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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第二章 夏はアクティブ

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第四十二話 どきどき肝試し

 夕方。


 カナカナカナカナ………ケケケケケ………


 どこからか鳴き声が聞こえる。

 空はオレンジ色。

 昼間の暑さも少しだけやわらいでいる。

 ユウトは縁側で、ごろーんとしていた。


「ふぁぁ」


 気持ちいい風が吹く。

 すると。


「ユウトー!」


 元気な声が聞こえた。


「んー?」


 顔を上げる。

 リサだった。後ろにはリーナお姉ちゃんもいる。


「今日ねー」


 リサは目をきらきらさせている。


「これから肝試しよ!」


「きもだめし?」


 ユウトは首をかしげた。


「なにそれ?」


「夜に探検するのよ!」


「たんけん!」


 それなら楽しそうだった。


「わーい、行く!」


「やったー!」


 リサは大喜びした。

 その後ろでは。


「ふふふ」


 リーナお姉ちゃんが笑っていた。


「今日はリーナお姉ちゃんも一緒に行くのよ」


「ほんと?」


「うん、ユウトくん一緒に行こうね!」


 ユウトは安心した。

 リーナお姉ちゃんがいると、なんだか心強い。

 たぶん。


   ◇


 夜。

 空には星。

 月も出ている。

 昼間とは違う景色だった。


「わぁ」


 ユウトは空を見上げた。


「きれーい」


「うふふっ、そうね。ホントきれいね」


 リサはなんだか得意そうだ。

 後ろでリサパパとお父さんがしゃべってる。


 でも。

 森の入り口は少し暗い。


「よーし、それじゃこれから先は3人で行ってもらうからなぁ」


「きゃーっ、楽しそー!!」


 リサとリーナお姉ちゃんが嬉しそうに手を取り合っている。

 ユウトが聞く。


「どこまでいくのー?」


 リサは胸を張った。


「森の奥までよ!」


「いやいや、そんな奥には行かないぞ。危ないからな。場所は行けば分かるさ」


 お父さんはにやりっとしながら答えた。


「光ってる道からは出たらダメだぞー」


 リサパパもにやりとしながら言う。


「???」


どういう事だろう?


   ◇


 お父さんの気配が急に変わる!


