第十四話 はたけでミミズさんとうにうに
「ユウトー、こっちこっち!」
「んぅー……」
ぽかぽかのお昼だった。
今日はお母さんのお手伝いで、畑へ来ている。
「今日は草取りするのよ」
「おぉー……」
畑には、緑がいっぱいだった。葉っぱ。土。春のにおい。
「わふっ!」
わんわんも、てくてく歩いている。
「わんわん、畑入っちゃダメよー?」
「わふぅ」
ちゃんと分かってるのか、畑の端っこを歩いていた。
◇
「はい、ユウトはこの辺ね」
「うん……」
しゃがみこむ。
土は、あったかかった。
「ふかふか……」
「春になって元気になってきたからねぇ」
お母さんは、慣れた手つきで草を抜いていく。
ぷちっ。 すぽっ。
「おぉー」
ボクも真似する。
「ぬぬぬ……」
すぽっ。
「とれた!」
「上手上手」
なんだか嬉しかった。
◇
その時。
「……?」
土が、ぽこっ。
「おぉ?」
もう一回。
ぽこぽこ。
「土がうねうねしてる!」
土の中から、細長いものが出てきた。
「みみずさんだよ」
「みみずさん……」
茶色くて、ながーい。
うねうね。
「こうしてミミズを見るとユウトがおふとんの中でうにうにしてると似てるわねー」
あはは、と笑いながらお母さんが言う。
おぉー、確かに。みみずさんは土のおふとんで、うにうにしてるのかぁ。
「すごい、なんだか」
なんだか、ずっと見てしまう。
「土を元気にしてくれるんだよ」
「おぉー」
みみずさんは、ゆっくり進んでいく。
うにうに。うにうに。
「がんばってる……」
「ふふっ、そうねぇ」
◇
「わふっ!」
「あっ」
わんわんが来た。
くんくん。 くんくん。
「わんわん、みみずさんだよ」
「わふ?」
わんわん、じーっと見る。
みみずさん。 うにうに。
わんわん。 じーっ。
「…………」
「…………」
そして。
ぺちっ。
「あっ」
前足で、つんつんした。
みみずさん。 うににっ!
「わふっ!?」
びくぅっ!
わんわんが飛び上がった。
「あはははっ!」
お母さんが笑う。
「びっくりしたの?」
「わふぅ……」
ちょっと恥ずかしそうだった。
◇
そのあとも。
草を抜いて。 みみずさんを見つけて。 うにうに眺めて。
春の風は、やさしかった。
「なんだか眠くなってきた……」
「まだお手伝い終わってないわよー?」
「んぅ……」
土のにおい。風の音。鳥さんの声。
ぽかぽかだった。
「わふぅ」
気づくと、わんわんも隣でぺたんとしていた。
「わんわんも眠い?」
「わふ」
しっぽ、ぱたぱた。
◇
「はい、おしまい!」
「やったー、終わったね」
畑は、すっきりしていた。
「ユウト、いっぱい頑張ったわねぇ」
「みみずさんもがんばってた」
「ふふっ、そうね。仲良くなれた?」
「うん。うにうにしてた」
わんわんも満足そうだった。
「わふっ!」
帰り道。
春の風が、さらさら吹いていく。
「みみずさんって、ずっと土の中なのかなぁ……」
「そうかもしれないわねぇ」
「なら、おふとんでいっぱいだね」
「土をおふとんって言うの、ユウトくらいよ?」
でも。
土の中は、きっとあったかい。
なんだか。ちょっと気持ちよさそうだった。




