第十三話 わんわん大冒険
※わんわん視点の話です。
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「わふっ!」
ぽかぽかのお昼だった。
ユウトは縁側ですやすや寝ている。お腹には、ふわふわのタオルケット。
「すぅ……」
とっても気持ちよさそうだった。
「わふぅ」
わんわんは、その隣でぺたんと座る。春の風が、そよそよ吹いていた。
草のにおい。お日さまのにおい。ユウトのにおい。
ぽかぽかだった。
「わふ」
でも。その時。
ひらひら。
「!」
白いちょうちょが飛んでいった。
「わふっ!?」
ぴょこん!
わんわんは立ち上がる。ちょうちょは、ふわふわ飛んでいく。
「わふーっ!」
だだだっ!
◇
ちょうちょは、お庭を飛び越えて。村の道をふわふわ飛んでいく。
「わふっ!」
わんわんも追いかける。
てくてく。 たったった。 だだだっ。
風がふんわり気持ちいい。
花のにおい。 土のにおい。 パンのにおい。
「わふぅ……」
なんだかわくわくした。
◇
「おや?」
道の途中。ガンツ、ミック、ポルンの3人組と出会った。
「おい、あの犬、ユウトのわんわんだろ!!」
「間違いないよ、川の真ん中に取り残されたわんわんですよ。ふわふわして小さくてかわいいですねー」
「うんうん」
「わふっ!」
なでなで。
わんわんは、しっぽをぶんぶん振る。
「かわいいなぁ、じゃあな、わんわん。ちゃんとおうちに帰るんだぞ」
わふぅ。
ガンツは、くしゃっと笑った。
嬉しい。
でも。またちょうちょがふわっと飛んできては、さらに向こうへ飛んでいってしまった。
「わふっ!」
また追いかける。
◇
広場の近く。
ぴちゃん。
「わふ?」
小さな水たまり。
わんわんは前足を入れる。
ぴちゃ。
「わふ!」
もう一回。
ぴちゃぴちゃ。
楽しい。
しっぽぶんぶん。
その時。
「コケーーッ!!」
「わふぅっ!?」
びくぅっ!
近くのにわとりが羽をばたばたした。
「わ、わふ……」
ちょっと怖かった。
わんわんは、そそっと後ろへ下がる。
にわとりさん、少し怖いな。
◇
てくてく。
てくてく。
たったった。
たまに歩いたり、走ったり。
いっぱい歩いた。
春の風は気持ちよかった。
でも。
「……わふ?」
ふと。立ち止まる。
なんだか。少しだけ静かだった。
ユウトのにおいが、遠い。
「わふぅ……」
その時。
草むらが、がさっ。
「!」
のっそり。
白くて大きな、お母さんわんわんが出てきた。
「わふ」
「わふっ!」
お母さんわんわんだ。
くんくん。 くんくん。
やさしいにおい。
お母さんわんわんは、わんわんの頭をぺろっとなめた。
「わふぅ」
なんだか安心する。
でも。
「……わふ」
ユウトのことを思い出した。
ぽかぽかのお昼。あったかい縁側。すやすや寝てるユウト。
「わふっ!」
わんわんは、ぴょこんっと立ち上がる。
お母さんわんわんを見上げる。
「わふっ!」
そして。
だだだーっ!
走り出した。
◇
てくてく。 たったった。 だだだっ。
おうち。 おうち。
急いで帰る。
お日さまのにおい。
風のにおい。
そして。
「わふっ!」
いた。
縁側。
ユウトは、まだ寝ていた。
「すぅ……」
ぽかぽかの中。気持ちよさそうに眠っている。
「わふぅ」
わんわんは、ぴょこんっと飛び乗る。
ぽふっ。
ユウトのお腹の上。
「んぅ……わんわん……?」
ユウトが、半分寝ながらなでなでする。
「わふぅ」
しっぽ、ふりふり。
安心した。
春の風が、そよそよ吹く。
葉っぱがさらさら揺れる。
ぽかぽか。
とっても気持ちよかった。
「…………」
「…………」
「すぅ」
「わふぅ」
今日の冒険は、おしまい。
わんわんの好きな場所は、やっぱりここだった。




