ERROR 02 最初の依頼
街に戻ったルクスは、まっすぐに冒険者ギルドへ向かった。
「……仕事、あるよな」
追放された以上、収入は自分でどうにかするしかない。
ギルドの扉を開けると、いつも通りの喧騒が広がっていた。
だが、受付嬢はルクスの顔を見ると少し驚いた表情を浮かべた。
「ルクスさん? 今日はお一人で?」
「まあ、いろいろあってな。ソロで受けられる依頼あるか?」
一瞬だけ間があいたあと、受付嬢は掲示板を指さした。
「採取系なら……このあたりですね」
貼られている依頼はどれも簡単なものばかりだ。
薬草採取、素材回収、低級魔物の討伐。
「……じゃあこれでいい」
ルクスは一枚の依頼書を取った。
“回復草の採取(低危険度)”
⸻
数時間後、森。
「この辺のはずだけどな……」
回復草は珍しくないが、状態の良いものは見つけにくい。
だがルクスはしゃがみ込み、一本の草に手をかざした。
「鑑定」
⸻
〈回復草〉
品質:低
⸻
そして――
⸻
〈ERROR〉
本来の品質:中
成長阻害(微)
⸻
「……なるほど」
草の周囲を見る。
すると、わずかに歪んだ“ヒビ”が見えた。
地面の一部。
まるで見えない何かに押しつぶされているような違和感。
「これが原因か」
ルクスはそっとその“ヒビ”に触れる。
パキッ
⸻
〈ERROR 修正〉
⸻
その瞬間。
回復草の色が、わずかに鮮やかになった。
「……おお」
再度鑑定する。
⸻
〈回復草〉
品質:中
⸻
「品質、上がってる……」
つまり。
この力は武器や魔物だけじゃない。
素材すら本来の状態に戻せる。
ルクスは周囲を見渡した。
「……全部やればどうなる?」
次々と草を鑑定し、“ヒビ”を修正していく。
パキッ、パキッ、と小さな感覚が積み重なる。
しばらくして――
「……こんなもんか」
袋いっぱいの回復草。
そのほとんどが、最初より明らかに質が良くなっていた。
⸻
ギルドに戻ると、受付嬢が目を丸くした。
「えっ……これ、全部ですか?」
「ああ」
机に並べる。
鑑定の結果を見た受付嬢は、明らかに動揺していた。
「ほとんどが中品質……いくつかは高品質に近いものまで……?」
「そんなに珍しいのか?」
「いえ、普通はここまで揃いません……!」
少しの沈黙のあと、受付嬢は微笑んだ。
「こちら、追加報酬が出ます」
「追加?」
「品質に応じて買取額が上がるんです。今回はかなり多めになりますよ」
「……へえ」
思った以上の結果だ。
金を受け取りながら、ルクスは内心で考える。
(戦わなくても、やっていけるな)
いや、それだけじゃない。
この力は――
“価値そのもの”を変える力だ。
外に出て、空を見上げる。
「……この世界、思ってたより面白いな」
追放されたことすら、どうでもよくなるくらいに。
ルクスは次の依頼掲示板へと歩き出した。
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