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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第二章 夏はアクティブ

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第四十七話 すたんど・ばい・うにうに②

 遺跡に夢中になっていて、ふと気づいたらあの光が消えてるのに気付いた。でも、そこには、さっきまで確かに光があった。優しい光。


 あれは何だったんだろう。


「さて、本物の古代遺跡を見つけました。これは大発見ですぞ。まずは戻りますか?それとも行きますか?中は危険かもしれませんぞ」


 かめ先生のその言葉が、小さな隠し部屋に響き渡った。


 ……。


 一瞬の静寂。


 さっにまでユウトもリサもガンツも、飛び上がって大騒ぎしたが、みんな固まる。

 でも、みんなの目はこれ以上ないくらいキラキラと輝いている。


「ねぇ、かめ先生! 入りたい!リサは遺跡に行きたい!!」


 リサが鏡に顔をくっつけそうになりながら聞いた。


「オレも行きてーぞ!」

「ぼくも!」


 みんなかめ先生を見つめる。

 かめ先生は、長い白ひげをゆっくりと撫でる。その目は、まるで宝物を見つけた子どものように優しく、そして熱く燃えていた。


「ほっほっほ。もちろん行けますじゃ。ただし、この鏡の魔力はそれほど長くは持ちませぬ。……さぁ、みんな。大冒険の始まりですぞ!」


 先生が木の杖で、トントン、と床を叩いた。

 すると、鏡の表面が水面のように揺れ、淡い銀色の光が部屋いっぱいに溢れ出す。


「うわぁ……!」


 ユウトたちが息を呑む。

 光の波がみんなの足を包み込み、体がフワリと浮き上がるような不思議な感覚に包まれた。

 せーの、でみんなで鏡の中に飛び込む!


   ◇


 ヒエッ……と冷たい風が頬を撫でた。

 目を開けると、そこはもう、秘密基地の奥の狭い部屋ではなかった。


「な、なんだここ……!」


 ガンツがポカンと口を開けて見上げる。


 そこは、見上げるほど高い天井を持つ、巨大な石造りの広間だった。


 周りには、見たこともない複雑な模様が彫られた巨大な柱が何本も並んでいる。床の隙間からは、青白く光る不思議な苔が生えていて、暗闇を優しく照らしていた。


「本当に……来ちゃった……」


 ユウトは抱きしめていたお気に入りのタオルケットをぎゅっと握りしめた。

 ここは、何千年も誰も足を踏み入れていない、本物の古代遺跡だ。


「すごーい! 見てユウト、あの壁の文字!」


「あっちには大きな通路があるよ!」


 リサとミックが興奮して指をさす。


「ほっほっほ、驚くのはまだ早いですぞ。古代の知恵が、私たちを歓迎してくれているようですじゃ」


 かめ先生が優しく微笑んだ。先生の目は、遺跡の魔力に呼応するように、いつもより深く、神秘的な青い光を宿している。


   ◇


 みんながよし行くぞーとしているところ、かめ先生が鏡を、じっと見つめてる。


「ふーむ」


 先生は鏡を見つめる。


「どうしたの?」


 ユウトが聞く。


「この鏡、転移鏡ですじゃ」


「うん」


「どうやら、わしが魔力を流し続けないと入口が閉じてしまうかもしれません」


「えっ」


 みんな驚く。


「じゃあ先生は一緒に行けないの?」


 リサが聞いた。

 先生は少し残念そうに笑った。


「そうですなぁ」


「えぇー、そんなー。かめ先生もすごく楽しみにしてたのにー」


 リサは口を尖らせた。


   ◇


 実際、長時間転移鏡を維持するのは大変な仕事だ。

 今のかめ先生はすごく消耗していた。

 かなりの負担だった。

 でも先生は何も言わなかった。


「皆さんが帰ってくるまで待っていますぞ」


 ただ優しく笑った。


   ◇


「じゃあ」


 ユウトは言った。


「先生」


「はい?」


「おふとん貸してあげる!おふとん召喚!」


 ぽんっ。

 大きなおふとんが現れる。


「おぉ?」


 先生が目を丸くした。


「疲れたら休んでね」


 ユウトは得意げだった。


「かめ先生、これすごいんだよー!」


 リサが楽しそうに言う。


「そう!すごいんだよー!」


 みんなもすごいって言ってくれる。


「ほっほっほっ、それでは貸していただきましょうかね。ありがとう、ユウトくん」


 かめ先生は優しく微笑んでいた。

 ボクはかめ先生の手をつないでふとんの上に移動してもらった。かめ先生は驚いた表情をして心地よさそうだ。

 ボクはなんだか心が温かかった。不思議な感覚だった。


   ◇


「よし、それじゃ進もうぜ!」


 ガンツが先頭へ出る。


「かめ先生行ってくるねー!」


 とボクは手をぶんぶん振る


「ほっほっほっ、危なくなったら帰ってくるんじゃぞ。そうじゃ、おふとんのお礼もかねて、魔法を一つかけておきましょう。ほほいのほいっ、灯りよ!」


 先生が杖を高く掲げる。

 すると、かめ先生の目がまばゆい青白く光を放ち、杖からも光が放たれて、ガンツの持つ棒に、その光が当たった!


