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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第三章 秋は、美味しい

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第五十一話 かめ先生とそんちょー

「いやーっ、やはり遺跡はいいもんじゃなぁ」


 かめ先生が両手を上にぐっと伸ばし、腰を反らしながら、首を右に左にと曲げ歩いてる。


「ははっ、先生も物好きだな。入れなかったのに?」


 村に背の高いすらっとした猫顔の大男と二人で戻ってきた。


「ほっほっほっ。それでもですよ。近くにあるというだけでロマンですじゃ。」


「先生、それならもうこっちに住んだらどうだい?まだ調査に時間もかかるだろう?」


「ほっほっほっ。確かにそうですねぇ。わしもそれがいいのではないかと考えておりました。しかし、お許しをいただけるといいのですが」


 と白くて長いひげを触りながら、かめ先生は少し上をむきながら答えた。


「あぁ、というと、領主様に許可が?」


 あぁ、なるほどなと、首を縦に何度も振りながらら男は言う。


「はい、領主様と町長様に」


「ふむ、許可が出るといいな。オレからも手紙を渡そう」


「おぉ、それはありがたい。ジャガー村長どの」


「なーに、この村のためさ」


 村長と呼ばれたその猫顔の男は、細長い目を更に細めパチリとウィンクする。


   ◇


 青い空。

 一本の細く長い白い雲。


 ユウトとリサがわんわんを連れてお散歩してると、広場でかめ先生を見かけた。


「あっ、かめせんせー!」


 ユウトが駆け寄る。


「おやおや、ユウトくん、おはようございます。お散歩ですか?」


 かめ先生はにこにこしながら顔をむけた。


「おや、ユウトとリサじゃないかい。久しぶりだな。元気してるか?」


 村長も振り返る。


「うん、げんぎだよー、そんちょー!!」


ユウトは素直に答え、リサは両腕をあげ、力こぶを見せ、にかっと笑って答える。


「ははっ、確かに元気そうで何よりだ」


 村長は目を細め笑う。

 しっぽもふりふり。


「なにしてるのー?」


 ユウトがかめ先生を見る目はすごくきらきら。絶対に面白い話をかぎ分けてるようだ。


「あぁ、かめ先生から遺跡の話を聞いてな。それじゃ二人で行こうってなったんだ」


「えぇー、いいなぁ。ボクもいきたかったなぁ」


「ははっ、だがなぁ、結局行けずで、今戻ってきたところだ」


そんちょーは足で広場の石をこつんっと蹴飛ばす。


「ほっほっほっ。そういうことです。ユウトくん」


かめ先生はのんびり笑う。


「えー、入れなかったのー?どうして、どうしてー?」


ユウトたちは両手をあげ、教えて教えてと手をわしゃわしゃさせる。


「あぁ、あそこにあった鏡が魔力に反応しなかったんだよ。さっきかめ先生と行ったけど、オレも遺跡見たかったんだがなぁ。」


「そっかぁ」


 ユウトはがくんとうなだれた。


「また行きたかったのにねー」


 リサも口を尖らせる。


「ほっほっほっ。わしもですじゃ」


 かめ先生は笑った。


「しかし、遺跡は逃げませんぞ」


「そうなの?」


「そうですじゃ」


 先生はうんうんとうなずく。


「悠久の時代から残っておったのです。少しくらい待ってくれますじゃろう。入る楽しみが増えたと思いましょう」


 と、かめ先生はひげを触りながらゆっくり笑う。


「なるほど!」


 ユウトはよく分からないけど納得した。


   ◇


「それですな」


 かめ先生は白ひげをなでる。


「実はさっき村長と相談していたのですじゃ」


「そうそう」


 そんちょーも頷く。


「相談?」


 リサが首をかしげた。


「わし、この村に住もうかと思っておりますじゃ」


   ◇


「えっ!?」


「ほんと!?」


 二人の声が重なった。


 わんわんも。


「わふっ!」


 と元気よく吠えた。


「ほっほっほっ」


 かめ先生は嬉しそうだ。


「まだ決まったわけではありませんがのう」


「えぇー!住んでよー!」


 リサが両手をぶんぶん振る。


「そうだよー!」


 ユウトも言う。


「かめ先生いたら楽しいもん!」


   ◇


「ほっほっほっ。そうできるようにこれからお願いするんですよ」


 そんちょーが笑う。


「ありがたいことですじゃ」


 かめ先生は目を細めた。


 そして少しだけ真面目な顔になる。


「そして」


「?」


「あの遺跡を今度は自分の足で見て回りたいですな」


「うん」


「いつかまたユウトくんとリサくんと一緒に行く日もあるかもしれません」


 二人は黙って聞く。


「だからその時はまた一緒に冒険に行ってもらってもいいですかな?」


「「うん」」


 ユウトとリサは大きく笑顔でうなずく。

 かめ先生もにっこり笑ってる。


   ◇


「でもさー」


 リサが言った。


「秘密基地に住めばいいんじゃない」


「ん?」


「今いたいなら、あそこに住めばいいのよ!」


 にぱっと笑う。

 かめ先生は目をぱちくりさせた。


「そうだよー」


 ユウトも頷く。


「ボクたちのひみつきちかしてあげるー」


「わふわふ!」


 わんわんも賛成らしい。


 しばらく。

 かめ先生は黙っていた。

 それから。


「ほっほっほっ!」


 優しく笑った。


「それは嬉しいですなぁ」


 かめ先生は空を見上げる


「わしも。あの秘密基地は大好きですじゃ」


「ほんとー!?」


「もちろんですとも」


 かめ先生はにっこり笑う。


「わしにとってもた大切な場所になりましたからのう」


   ◇


「よし!」


 そんちょーがぽんと膝を叩く。


「まぁ、秘密基地に住むかは別として、先生はしばらくは我が家に来なよ」


「そんちょーのいえ?」


「あぁ、今はまだこの村に住めるか分からないからな。まぁしばらくはうちで居候って事だ」


 そんちょーはにやりと笑った。


「かめ先生、この村へようこそだ」


   ◇


 一瞬。

 かめ先生は目を丸くした。

 そして。

 深々と頭を下げる。


「よろしくお願いしますぞ」


 秋の風がふわりと吹いた。

 葉っぱがさらさらと揺れる。


「ふふふっ、よかったねー、かめ先生!」


「わーい!」


 ユウトとリサは飛び跳ねた。

 こうして。

 遺跡が大好きな不思議な魔法士は。

 村の新しい仲間になった。

 秋の風はやさしく吹いていた。

 なんだか。

 これからもっと楽しいことが増えそうな。

 そんな気がする一日だった。

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