ERROR 27 侵入
背後の歪みが細く伸びる。
誰も振り向かない。
一拍遅れて、地面の影がずれる。
ルクスの足の踏んだ感触が遅れて返る。
ルクスが止まる。
「……今、入ってきた。」
カインが振り向く。
「どこからだ。」
リーシャが空間を睨む。
「外じゃない、もう中にいる。」
ヴェルカが一歩引いて構える。
「見えないなら叩く。」
「待て。」
ルクスが止める。
周囲を見る。
さっき消したはずの流れが、別の形で滲んでいる。
細く、多い。
「一本じゃない。」
リーシャが頷く。
「侵入して、分散してる。」
カインが舌打ちする。
「追いきれる数か?」
ルクスが首を振る。
「追うな、集める。」
リーシャの目がわずかに細くなる。
「どうやって。」
ルクスが地面に触れる。
何もない場所に手を押し当てる。
遅れて抵抗が返る。
「ここが起点の一つだ。」
ズレが逃げようとする。
ルクスが押し込んで流れを歪めると、別の位置で歪みが強くなる。
「なるほどな。」
カインが動く。
わざと足を滑らせて流れを乱す。
逃げ道が一つに偏る。
ヴェルカがそこに踏み込んで拳を振り抜くと見えない壁に当たって鈍い音が返る。
「そこか。」
リーシャが地面を叩く。
細い線がいくつも浮かぶ。
さっきより乱れている。
「安定してない、でも繋がってる。」
ルクスが頷く。
「まとめるぞ。」
ルクスが一つ目の起点を押し潰すと、別の二点が強く光る。
カインがそこに走って踏み外すと流れが一点に集まる。
「今だ!」
ヴェルカが叩き込む。
歪みが弾ける、だが消えない。
残りが逆流する。
ルクスの背後で地面が抉れる。
カインが引きずって回避する。
「ルクス、後ろだ!」
ルクスが振り向く。
抉れた位置の“少し前”に違和感が残る。
そこに手を差し込んで引くと、ズレが一本に収束する。
「掴んだ。」
重い。さっきまでのとは違う。
奥に繋がっている。
リーシャが息を詰める。
「それ、本体に繋がってる。」
ヴェルカが笑う。
「なら壊す。」
「まだだ。」
ルクスが止める。
流れを見ている。
一本に見えて、その奥でさらに枝分かれしている。
「……三層。」
リーシャが小さく頷く。
「いいね、そこまで見えてるんだね。」
カインが横から蹴り込んで流れを固定する。
ヴェルカが別方向から圧をかける。
逃げ場がなくなる。
ルクスが中心を捻る。
一層目が剥がれる。
続けて二層目が露出する。
反発が強くなり、地面が軋む。
カインが踏み外して流れをずらす。
一瞬だけ芯が露出する。
「そこだ!」
ヴェルカが叩き潰す。
二層目が崩れる。
最後の一層が残る。
急に静かになる。
動かない。
ルクスが眉をひそめる。
「……来る。」
次の瞬間、結果だけが先に走る。
ルクスの腕が弾かれる。
遅れて衝撃が来る。
カインが引いて距離を取る。
「今のは違う。来てるよ。」
空気が張り詰める。
残った一層がゆっくりと形を変える。
点になる。
位置が固定される。
ルクスを見る。
何もないはずの場所が、確かに“見ている”。
「……観測されてる。」
リーシャが息を吐く。
「繋がったね。」
ヴェルカが笑う。
カインが構える。
「最悪だな。」
ルクスが手を上げる。
ズレに触れる直前で止める。
確かにそこにいる。
ルクスが踏み込む。
同時に三人が動く。
カインが流れを崩し、ヴェルカが圧をかけ、リーシャが構造を叩き出す。
ルクスが中心に手を差し込むと、今までと違う硬さが返る。
「……いる。」
そのまま引く。
空間が裂け、向こう側が覗く。
見えたのは、歪んだ“何か”。
次の瞬間、全部が押し返される。
四人の体が同時に弾かれる。
地面に叩きつけられる。
呼吸が詰まる。
ズレが消える。
何も残らない。
風だけが吹く。
カインがゆっくり起き上がる。
「……今の、完全に向こうから来てたな。」
リーシャが地面を見る。
「うん。」
指でなぞる。
何もない。
「でも、繋がりは覚えた。」
ルクスが立ち上がる。
「次は当てる。」
ヴェルカが笑う。
「壊す。」
リーシャが小さく頷く。
「次が本番。」
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更新遅くなってすみません。。。。。




