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チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第1章 春は、ほのぼの

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第四話 わんわん

「ユウトー! 早くー!」


「んぅー……」


 今日も今日とて。

 ボクは引きずられていた。

 リサに。


「今日は探検するんだから!」


「おひるねしたい……」


「さっきまで、いっぱい寝てたでしょ!」


「うにうにしたいのに……」


「いいから行くの!」


 村の外。

 森の入り口。

 ぽかぽか陽気。

 そよそよ風。


「あふぅ……」


 これはもう。

 寝ろと言っている。


「少し疲れた。眠たい……」


「もぅ、また!?」


「自然さんが、ボクを寝かせようとしてる……」


「自然さんのせいにしないの!」


 リサはずんずん進んでいく。

 今日は小さなカゴを持っていた。


「今日は木の実を探さないといけないんだから!」


「たべもの……」


「あと、お花も見つけてね!」


「たべるの?」


「食べないよ!?」


 森の中は静かだった。

 鳥さんの声。

 葉っぱの音。

 ぽかぽか。

 ねむねむ。


「すぅ……」


「歩きながら寝ないでぇ!?」


 ぐらっ。

 ボクが転びそうになる。

 その時。

 ぺちっ。


「……?」


 なにかが足にぶつかった。

 足元を見る。


「わん」


 いた。

 ふわふわで真っ白な子犬みたいな生き物。

 耳がぴこぴこしている。



「わんわんだ……」


「かわいいー!」


 リサがしゃがみこんだ。


「こんにちはー」


「わふ」


 わんわんは、しっぽをふりふりしていた。

 でも次の瞬間。

 ぱくっ。


「あっ」


 リサのカゴからクッキーをくわえた。


「わー!? それおやつ!」


「ぬすまれた……」


 わんわんは、だだだーっと走っていく。


「待てぇー!」


 リサが追いかける。

 ボクも、とことこついていった。


「はやい……」


「ユウトもっと急いでー!」


「もうがんばってる……」


 わんわんは森の奥へ逃げていく。

 そして。

 ぴたっ。

 急に止まった。


「わふっ!」


 その後ろから。

 のっそり。

 もっと大きくて真っ白なわんわんが現れた。


「わ……」


「おっきぃ……」


 ふわふわ。

 もこもこ。

 でも大きい。

 たぶん、わんわんのお母さん。

 子わんわんたちは、お母さんわんわんの後ろに集まった。


「怒ってるのかなぁ……」


「クッキー返してほしいだけなのに……」


 お母さんわんわんは、じーっとこちらを見ている。


「ど、どうしよ……」


 リサが小声になる。

 ボクは考えた。

 ねむい頭で、いっぱい考えた。


「……おふとん」


 ぼふんっ!!!


「わぁっ!?」


 巨大おふとん召喚。

 森の中に、どーんっと現れる。


「また出たぁ!?」


 ボクはそのまま、ぽふっと飛び込んだ。


「ふにゃぁ……」


 うにうに。

 しあわせ。

 すると。


「……わふ?」


 お母さんわんわんが近づいてきた。

 くんくん。

 くんくん。


「食べられる!?」


「だいじょぶ……たぶん……」


 お母さんわんわんは、おふとんをじーっと見つめる。

 そして。

 くるん。

 丸くなった。


「寝たぁ!?」


「わふぅ……」


 すやすや。

 子わんわんたちも集まってくる。

 ぽすっ。  ぽふっ。  もふっ。

 みんな寝た。


「あれっ、なんでぇ!?」


「わんわんもおふとんが……好きなんだよ……」


「わんわんもお昼寝したいのね!」


「わんわん」


 リサとわんわんとキャッキャッしながら

 気づけば。

 森の中は、お昼寝大会になっていた。

 お母さんわんわん。

 子わんわん。

 リサ。

 ボク。

 みんな、ごろごろ。


「ふわぁぁ……」


 リサも眠そうだった。


「なんか……眠くなってきちゃった……」


「ねよう……」


「でも……木の実……」


「あとで……」


「うん……」


 ぽふっ。

 リサもおふとんへ倒れ込む。

 その瞬間。


「わぁ……」


「んー?」


「なんか元気いっぱいになったかも!」


 リサがぱっと起き上がった。


「さっきまで歩き疲れてたのに!」


「おふとん、すごい……」


「すごいっ!すごいっ!」


 リサも目をキラキラさせながら笑ってる。

 その頃。

 子わんわんたちは。

 リサのクッキーを、みんなでもぐもぐ食べていた。


「あっ」


「食べてる!」


「……まぁ、いっかぁ」


 リサは笑った。


「かわいいし」


「わん」


「わふぅ」


 平和だった。


   ◇


 帰り道。


「結局、木の実ぜんぜん探してないねぇ」


「いっぱい寝た……」


「目的変わってるよぉ」


 すると。

 後ろから、てちてち音が聞こえた。


「?」


 振り向く。

 そこには。

 さっきの小さくて真っ白な子わんわんが一匹いた。


「ついてきてる!?」


「わふっ」


「おうち帰るの?」


「わふ!」


「たぶん分かってないと思うよ!?」


 子わんわんは、しっぽをふりふりしていた。

 ボクは眠そうにしゃがみこんだ。


「……くる?」

「わふ!」

「よし、わんわん帰ろう!」

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