「……夜道に灯りを灯せ、狐火召喚!」


 手を前にばっと伸ばすと、森の入り口から奥の方に向かって道の両側の地面にオレンジ色の炎がいくつも並ぶ。


「わぉー!何これー。すごーい!!」


「はははっ、これは狐火って言うんだ。いいな、3人とも。この狐火が案内してくれるから、決してこの狐火より先に行くんじゃないぞー。いいなー?」


「うん、分かった!」


 辺りは薄暗く、三人ともぴょんぴょんと動く鬼火に夢中でだった。

だから。

お父さんの頭に、しゅっとした狐の耳やふわりとした尻尾が生えて、尻尾をゆらゆら揺らしていたことに誰も気づかなかった。


 「……気をつけて行くんだぞー」


 声はもう届いてないようだ。お父さんは森の入り口で座って待つことにした。


   ◇


 てくてく。

 てくてく。

 三人で森の道を歩く。

 夜の森は静かだ。

 風が吹くたび。

 さらさら。さわさわさわ。

 葉っぱが揺れ、何か出てきそうな雰囲気だ。

 地面にある炎が当たりを照らしてくれているが、まだ薄暗い。


「なんか昼と違うね」


 ユウトは小声になった。


「そうだねぇ」


 リーナお姉ちゃんが笑う。


「でも怖くないよ」


「ほんと?」


「うん」


 その時。

 がさっ。


「ひゃっ!?」


 ユウトが飛び上がる。

 リサもびくっとした。


「な、なに!?」


 しばらくして。

 ぴょん。

 うさぎが飛び出してきた。


「なんだー」


「わっ、うさぎさんだ」


 リーナお姉ちゃんが笑う。


「びっくりしたぁ」


 ユウトは胸をなでおろした。


   ◇


 少し進む。

 すると。

 ほぉー。

 どこかで声がした。


「!!」


 ユウトとリサが固まる。


「い、いま聞こえた?」


「聞こえた!」


 二人はぴたっとくっついた。

 ほぉー。

 また聞こえる。


「お、おばけ?」


「違う違う」


 リーナお姉ちゃんは空を指差した。

 木の枝。

 そこにいたのは。


「ふくろうさんだよ」


「おぉー」


 ユウトは感心した。


「夜に起きてるんだ」


「そうみたい」


「すごい」


 少しだけ怖さが減った。


   ◇


 てくてく。

 てくてく。

 森の夜風は寒いくらいだ。

 青臭い草の匂い。

 じめっとした土の匂い。

 昼とは違う森の匂いだった。


「そろそろ帰らない?なんだか怖いよぉ」


 ユウトが言う。


「あははっ、ユウトは怖がりね。大丈夫よ」


 リサは楽しそうに言う。すごいなぁ。


「うん、ユウトくん大丈夫よ。リサが言うようにもう少し進みましょ!」


 そういって三人は夜道を進んでいく。


   ◇


 少し離れた場所から見つからないようにリサパパが見守っていたが、急に雰囲気が変わった。


 「そろそろ頃合いだな。……辺りを照らせ、ウィル・オ・ウィプス召喚!」


*****


 その時。

 ぽっ。


「あれ?」


 小さな青白い光が見えた。

 ぽっ。

 ぽぽっ。


「わっ、出た!」


 ユウトが目を丸くして腰を抜かす。


「わー、光ってる!」


「きゃー!もしかして光おばけ?」


 リサとリーナお姉ちゃんは大興奮だった。


「ほらっ、起きて。逃げなきゃ」


 と、リーナお姉ちゃんが手を差しのべて起こしてくれる。


 ふわり。

 ふわり。


 小さな光おばけがいくつも飛んできた。

 逃げようとすると行く手を遮るように移動してくる!!


「きれい」


 リサはぼーっと見とれている。

 怖いと思っていた森。

 でも、ボクが助けなきゃ!!


   ◇


 しばらくあたふたしていると。光おばけが1ヵ所に集まる。その奥から指先あたりが少し光っている人がしゃべりながら出てきた。リサパパだ!


「わははっ、どうだった?ウィル・オ・ウィプスは怖かったか?」


 リサパパの周りをふわふわ舞っている。よっぽど驚かせたのが楽しかったのだろう。リサパパの瞳は、ぽわぽわと青白く輝いていた。


「えー、パパだったのー?」


 リサが目を丸くして驚く。


「びっくりしたよー!もうっ!」


「わははっ、だろー?」


 リサパパは楽しそうに笑う。


「よし、そろそろ遅いからみんなで帰ろう」


 と言いながら、リサの頭をくしゃっとする。

 すると、光おばけがふわふわと来た道の方に移動して、ゆらゆらしてる。光おばけがふわふわと来た道の方に移動して、ゆらゆらしてる。

 帰り道はこっちだよー。と教えてくれてるようだ。


   ◇


「ふぁぁぁ」


 リサがあくびした。


「あ」


 ユウトも眠くなってきた。

 いっぱい歩いたからだろう。


「ねむい」


「リサも」


 リーナお姉ちゃんはくすっと笑った。


「そろそろ帰ろっか」


「うん」


「かえるー」


   ◇


 帰り道。

 三人で手をつないで歩く。

 夜風はやさしい。

 星もきれいだった。


「肝試しどうだった?」


 突然、さっきまで後ろを歩いていたはずのリサパパが、いつの間にか足音もなく、前方の暗闇から、ぬっと突然現れる。


「うわぁっ!?」


とユウトがまたびっくりすると、満足そうに笑った。


「たのしかった!」


 ユウトはすぐ答えた。


「ちょっと怖かったけど!」


「リサも!」


 二人とも笑う。

 すると。


「はははっ、それなら成功だな」


 リサパパも笑った。


   ◇


 おうちに帰るころには。

 ユウトのまぶたは、もう半分閉じていた。


「ふぁぁ……」


 今日は。

 うさぎさんも見た。

 ふくろうさんも見た。

 光の精霊も見た。

 少し怖かったけど。

 なんだか楽しい夜だった。

 夏の風が、そよそよ吹く。

 ユウトは眠そうに空を見上げた。

 星がいっぱい輝いていた。


「また行きたいなぁ」


 そうつぶやきながら。

 ユウトは、おうちへの道をてくてく歩いていった。

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