第三話 おふとんは、どこでも出せるらしい
村の広場は、今日もぽかぽかだった。
いい天気。
つまり。
「ねむ……」
「ユウトー!?」
ボクは木箱の上でぐらぐらしていた。
うとうと。
こっくり。
ふらっ。
「危ない!」
ぐらん。
ぼふっ。地面に落ちた。
「だいじょぶ……」
「だいじょぶじゃないよぉ!」
リサが慌てて駆け寄ってきた。
「またそんなところで寝て!」
「ここ、風が気持ちいい……」
「落ちて痛くなかった?ケガは?」
「うん、大丈夫だよ。落ちる前に起きる予定だったのに」
「起きれるわけないでしょ!ほら、起きて」
怒れた。ずれた帽子を直しながらボクはリサの手を取り起き上がった。
◇
今日は天気もぽかぽかで、村の広場でいっぱい集まって遊んでいる。
鬼ごっこ。
木の棒でちゃんばら。
お花つみ。
平和だった。
でも。
「おい、またユウトが寝てるぞー」
「ほんと寝てばっかだなー」
少し年上の男の子ガンツたち3人組がやってきた。
でも、悪い子ではない。
ちょっといじわるなだけ。
「ユウトー」
「んー……」
「そんな寝てばっかだとキノコ生えるぞー」
「あははっ、すでに生えてるかもしれないぞ」
「キノコなんて生えないよ!いじわる言わないの!」
リサがつっこむ。
男の子たちはけらけら笑った。
「リサはいっつもユウトのお世話してるよなー」
「わははっ、おーい、ユウト、いつも寝てばかりで赤ちゃんみたいだなぁ!」
「むぅ……」
リサは頬をふくらませる。
「こらー!ユウトにいじわるするなぁ」
「わわっ、リサが怒った!やっぱりユウトは赤ちゃんだぁ。わははっ」
ボクは眠そうに空を見た。
ぽかぽか。
ねむい。
「……おふとんほしい」
その瞬間だった。
ぼふんっ!!!
「「「うわぁぁぁ!?」」」
広場の真ん中に。
突然。
巨大なおふとんが現れた。
「でっか!?」
「なにこれ!?」
「おふとん……」
ボクは迷わず飛び込んだ。
ぼふぅ。
「ふにゃぁぁ……」
ふかふかでぬくぬく。しあわせだった。
うにうに。
うにうに。
最高。
「えっ、なにそれ!?」
リサが目を丸くする。
男の子たちも、おそるおそる近づいた。
「ほんもの?」
「おっき……」
「わぁ、オレも入れてー?」
「だめ……」
「どうして?」
「ボクのだから……」
「ケチくせーなぁ。いいだろ!?」
その時。
一人の男の子が、ひょいっと帽子を取った。
「じゃーん! ユウトの帽子あずかったー!」
「あっ」
「返してほしかったら追いかけてこーい!」
だだだーっ!
走っていく男の子たち。
「むぅ……」
でも。
ボクはおふとんから出たくなかった。
「リサぁ……」
「しょうがないなぁ!」
リサが追いかけようとした。
その瞬間。
ぽふん。
「へ?」
おふとんが移動した。
「「「えぇぇぇ!?」」」
なんと。
ボクごと、すぃーっと滑っていく。
「うごいた……」
「おふとん動いたぁ!?」
そのまま、のそのそ追跡開始。
おふとんは遅い。
とても遅い。
でも。
なぜか少しずつ追いついていく。
「なんでぇ!?」
「足が重いー!」
「眠くなってきたぁ……」
男の子たちはへろへろになっていた。
一方。
リサは元気いっぱい。
「待て待てー!」
「リサ、いつもよりすごく速くない!?」
ついに。
帽子を持っていた男の子がころんっと転ぶ。
「わぷっ」
「だいじょぶ?」
リサが駆け寄り、帽子を取り返しながらも心配してる。
「へーき……なんか急に体が重くなっただけ……」
ボクのおふとんが、すぃーっと到着した。
「ぼうし……」
「はい、取り返しといたわよ」
帽子返却。
事件解決だった。
「どうやって動いてたんだ今の……」
「ユウトのおふとん、すごくない?」
「……?」
「ふつうだよぉ」
ボクは首をふる。
「おふとんは、やさしい……」
「なにそれっ、ユウトは変な事言うわね」
男の子たちは顔を見合わせたあと。
「……ちょっとだけ入っていい?」
「しょうがないなぁ……」
数分後。
「ふにゃぁ……」
「ねむ……」
「これやば……」
子どもたちはみんな、おふとんの周りでごろごろしていた。
ぽかぽか。
ぬくぬく。
平和だった。
◇
夕方。
「ユウトー、帰るよー」
「んー……」
「起きてー」
「おふとん持って帰る……」
「そんなに大きいのにどうするの!?」
すると。
ぽふん。
おふとんが消えた。
「わっ、消えた!?」
「先におうち帰ったのかも……」
「そうだったらすごいね!」
ボクは眠そうに考えた。
「おふとんも……ともだち……」
「それは、違うと思うよ!?」




