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追放された鑑定士、世界の“バグ”が見えるようになった 〜無能扱いされた俺だけが、この世界のエラーメッセージを読める〜  作者: まままま


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ERROR 26 小さい違和感

ギルドの食堂、昼のざわめきがまだ残っている。


四人がテーブルに着く。


皿が並ぶ。


カインがパンを掴む。


「さっきの訓練で腹減ったぜ。」


ヴェルカが肉にかぶりつく。


リーシャがスープを覗き込む。


「こういうの久しぶりかも。」


ルクスが椅子に座る。


リーシャが肩をすくめる。


「さっきのは軽めにやったけど頭使うし。」


カインが苦笑する。


「さっきのが軽めってのが一番怖いけどな。」


リーシャが少しだけ視線を上げる。


「本番はあんなものじゃ済まない。」


一瞬だけ空気が沈む。


ヴェルカが気にせず肉を裂く。


「来たら壊す。」


ルクスがスープに口をつける。


その瞬間、手が止まる。


ほんのわずかな違和感。


スプーンの軌道が一瞬だけズレる。


元に戻る。


誰も反応しない。


ルクスだけが顔を上げる。


「……今、何かしたか。」


カインが首を傾げる。


「何もしてない。」


リーシャも首を振る。


「再現はしてない。」


ヴェルカが肉を飲み込む。


「何も感じない。」


ルクスがテーブルを見る。


さっきまでの訓練とは違う。


線は見えない。流れも薄い。


それでも、ズレている。


「……残ってる。」


リーシャの目が細くなる。


「どこ。」


ルクスが皿の縁に指を置く。


何もない場所。


「ここに違和感がある。」


リーシャが身を乗り出す。


「さっきと同じ種類だ。」


カインがパンを置く。


「訓練の残りじゃないのか。」


リーシャが即座に否定する。


「違う、あれは完全に消した。」


リーシャの表情がわずかに変わる。


「……外から来てる。」


空気が張りつめる。


「小さいけど、繋がってる。」


ルクスが立ち上がる。


「場所は。」


リーシャが目を閉じる。


呼吸を整える。


指でテーブルを軽く叩く。


わずかに歪みが浮かぶ。


細い線外へ伸びていく。


リーシャが目を開ける。


「街の外縁。」


カインが立つ。


「今から行くのか。」


ルクスが頷く。


「小さいうちに潰す。」


「…我、腹減ってるんだけど。」


ヴェルカがつぶやく。


リーシャが息を吐く。


「本番一歩手前ってとこかな。」


四人が席を離れる。


テーブルの端、ほんの一瞬だけ皿の影が遅れて動く。


外に出ると風が強い。


街の端へ向かうとだんだん人通りが減ってくる。


建物がまばらになり、地面の感触が変わる。


リーシャが足を止める。


「ここから先。」


空気が歪んでいるのがわかる。


ルクスが一歩踏み出す。


足を置いた瞬間、わずかに遅れて感触が返る。


「……ズレてる。」


カインが周囲を見る。


「何もないように見えるけどな。」


ヴェルカが前に出る。


「壊すか。」


「待て。」


ルクスが止める。


地面を見る。


一点ではない、広がっている。


「広がるタイプだ。」


リーシャが頷く。


「しかも遅延してる。」


ズレが走る。


少し離れた場所で地面が抉れる。


遅れて、今踏んでいる場所に違和感が走る。


カインが一歩引く。


「時間差か。」


「違う。」


ルクスが言う。


「順番が逆になってる。」


リーシャが笑う。


「いいね。」


ヴェルカが踏み込む。


抉れた場所へ一直線に拳を振り抜く。


何もない。


当たらない。


「外れた。」


「そこじゃない。」


ルクスが言う。


さっき抉れた場所の“前”を見る。


何もない空間。


だが、わずかに歪んでいる。


ルクスが踏み込んで手を差し込むと、遅れて流れがぶつかって止まる。


ズレが露出する。


「そこだ!」


ヴェルカが横から叩き込むと歪みが割れる。


カインが逆側から蹴り込んで逃げ道を潰す。


だが、完全には崩れない。


ズレが逃げ、別の位置に繋がる。


リーシャが眉をひそめる。


「分岐してる。」


ルクスが視線を走らせる。


一本じゃない。


複数が絡んでいる。


「……三つ。」


カインが低く言う。


「さっきより面倒だな。」


ヴェルカが笑う。


「面白い。」


ズレが同時に動く。


三方向に結果が飛ぶ。


地面が連続して抉れる。


ルクスが踏み替える。


一つ目の“前”に手を差し込んで止める。


同時にカインが別の流れを踏み外してズラす。


残り一つが露出する。


「今だ!」


ヴェルカが叩き潰す。


二つが崩れる。


最後の一つが逃げる。


ルクスがそれを追って踏み込み、流れの根元を掴んで引き裂くと全部が同時に消えた。


静寂。


風だけが残る。


カインが息を吐く。


「今の、完全に外に繋がってたな。」


リーシャが頷く。


「うん。」


視線が遠くを見る。


「これは前兆。」


ルクスが顔を上げる。


「何のだ。」


リーシャが答える。


「もっと大きいのが来る。」


ヴェルカが笑う。


「なら、叩く。」


ルクスが頷く。


「しっかり観測してからな。」


リーシャが小さく笑う。


「いいね。」


空気がわずかに揺れる。


ほんの一瞬。


四人の背後で、何もない場所に細い歪みが走る。

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更新遅くなってすみません。

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