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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第三章 秋は、美味しい

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第五十二話 ぴーひゃら、とんとん

 秋。

 どこまでも広く高い空。

 一本の雲がそれを二つに分けるように走っている。

 朝から村は大にぎわいだった。


「お祭まであと少しだぞー!」


「おぉー!」


 広場では村のおじさんたちが矢倉を建てたり、太鼓や飾りなんかを運んでいる。


 わっしょい。わっしょい。


 おばさんたちは大きなお鍋を磨いていた。


 今年のお祭は、子どもたちもお祭りのお手伝いをしたり大忙しだ。


   ◇


「今から笛と太鼓の練習だぞ!」


「わーい!」


 みんな元気いっぱい。

 すると。


 ぴぃーひゃら~♪


 広場にきれいな音が響いた。


「わぁ!」


 ユウトが目を丸くする。


「リーナお姉ちゃん、すごーい!いいな、いいな。わたしもやらせて!!」


 リサも両手をぱちぱち叩く。


「リサもやってみる?」


 リーナお姉ちゃんはぎゅっと笛を握って貸してくれた。

 リサが吹く。


 ぴぃーぴぃー、ビビビー


「わははっ、リサやめろー!下手すぎるぞー」


「うるさいわね、ガンツ。初めてなんだから仕方ないでしょ!」


 まぁまぁと、周りが止める。


「初めはそんなもんよ、リサ。私はいっぱい練習したんだよ。念願のお囃子の笛だったからね!来年に向けて、リサも今度練習しようね」


「うん、ガンツにバカにされて悔しい。」


 リサは涙目をごしごししながら、きりっと強い目になる。


「リーナお姉ちゃん、私に笛を教えて。来年は絶対見返してやるんだからっ!!」


「うん、来年はいっぱい練習しようね」


 リサから笛を返してもらい、リーナお姉ちゃんはまた吹く。


 ぴぃーひゃら~♪ぴぃーひゃら~♪


 すごく綺麗な音色だ。


「えへへ。お祭りでするの楽しみー」


 少し照れながら笑う。


「すげぇなぁ、リーナは!」


 ガンツも感心している。


「リーナさん、かっこいい!」


 ポルンも目をきらきらさせる。


   ◇


「それじゃ、みんなは太鼓だ!」


 村のおじさんが笑った。

 大きな太鼓が五つ並べられ、みんなに二本の棒が渡される。


「これが何か知ってるかー?」


「はい、はーい!知ってるぞ!太鼓のバチだろ?」


 と、ガンツは手をぶんぶんしあげる。


「さすがガンツ、正解だ。ただバチは振り回すなよー。危ないからな」


「おぉー!」


さすがガンツだ。


「それじゃ、これから練習するから並べー」


 ガンツ。

 ユウト。

 リサ。

 ミック。

 ポルン。

 五人はわくわくしながら太鼓の前へ並んだ。


「まずはな」


 おじさんが太鼓の横にたち、少し足を広げ、腰を落とす。

 ふーっと一息。

 そして、両手を構え、目をかっと開きリズムよく叩く。


 はぁっ。


 どんとんっ。どんとんっ。

 どんとんっ。どんとんっ。


 太鼓の音が心臓にぐっと鳴り響く。

 心地いい。


 どんとんっ。どんとんっ。

 どんとんっ。どんとんっ。


 おじさんは全身が躍動するように手が上下に代わる代わる動く。


「かっこいぃー」


 思わず見惚れる。


「わっ、楽しそう!早くやりたい!!」


 さっきまで笛をやりたいと駄々をこねてたリサがにぱっと笑う。


   ◇


「オレをよく見ろよー!」


 ふんっと大股に足を開いて、かっこをつけた

ガンツが元気よく叩く。


 どんっ!どんっ!どんっ!どんっ!


「おっとっと!」


「ガンツ、力みすぎだよ!リズムを取って」


 おじさんが笑顔で言う。


「あははは!」


 みんな笑う。

 ユウトも。


 とんとん。

 ぺちっ。


 太鼓の縁に当たる。


「わっ」


 少しずれた。


 わぁ、縁は真ん中と違う音だぁ。

 おもしろいなぁ。大発見だ。


 ボクは面白くてもう一度


 ぺちっ。


「ユウト、もう少し太鼓の真ん中を狙って叩くんだよ。縁は叩かないようにな。リズムも合わせて、はい、とんとん。とんとん。」


 おじさんが、太鼓の上を手をとんとんして叩くリズムを教えてくれる。でも合わせるのは難しい。


 ミックがとなりで得意気な顔をしながら叩くリズムに合わせて足も動かしながら叩く。


 とんとん。とんとん。とんととん。

 ミックもずれた。


「ミックもずれたぞ!」


「はいっ!」


 みんな真剣な表情だ。

 ポルンは。太鼓の形がおまんじゅうに似てるなぁ。とか思ってそうな表情で


 とんとん。とんとん。


 ただひたすらにじーっと太鼓を見つめて叩いていた。


「ポルン、いいぞ!その調子でがんばれ!」


 おじさんが声をかける。


「うん」


 と、コクリと頷く。


 リサは周りの子たちをよく観察しながらリズムを取る。


「とんとんっ!とんとんっ!」


 しかも元気いっぱい。

 笑顔もいっぱい。

 きらきら目を輝かせながら叩く。


「上手上手!」


 おじさんも嬉しそうだった。


   ◇


 ぴぃーひゃら~♪


 リーナお姉ちゃんの笛。


 とんとん。とんとん。


 まだ音はバラバラ。

 でも。

 なんだか楽しかった。

 いっぱい叩いて。

 いっぱい笑って。

 気がつけば。


   ◇


「ふぅ~」


 みんな汗びっしょりだった。


「よーし、休憩だー」


 ガンツがごろんっと寝転がる。


「つかれたー!」


「つかれたねー」


 リサもぺたん。


「ボクもー」


 ユウトもぺたり。


 みんなで座ったり寝たり。

 思い思い休憩する。


 ふぅー、疲れたけど楽しい。

 心地よい風がすーっと抜ける。


   ◇


 おふとん引いて寝たら気持ちいいだろうなぁ。ごろんとしたいなぁ。と思ってると


「それじゃ続きやるぞー!」


 おじさんが声をかける。

 どうやら休憩は終わりみたいだ。


「はーい!」


 みんな太鼓の前へ戻る。


「とん、とん」


「そうそう!」


「上手だ!」


「とん、とん」


「ぴぃーひゃら~♪」


 リーナお姉ちゃんの笛に合わせて。

 とんとん、とんとん。

 とんとん、とんとん。

 少しずつ。

 少しずつ。

 五人の音が揃っていく。


「わっ!」


「今そろった!」


「ほんとだ!」


「すごい!」


 ガンツが嬉しそうに笑う。


「もう一回!」


「うん!」


 ぴぃーひゃら~♪

 とんとん。

 ぴぃーひゃら~♪

 とんとん。


   ◇


 まだまだ下手。

 でも。

 だんだん叩ける。

 どんどん上手に。

 それがなんだか嬉しくて。

 夕焼けの広場に。

 笛の音と太鼓の音が。

 いつまでも楽しく響いていた。

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