表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート転生-おふとんで『うにうに』するだけで今日も世界は平和だった-  作者: あーのるど
第1章 春は、ほのぼの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/36

第二十話 どくだみ茶

「ユウトー、今日はお手伝いお願いねぇ」


「んぅー?」


 お庭へ出ると、お母さんが大きなかごを持っていた。


「今日はリサちゃんの家族と、どくだみを摘みに行くのよ」


「どくだみ?」


「お茶にすると美味しいのよ」


「おちゃ!」


 ユウトの目が、ぱちっと開く。


「わふっ!」


 わんわんもしっぽをぶんぶん振った。


   ◇


「おはよー!」


「あら、おはようございます」


 ちょうど門の向こうから、リサたちもやってきた。


「今日は一緒にどくだみ摘みよー!」


「いっぱい摘むんだから!」


 リサは、やる気いっぱいだった。

 その後ろでは、リーナお姉ちゃんが麦わら帽子を押さえている。


「ふふっ、暑くなりそうねぇ」


 リサママも、大きな袋を持っていた。


「おぉー、みんなでやるんだ」


「いっぱい作るからねぇ」


 お母さんが笑う。


   ◇


 村の外れ。少し日陰になっている場所に、どくだみはいっぱい生えていた。


「わぁ……」


 緑の葉っぱ。そして、小さな白い花。

 風が吹くたび、葉っぱがゆらゆら揺れる。


「これがどくだみ?」


「そうよぉ」


 お母さんが、葉っぱを摘む。


「お花が咲く頃が、ちょうどいい時期なの」


「おぉー」


 ユウトは、しゃがみこんだ。


「なんか、ハートみたい」


「ほんとだー!」


 リサも並んでしゃがむ。


「かわいい葉っぱ!」


「わふっ」


 わんわんも、くんくんしていた。


   ◇


「でもねぇ」


 リーナお姉ちゃんが、くすっと笑う。


「ちょっと変わった匂いするでしょ?」


「ん?」


 ユウトは、葉っぱへ顔を近づける。

 くんくん。


「……おぉ」


 なんだか不思議な匂いだった。


「草のにおい?」


「うん。でも、お茶にすると飲みやすくなるのよ」


 リサママが教えてくれる。


「ふしぎー」


「いっぱい乾かすと、もっといい香りになるんだぞー」


 お父さんは、どんどん摘んでいた。


「お父さん、はやい」


「こういうのは慣れだからな!」


 ぽいぽいかごへ入っていく。


   ◇


「ユウトー、これ白いお花ついてる!」


「あっ、ほんとだ!」


 リサが見つけたどくだみは、お花がいっぱいだった。


「きれーい!」


「お花咲いてるの、かわいいよねぇ」


 リーナお姉ちゃんが笑う。

 白い花びらみたいに見える葉っぱが、風に揺れていた。


「なんだか、お星さまみたい」


「おぉー」


 ユウトは、じーっと見上げる。

 小さなお花。緑の葉っぱ。春の終わりの風。

 なんだか、のんびりしていた。


   ◇


「わふっ!」


「あっ」


 その時。わんわんが、葉っぱの山へ顔を突っ込んだ。


「わんわん!?」


 くんくん。ふんふん。

 そして。


「ぶしゅっ!」


「あはははっ!」


 くしゃみした。


「変な匂いだった?」


「わふぅ」


 しょんぼり顔。


「わんわん、お鼻びっくりしちゃったんだねー」


 リサが笑う。

 わんわんは、ぷるぷるっと顔を振った。


   ◇


「いっぱい取れたー!」


 気づけば、かごの中は葉っぱでいっぱいだった。


「すごぉい」


「これを干すのよ」


「ほす?」


「うん。お日さまで乾かすの」


   ◇


 おうちへ戻ると。


「わぁぁ」


 お庭いっぱいに、どくだみの葉っぱが広げられた。

 ざるの上。  むしろの上。  いっぱい並んでいる。

 風が吹くたび、葉っぱがさらさら揺れた。


「なんだか緑のじゅうたんみたい」


「ほんとだねぇ」


 リサと並んで眺める。

 お日さまはぽかぽか。乾いていく葉っぱから、少しずつ香りが変わっていく。


「さっきより、やさしい匂いになったかも」


「乾くと変わるのよぉ」


 お母さんが葉っぱをひっくり返す。


「お茶になるの楽しみー!」


「わふっ!」


 わんわんも楽しそうだった。


   ◇


 それから数日後。


「できたわよー」


「おぉー!」


 台所には、湯気がふわふわ立っていた。

 ことこと。お鍋の中で、どくだみ茶が煮えている。


「いい匂い」


 ユウトは、湯気を見上げる。

 草みたいだけど。なんだかぽかぽかする香りだった。


「はい、どうぞ」


 湯のみを受け取る。


「あったかい……」


 ふーっ。 ふーっ。

 少し冷ましてから、こくり。


「……おぉ」


「どう?」


「なんか、ほわぁってする」


「あははっ、ほわぁってなにー?」


 リサが笑う。


「でも、なんかわかるかも」


 リーナお姉ちゃんも、ふーっと息を吐いた。


「落ち着く感じするよねぇ」


「うんっ」


 お母さんたちも、にこにこしていた。


   ◇


 窓の外では、風が葉っぱを揺らしている。

 さらさら。 ぽかぽか。


「どくだみさん、おちゃになったねぇ」


「ふふっ、そうねぇ」


 わんわんは、みんなの足元でぺたんとしていた。


「わふぅ」


 なんだか眠そうだった。


「わんわんも、ほわぁってしてる」


「あははっ!」


 みんなで笑う。

 あったかいお茶。やさしい風。のんびりした午後。

 春は今日も、ぽかぽかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