ERROR 03 ダンジョンと隠し部屋
「……ダンジョン、か」
掲示板の前で、ルクスは一枚の依頼書を見つめていた。
“第一層・簡易調査(低危険度)”
薬草採取で手応えはあった。
だが、この力がどこまで通用するのか――確かめるには、やはりダンジョンが一番いい。
「よし、これでいくか」
⸻
ダンジョン入口。
ひんやりとした空気が肌にまとわりつく。
「久しぶりだな……一人で来るのは」
少しだけ苦笑しながら、ルクスは中へ足を踏み入れた。
石造りの通路。
等間隔に灯る魔石の明かり。
しばらく進むと、小さな魔物が現れた。
「ゴブリンか」
反射的に鑑定する。
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〈ゴブリン〉
レベル:2
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そして――
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〈ERROR〉
防御力:-40%(欠損)
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「……今度は弱体化か」
ゴブリンの体の一部に、あの“ヒビ”が見える。
だが今回は直さない。
「そのままでいいか」
軽く踏み込んで、一撃。
ゴブリンはあっさり倒れた。
「……バグって、強化だけじゃないんだな」
強くもなるし、弱くもなる。
つまりこの世界は――
常に“正常じゃない状態”が混ざっている。
⸻
さらに奥へ進む。
そのとき、ふと足を止めた。
「……なんだ?」
壁の一部。
何もないはずの石壁に、違和感があった。
よく見ると――
空間に、細い“線”が走っている。
今までの“ヒビ”とは少し違う。
もっと大きく、複雑な歪み。
「……これ、もしかして」
ルクスは手を伸ばす。
触れた瞬間――
バキッ
今までよりもはっきりした感触。
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〈ERROR〉
隠し領域:未解放
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「……は?」
次の瞬間。
壁が、音もなく消えた。
その奥に現れたのは――
小さな部屋。
「隠し……部屋?」
ゆっくりと中へ入る。
中は静まり返っていた。
中央には、古びた宝箱がひとつ。
「こんなの、見たことないぞ……」
慎重に近づき、鑑定する。
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〈古い宝箱〉
状態:封印
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そして――
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〈ERROR〉
解除条件:不要
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「……は?」
普通なら鍵や条件が必要なはずだ。
だが、今は違う。
「つまり……」
ルクスはそのまま手をかける。
カチッ
あっさりと、宝箱は開いた。
中に入っていたのは――
一冊の本だった。
「……本?」
取り出して鑑定する。
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〈???〉
不明
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だが、その下に。
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〈ERROR〉
名称:システムログ(断片)
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「システム……ログ……?」
意味がわからない。
だが、確実に言える。
これは普通のアイテムじゃない。
ページをめくる。
そこには、見たことのない文字列が並んでいた。
だが――
なぜか、読める。
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『対象:世界
状態:不安定
原因:未修復エラーの蓄積』
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「……は?」
思考が止まる。
さらにページをめくる。
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『修復権限:一部解放』
⸻
ルクスはゆっくりと本を閉じた。
そして、小さく呟く。
「……これ、俺が直す側ってことか?」
偶然じゃない。
この力も、この部屋も、この本も。
全部つながっている。
ダンジョンの静寂の中で、ルクスは静かに息を吐いた。
「……面白くなってきたな」
追放された鑑定士は今――
ただの冒険者ではなく、
世界そのものに関わる存在になろうとしていた。
まっすぐ^^




