかったように消えた。
みんな。
ぽかーん。
「すげー!」
ガンツがびっくり。
「お父さんすごーい!」
ユウトも目をまんまる。
でも。
お父さんは。
にっこり。
していない。
◇
「みんな」
静かな声。
「うん……」
ガンツがしゅん。
「まずね」
「子どもだけで火を使っちゃだめ」
「うん……」
「たき火は大人と一緒にするものなんだ」
「ごめんなさい」
ガンツが頭を下げた。
ミックも。
「すみませんでした」
ポルンも。
「ごめんなさい」
ユウトも。
「ごめんなさい」
わんわんも。
「くぅーん」
耳をぺたん。
「それから」
お父さんは優しく笑った。
「栗はな、切れ目を入れないと、今みたいに中の熱でびっくりして飛び出しちゃうんだ」
「だから爆発したのか!」
ガンツが目を丸くする。
「なるほど!」
ミックも納得。
「くりさん、びっくりした?」
ユウトはちょっと心配そう。
「そうかもしれないね」
お父さんは頭をなでてくれた。
「知らないことは悪いことじゃない」
「でも、危ないことはしたらダメだよ。命に関わる事だってある」
「だから、行動する前に話して欲しい。みんなを守るためにもね」
「それにみんなと一緒に焼き栗食べたいからね」
お父さんはパチリとウインクした。
「うん!」
「危なかったもんねー。こんな怖いのは、もうこりごりだよ。」
「分かりました。これからは危ない事はしません!」
「はい!ボクもしないよ」
みんな元気よく返事した。
◇
「それじゃ」
お父さんが笑う。
「今度は一緒にやろうか」
「やったー!」
ガンツが復活。
「お父さん先生!」
ミックも大喜び。
「焼き栗だー!」
ポルンは目をきらきら。
お父さんはナイフで。
サクッと 栗に切れ目を入れる。
「こうして、中の皮まで切るんだよ」
「へぇー!」
「なるほど!」
ぱちぱち。
今度はお父さんと一緒。
たき火は徐々に灰となり
火も小さくなる。
しかし、燃え尽きた木は赤々としている。
「これは熾火。この状態にしてゆっくり焼くんだ」
「あっ、これおいものおふとんだ」
ユウトは思い出した。
「あぁ、そうだよ。よく覚えてたな。優しく優しく栗を温めるんだ」
ゆっくり。
ゆっくり。
すると。
ふわぁ。
「わぁぁ!」
「いい匂い!」
「栗の匂いです!」
「お腹すいたー!」
ポルンはよだれが出そう。
やがて。
「できたぞ」
「わーい!」
ぱくっ。
「わぁ!」
「甘い!」
「おいしい!」
「ほくほくです!」
「幸せぇ……」
ポルンはほっぺたを押さえる。
「あははは!」
みんな大笑い。
わんわんも。
「わふっ!」
小さくしてもらった栗を。
もぐもぐ。
しっぽぶんぶん。
◇
帰るころ。
ひゅるるる。
秋の風。
さらさら。
落ち葉が踊る。
「今日はびっくりしたなー」
ガンツが笑う。
「でも、大切なことを学びました!」
ミックもにっこり。
「火は大人と一緒!」
ポルンも元気いっぱい。
「くりさんは、切れ目!」
ユウトも嬉しそう。
「うん!」
みんな笑った。
「よーし、明日はお昼、栗ご飯にしよう。みんなも食べにきなさい」
お父さんが優しく言う。
「わーい、やったー」
「ぜったい行く!!」
秋の空は高くて。
夕焼けはぽかぽか。
今日は失敗もあったけど。
みんなは少しだけ、お兄ちゃんになったのだった。




