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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第三章 秋は、美味しい

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第五十七話 しぶしぶ渋柿

 秋。


 ざわざわ。ざわざわ。


 少し風が強い。

 木の葉が揺れている。


「今日は森の探検に行くぞー!」


 ガンツが元気いっぱい。


「おー!」


 ユウトも両手を上げる。


「秋の森は実りの宝庫です!」


 ミックは胸を張った。


「美味しい果物が食べれるかなぁ」


 ポルンはいつも通り。

 わんわんも。


「わふっ!」


 しっぽをぶんぶん。

 みんなで森へ向かった。


   ◇


 森の中。

 風が吹くたび。


 さらさらさら。さらさらさら。


 黄色や赤の葉っぱが舞う。

 葉っぱが揺れる度に、お空から一本雲がこんにちは。と顔を出す。


「わぁー!」


 ユウトは目をきらきら。


「どんぐりいっぱーい!」


「こっちには栗!」


「キノコがある!食べれるかなぁ?」


「おいっ、ポルン。キノコは採ったらダメだぞ!」


 ガンツに怒られても、ポルンはキノコを名残惜しそうに見つめる。

 わんわんは。


 くんくん。

 くんくん。


 楽しそうに歩いている。


「おっ!」


 ガンツが指をさした。


「アケビだ!」


 紫色の実がぱかっと開いている。


「すごーい!」


「甘いんですよ!」


 ミックが得意そう。

 みんなで少し食べてみる。


「ほんとだ!」


「甘い!」


「おいしいー!」


 ポルンなんて。


「もっとないかなぁ」


 もう次を探していた。


「あははは!」


 みんな大笑い。


   ◇


 風が吹く。


 ざぁっ。


 葉っぱが揺れる。


「おっ!」


 今度はガンツが木を見上げた。


「やった。柿だ!」


「わーい、いっぱいだねー!」


 オレンジ色の丸い実がいっぱい。

 たくさん実っている。


「すげー!」


「秋ですね!でも高くて採れませんよ。これは」


 ミックも目をキラキラさせてるが、ちょっと残念そう。

 すると。


「よし、オレに任せろっ!!」


 するするする。


 ガンツは三股に分かれた枝まであっという間に登る。


 ぽとん。

 一つ落ちてきた。


「それ、食べていいぞー」


 ガンツが親指を立てている。

 どうやらガンツが落としてくれたみたいだ。


「ガンツすごーい」


 ガンツが笑う。

 次々に落とす。


 もう手に届くところがなくなり、少し先まで手を伸ばす。ちょうどその時


 ざわざわざわ。

 びゅーっと、強い風が吹き枝を握る。


 バキッ。


 枝が折れ、ガンツは落ちる。

 わっ、危ない!その時、ユウトはとっさに


 「おふとん召喚!!」


 ばふっ。



 とガンツはおふとんの上に落ちた。


「あー、危なかったー。ユウトありがとう!たすかったぞ!」


「びっくりしたよ、ガンツ。でもケガなくてよかったね」


「あははっ、ホントだな。柿の木は登ったらダメって言われてたの忘れてた」


「うん」


「よし、さっそくみんなで食べようぜ!」


「やったー!美味しそう」


 みんなで、そのままがぶりっ。

 ぱくっ。


「わぁ!」


「甘い!」


「おいしい!」


「やわらかーい!」


「秋の味です!」


 みんなにこにこ。

 わんわんも。


「わふっ!」


 小さく切ってもらって。

 もぐもぐ。

 しっぽぶんぶん。


「もう一個!」


 高いところには登らず

 ガンツは縦長の実に手を伸ばす。


 ぽとん。


 今度の柿も赤くて美味しそう。


「いただきー!」


 ぱくっ。

 もぐもぐ。

 すると。


「ん?」


 ガンツの顔が止まった。


「……」


「どうしたの?」


「……」


 ガンツの顔がくしゃっとなった。


「しぶーい!!」


 ぺっぺっぺっ。


「なんだこれー!」


 みんなびっくり。


「えっ?」


「しぶい?」


 ユウトが首をかしげる。


「同じ柿なのに?」


「うぅー!」


 ガンツは涙目。


「口の中がおかしくなったー!」


「あははは!」


 ポルンまで笑っている。


   ◇


「なるほど、分かりました!」


 ミックが人差し指をぴんっと立てた。


「これは渋柿ですね!」


「しぶがき?」


 ユウトはきょとん。


「柿は甘い柿と渋い柿があるそうです!」


「へぇー」


「でも見た目じゃ分からないんですよ」


「えー!?」


 みんなびっくり。


「じゃあ、どうやって見分けるんだ?」


 ガンツが涙目のまま聞く。


「食べれば分かります!」


「それ、分かってからじゃ遅いだろ!」


「あっ」


 ミックも困った顔。


「あははは!」


 みんな大笑い。


「でも、干し柿にすると甘くなるって本で読みました!」


「へぇー!」


「すごーい!」


「じゃあ持って帰ろう!」


「おー!」


 みんなで柿を籠に入れた。


   ◇


 夕方。


「ただいまー!」


「わふっ!」


 ユウトたちは大収穫。

 栗にどんぐり。

 アケビにまつぼっくり。

 そして柿。


「いっぱい取れたなぁ」


 お父さんもびっくり。


「お父さん!」


 ユウトが嬉しそう。


「この柿おいしいよ!」


「そうかそうか」


 お父さんは一つ縦長の柿を手に取った。


「どれどれ」


 ぱくっ。

 もぐもぐ。


 すると。



「ん?」


「……」


 顔が止まった。


「……」


「お父さん?」


「……しぶーい!」


「あっ!」


 ユウトは目を丸くした。


「それガンツが『しぶーい!』っていってたやつだ!」


「先に言ってくれー!」


 ユウトは思い出した。


 ぺっぺっぺっ。


「あははは!ガンツそっくり」


「あらあら、お父さん、大丈夫?」


 ユウトは大笑い。

 お母さんも笑って、そっとお茶を出す。


 くすくす。


 お父さんは涙目。


「あははは!」


 みんな大笑い。

 わんわんまで。


「わふっわふっ」

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