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追放された鑑定士、世界の“バグ”が見えるようになった 〜無能扱いされた俺だけが、この世界のエラーメッセージを読める〜  作者: まままま


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ERROR 24 謎の女

翌朝、ギルドの食堂は騒がしい。


皿の音と笑い声が重なる。


カインがパンをかじる。


「昨日のあれ、マジで現実だよな。」


ルクスがスープを飲む。


「現実だ。」


ヴェルカが肉を噛みちぎる。


「弱かったな。」


「いや負けただろ。」


ルクスがつっこむ。


ヴェルカが笑う。


「殺されてない。」


「相手が止めただけだろ。」


カインが息を吐く。


「観測不足、ね。」


ルクスがつぶやく。


「見えてる量が足りない.接続点も全部は拾えてない。」


その時、テーブルの端に音もなく誰かが座る。


気配が遅れてくる。


ルクスが顔を上げる。


黒髪を後ろで束ねている女だ。


装備は軽い、だが無駄がない。


視線がまっすぐルクスに向いている。


「ねえ、奥行ったでしょ。」


カインが眉をひそめる。


「誰だよ。」


女は肩をすくめる。


「見てただけ。」


ヴェルカが顔を寄せる。


「食うか?」


「やめとけ。」


ルクスが女を見る。


「何が見えた。」


女が少しだけ笑う。


「“ズレ”に触ろうとしてた。でも届いてなかった。」


カインが目を細める。


「見えてんのかよ。」


女が首を振る。


「見えてない。」


「でも、動きで分かる。」


女がテーブルに指を置いて軽く叩く。


その瞬間、パンの位置が一瞬だけズレる。


元に戻る。


カインが固まる。


「……今の何だ。」


「再現。」


女が言う。


「完全じゃないけど、似せられる。」


ルクスが身を乗り出す。


「名前は?」


「リーシャ。」


「何の用だ?」


「私も仲間に入れてほしいなーって思って。」


「なんでだよ。」


「ズレってさ、“繋がってる”でしょ。」


ルクスを見る。


「気づいてるよね。」


ルクスが答える。


「接続点か。」


リーシャが指を鳴らすと空気がわずかに歪む。


さっきよりはっきりしたズレがテーブルに現れる。


一点に集まり、そこから枝みたいに広がる。


「ここ。」


リーシャが一点を指す。


「ここを外すと、流れが崩れる。」


指をずらすと歪みが崩れて消える。


カインが息を吐く。


「……マジかよ。」


ヴェルカが前のめりになる。


「殴ればいいのか?」


「当てれればね。」


ルクスが手を伸ばす。


歪みに触れるとわずかに揺れる。


「……違う。」


リーシャがルクスを見る。


「観測が浅い。」


昨日と同じ言葉。


「分かってる。」


リーシャが頷く。


「じゃあ、やる?」


カインが顔をしかめる。


「ここでかよ。」


リーシャが立ち上がる。


「外の方がいい。」


ヴェルカが立ち上がる。


「面白そうだな。」


カインも立つ。


ギルドの外、人通りの少ない場所。


リーシャが地面に触れる。


ズレが浮かぶ。


今度は複数が複雑に絡む。


「昨日のよりは弱いはずだよ。構造は同じだけどね。」


リーシャが言う。


ルクスが前に出る。


「やるか。」


リーシャが少しだけ笑う。


「いいね。じゃあ壊してみて。」


ズレが動く。


流れが走る。


接続点が次々に変わる。


ルクスが踏み込む。


手を差し込み、外す。


ズレが一部崩れる。


ヴェルカが横から踏み込み、拳を叩き込むと歪みが弾けて消える。


カインがわざと足を滑らせて動きを乱すと、流れが一瞬だけ固定される。


「今だ!」


ルクスがその一点を掴む。


引く。


崩れる。


リーシャが静かに見る。


「……やっぱり。」


ルクスが振り返る。


「何だ。」


リーシャが答える。


「あなた、壊す側だね。」


風が抜ける。


「管理側に会ったでしょ。」


ルクスが頷く。


「……会った。」


なぜリーシャが管理者側を知っている。


「次は止めないよ。」


ヴェルカが笑う。


「上等だ。」


カインが息を吐く。


「マジで死ぬぞ。」


ルクスがズレの残りを見る。


「観測する。」


リーシャが頷く。


「そのまま続けて。見えるまで。」

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