第三十七話 とうもろこし収穫大戦争
夏の朝。
みーんみんみんみんっ!!
セミさんたちは、今日も全力だった。
「おはよー!!ユウト、起きてるー?」
リサが朝から遊びに来た。夏の太陽のようにいつも元気いっぱいだ。
「まだ朝なのにぃ」
おふとんの中に潜ろうとしたが、タオルケットを剥がされ、起こされた。
おひさまは、もうぴかぴか。空は真っ青。 今日は、とっても暑くなりそうだった。
◇
朝からお庭に出る。
「おはよー、ユウトー!リサー!」
畑のほうから、大きな声が聞こえた。
「ん?」
ユウトが、むくっと起き上がる。
「あっ、おとうさんだ」
お父さんは、大きく手を振っていた。
「今から村のみんなでとうもろこし収穫するぞー!」
「とうもろこし!!」
ユウトの目が、ぴかーんっと光る。
「いくーっ!!」
◇
畑へ行くと。
「わぁぁぁ」
とうもろこしが、いっぱいだった。
背の高い葉っぱ。緑の中から、黄色いひげがぴょこんっと出ている。
「すごーい!!」
リサも、きらきらしていた。
「いっぱいあるー!」
風が吹く。ざわわわわっ。とうもろこし畑が、波みたいに揺れた。
◇
「よーし」
お父さんが、一本つかむ。
「こうやってな」
ぐきっ。
ぽこんっ。
「おぉー!!」
とうもろこしが、とれた!
「簡単そう!」
「やってみるか?」
「やるー!!」
ユウトとリサは、とうもろこしへ飛びついた。
◇
「うりゃーっ!」
ぐっ。ぐぐぐぐっ。
「あれぇ!?」
とれない。
「むむむぅぅ!」
ユウトは、全力だった。
その横では。
「えーいっ!!」
リサも格闘していた。
でも。
びくともしない。
「あはははっ」
お父さんが笑う。
「ちゃんと、こう曲げるんだ」
ぐきっ。
ぽこんっ。
「わぁー!」
「すごーい!」
「ほらっ、やってろ!」
◇
ユウトは、もう一回。
「むむむっ。えいっ!」
ぐぐぐっ……ぐきっ。
ぽこんっ!!
「あっ!!」
とれた!
「やったぁぁ!!」
ユウトは、とうもろこしを高く掲げた。
「とれたー!!」
「わたしもー!!」
リサも、ぽこんっと収穫成功。
「すごいすごーい!!」
二人とも、大興奮だった。
◇
「うおぉぉぉぉ!!」
突然。
どたどたどたっ!!
「ガンツー!?」
奥の方からガンツたち三人組が突撃してきた。
「はははっ、手伝いに来てやったぞー!!」
「オレが一番採るぞー!」
「誰が一番多く採るか競争だ!」
「うおおおおおっ!!」
「いっぱい取るぞぉぉ!!」
ばばばばばっ!!
「あっ、ずるーい!!」
ユウトも慌てる。
「まけないー!!」
◇
「うりゃあっ!!」
ぽこんっ!!
「一本!」
「こっちは二本だー!」
「うわぁぁ!?」
ガンツたちは、すごかった。
ものすごい勢いで収穫していく。
「おらおらー!!」
ぽこんっ!ぽこんっ!
とうもろこしが、どんどん山になる。
「まけるぅぅ!!」
ユウトも必死だった。
「えいっ!えいっ!」
ぽこんっ!!
「あっ、とれたぁ!」
◇
その時。
ぶちっ。
「あっ」
リサのとうもろこしが、変なふうに折れた。
「きゃーっ!?」
ころころころっ。
とうもろこしが転がっていく。
「あーっ、逃げたー!!」
「あははははっ!!」
みんな、大笑い。
ミックが、転がるとうもろこしを追いかける。
「待てぇぇー!!」
でも。
どてっ。
「うわぁっ!?」
畑で転んだ。
「ぎゃははははっ!!」
「ミックころんだー!!」
◇
気づけば。
みんな汗びっしょりだった。
「はぁ。はぁ」
「いっぱいとったぁ」
とうもろこしの山が、どーんっとできている。
「すごいなぁ」
お父さんが、感心したみたいに笑った。
「今日は大豊作だ」
「やったー!!」
◇
そのあと。
お母さんたちが、大きなお鍋を持ってきた。
「茹でるわよー!」
「わぁぁっ!!」
とうもろこしが、お湯の中へ入っていく。
ぐつぐつぐつ。
湯気が、もわぁっと立ちのぼった。
「いいにおい……」
ユウトのお腹が、ぐぅぅぅっと鳴る。
「あははっ、もうお腹すいたの?」
「すいた!」
◇
やがて。
「できたわよー」
「やったぁぁ!!」
黄色くて、つやつやのとうもろこし。
熱い。 でも、おいしそう。
「いただきまーす!!」
がぶっ。
「んーっ、あまぁぁぁい!!」
ユウトの顔が、ぱぁっとなる。
「おいしー!!」
「しゃきしゃきするー!」
ガンツたちも、夢中でかじっていた。
「うめぇぇぇ!!」
「夏だなぁ!!」
◇
風が吹く。
ざわわわわっ。
とうもろこし畑がまた揺れた。
青い空。まぶしいおひさま。セミの声。
みんな汗だくだった。
でもなんだかとっても楽しかった。




