第四十四話 発見!カブトムシ
朝早く。
まだ空気が少し涼しい時間。
ユウトは縁側でタオルケットを持ってうにうにしていた。
「ここ涼しいぃ」
すると。
「おーい、ユウトー!!」
遠くから聞き慣れた声。
ガンツだった。
「大変だー!!」
「んー?」
ユウトが顔を上げる。
ガンツの後ろにはミックとポルンもいた。
「どうしたの?」
「カブトムシだー!!」
「かぶとむし?」
ユウトは首をかしげる。
「森にでっかいカブトムシがいるらしい!」
「おぉー!」
なんだかすごそうだった。
「探しに行くぞ!」
「いくー!」
◇
四人は森へ向かった。
みーんみんみん。
セミが鳴いている。
夏の森は少し涼しい。
「ぼく本で読んで知ってますよ」
突然ミックが言った。
「カブトムシは木にいるんです」
「へぇ」
「甘い樹液が好きなんですよ」
「すごい!」
ユウトは感心する。
すると。
「さすがミックだな。んで、どの木なんだ?」
ガンツは訪ねる。
「でもどの木かは分かりません」
ズコーッ。ガンツがこける。
「そこが一番知りたいところだろ!!」
ガンツがつっこむ。
「えへへ」
ミックは笑った。
◇
しばらく歩く。
すると。
「くんくん」
ポルンが立ち止まった。
「どうした?」
「甘酸っぱい感じの匂いがする」
「またか?」
ガンツが笑う。
「うん」
ポルンは真剣だった。
「こっちかな?」
てくてく歩き出す。
「ほんとかぁ?」
「たぶん?」
「とほほ、ポルンまでたぶんかよ」
ガンツは両肩をすぼめてがっかりのジェスチャー。
でも進むと。
「おっ」
大きな木があった。
樹皮から透明な樹液が出ている。
「ほんとにあった!」
ユウトはびっくりした。
ポルンは少し得意そうだった。
◇
「いたかな?」
みんなで探す。
上を見る。
下を見る。
横を見る。
いない。
「いないなぁ」
ガンツが言う。
その時。
「あっ!!」
ミックが突然叫んだ。
「いました!!」
「どこだ!?」
「そこ!そこ!ほらっ、そこにいるじゃないですか!」
「どこだよ!」
「ほら、そこですよ!頭がハサミみたいになってるやつ!」
ミックが指差す。
みんな見る。
そこには。
小さなクワガタが確かにいる。
「それはクワガタじゃねぇか!しかも小さいし」
「えー、いいじゃないですかぁ?その子かっこいいしあまり見ないですよ?」
ミックはソッとクワガタを触ろうとして逃げられる。
みんな笑った。
◇
その時だった。
「わっ」
ユウトが声を上げた。
「いた」
「えっ!?」
みんな集まる。
木の裏。
そこに。
黒くてつやつやした大きな虫がいた。
「おぉぉ!」
ガンツが目を輝かせる。
「カブトムシだ!」
立派な角。
つやつやの背中。
のそのそ歩いている。
「すごい」
ユウトは思わず見とれた。
◇
「触っていいかな」
ユウトが聞く。
「優しくならいいんじゃないか?」
ガンツが言う。
そっと。
そーっと。
指を近づける。
カブトムシは逃げなかった。
「おぉ」
小さな足が動く。
なんだかくすぐったい。
「かわいい」
「かわいいか?」
ガンツが笑う。
「うん」
◇
しばらくみんなで眺めた。
「持って帰る?」
ユウトが聞く。
すると。
ガンツは少し考えた。
「うーん」
「?」
「やっぱり森にいた方がいいだろ」
そう言って笑う。
「せっかく見つけたけどな」
「そっかぁ」
ユウトも頷いた。
カブトムシのおうちはここだ。
◇
「じゃあ」
ガンツが立ち上がる。
「またなー!カブトムシ!」
ミックも手を振る。
「元気で暮らしてくださいねー」
ポルンも言う。
「いっぱいご飯食べるんだよー」
「それポルンだけだろ」
「あははっ」
みんな笑った。
◇
帰り道。
夏の風が吹いている。
みーんみんみん。
セミの声。
青い空。
白い雲。
「楽しかったね」
ユウトが言う。
「あぁ!」
ガンツが頷く。
「今度はクワガタ探しましょう」
ミックも言う
「うん!」
ユウトも元気よく答えた。
カブトムシは一匹だけだった。
でも。
みんなで見つけたカブトムシは、とてもかっこよかった。
夏はまだまだ続く。
そんな気がした。