 すると、ガンツの持つ棒の先が光出す。


「おぉ、すげー」


 ガンツは驚いているが、自分が魔法使いになったみたいで嬉しそうだ。


「ほっほっほっ、では気をつけて行くんじゃぞ」


 そういって優しい笑顔で手を振り替えしてくれた。みんなも続いた。


 てくてくてく。

 てくてくてく。


 しばらく歩く。

 通路。

 階段。

 石の部屋。

 どこまでも続いていた。

 まるで迷路だった。


 その時。


「わっ、止まれ!」


 ガンツが叫んだ。


「え?」


 みんな足を止める。

 目の前。

 床がなくなっていた。


   ◇


「うわぁ」


 ユウトがのぞき込む。

 真っ暗だった。

 下が見えない。


「落ちたら大変だ」


 ガンツが言う。


「どうしよう?残念だけどここで戻る?」


 リサはみんなに聞いた。

 飛び越えるには少し遠い。

 困った。


「うーん」


「橋があればなぁ」


「ロープとか持ってないの?」


「飛び越えるのはさすがに無理だぞ」


「戻るしかないかなぁ」


 みんなが困る。

 そこでリサが


「あっ!」


 ひらめく。

 リサがぽんっと手を叩いた。


「ねぇ!」


「ん?」


「ユウト、おふとんって飛べないのかな?」


「おふとんが?うーん?」


「えぇ、あのふとん、飛べるのか!?」


「えぇー、飛んだことはないよぉ……あっ」


 ユウトは蚊と戦った時を思い出した。


「助けてー、おふとん!!」


 その瞬間だった。


 頭の中で音が鳴る。

 チャラララッラッラッララーン。


《おふとん移動スキル・タオルケット(飛行タイプ)を覚えました》


   ◇


 ぽんっ。

 タオルケットが現れる。


「お願い!」


 ふわっ。

 タオルケットが浮いた。


「おぉぉ!」


 みんな歓声を上げる。


「すげぇ!」


「飛んでる!」


 でも。

 五人一緒は無理だった。


「順番だな。オレから行くぜ」


 ガンツが顔をひきつらせながら言う。きっと怖くても我慢してるんだろう。

 でもまずは、ボクが試さないと。


「ちょっと待ってね。ボクが乗ってみるから」


 ボクは試しに廊下の上で乗って移動してみた。

スィーッと動く。高くも飛べる。低くも飛べる。全然揺れない。これなら安心だ。


「よし、それじゃ行ってみるね」


 みんなドキドキしてる。

 そしてタオルケットはスィーッと穴が開いたところを飛んでいった。無事につく。


 みんなホッとしてる。


「よし、それじゃ次は誰が行く?」


「はい!はい!はい!リサしたい!」


 リサが目をきらきらさせながら乗る。そしてスィーッと移動する。


「キャー!動いてる!!ユウト、今度外でもしようね!」


 移動中楽しそうだ。


 次にミック

 ポルン。

 次々にみんな渡り、ガンツは最後まで残ってくれた。ガンツはみんなが移動中危なくないように見守ってくれていた。

 そして全員、無事に渡りきった。


「よかったー」


 ユウトはほっとした。

 その時だった。


   ◇


 ふわり。


「あっ」


 ユウトが立ち止まる。


 あっ、あの光。

 秘密基地の奥の部屋で見た小さな光だ。

 光が徐々に弱くなり、小さな姿が徐々に見える。


 小さな羽。

 小さな体。


 光の中から現れたのは。

 まるで絵本から飛び出してきたみたいな。

 小さな妖精だった。


「わぁ……」


 リサが思わず声を漏らす。

 妖精は何も言わない。

 ただ、にこっと笑った気がした。

 そして、くるりと奥の通路へ飛んでいく。


「ついて来いってことかな?」


 リサが言う。


「たぶん」


 ユウトもうなずいた。


   ◇


 みんなで後を追う。

 やがて。

 大きな石の扉へたどり着いた。

 閉まっている。

 びくともしない。


   ◇


「どうする?」


 ガンツが押す。

 開かない。

 その時。

 ポルンが壁を見ていた。


「ねぇ」


「ん?」


「これ見て」


 壁には絵があった。

 太陽。

 月。

 星。

 木。

 魚。

 鳥。


「模様かな?」


 ユウトが言う。


「違います」


 ミックだ。真剣な顔。


「きっと順番があります」


「順番?」


「はい、これは謎解きですね」


 ピンッと人差し指を立ててミックは得意気に言う。

 みんな集まった。

 ミックは絵を見つめる。

 ポルンも見つめる。


「あっ、魚だけ向きが違うよ」


 ポルンが言った。


「わっ、本当だ!」


 リサが驚く。


「それと……」


 ミックが続ける。


「鳥だけ高い位置にあります」


「なるほど、確かにな」


 ガンツが言う。


「空にいるからか?」


「はい、たぶんそうですよ!」


 みんなで考える。

 考える。

 考える。


「あっ!」


 ミックが叫んだ。


「生き物が住んでいる場所だ!」



 空。

 木。

 地面。

 水。


「並べればいいのかな?」


 リサが言う。


 みんなで模様を押す。

 かち。

 かち。

 かち。

 かち。


 そして。

 最後。

 鳥。


 ゴゴゴゴゴ……


 扉が動いた。


   ◇


「わーい!やったー!!」


 全員が飛び跳ねた。

 扉の向こう。

 そこには。

 大きな部屋があった。


「よし、入るぞ」


 ガンツの声がこだまする。

 ガンツが先頭に立ち、扉が開いた先の暗い部屋にみんな入る。


 コツコツコツと足音が響く。


 奥の方で、妖精がくるくる回ってる。きっとここまで来てっていうことだろう。


 辺りは静寂につつまれていて、足音と呼吸の音しか聞こえない。心臓の音まで聞こえそうなくらい静かだ。


 この先は何もないのかな?


 あれ?


 と思った瞬間。妖精の下のところ。

 その中央に一つだけぽつんと置かれた箱。


「わっ、宝箱じゃねーの!あれ!」


 ガンツが言った。


「たからばこー!!」


 ボクも目をきらきらさせて叫ぶ。


「やったー!宝箱を見つけたよー!」


 リサも叫ぶ。


 ついに。


 ついに。


 古代遺跡の最奥。

 みんなでたどり着いた。

 大冒険の終わりは。

 もう目の前だった。

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