ERROR 23 顔合わせ
影が動き、三人の位置が固定されたまま“結果”だけが落ちる。
ヴェルカの体が浮いて壁に叩きつけられる。
カインが地面を滑る。
ルクスはその場で押し潰される。
呼吸が止まる、動けない。
ズレが完全に支配している。
距離も位置も、自分のものじゃない。
ルクスが歯を食いしばる。
「……まだだ。」
核を強く握る。
影が目の前に立つ。
近いのに、触れられない。
腕が上がる。
だが振り下ろされない。
一瞬止まる。
視界に“線”が残る。
今までより長く、はっきりと。
消えない。
ルクスが見つめる。
「……見せてるのか。」
影が一歩動く。
その動きに合わせて、空間のズレが流れる。
一点に集まり、そこから広がる。
繋がっている。
ルクスが呟く。
「……接続点。」
カインが顔を上げる。
「何が見えてる。」
「流れだ。ズレは点で繋がってる。」
影が腕を振る。
今度はわずかに遅い。
結果が確定する前に、“流れ”が見える。
ルクスが体をずらす。
衝撃が肩をかすめる。
完全ではないが、外れる。
カインが息を呑む。
「……避けた?」
ヴェルカが笑う。
「やればできるじゃねぇか。」
ルクスは前を見たまま答える。
「見えたからだ。」
影がもう一度動く。
今度は速い。
だが、さっきより“分かる”。
流れが先に走る。
ルクスが一歩ずれる。
衝撃が空を切る。
カインが横から踏み込む。
わざと体を崩す。
ズレが乱れる。
その刹那にヴェルカが踏み込む。
拳が“外れる位置”に入る。
影がわずかに揺れる。
一瞬の静止、影が動きを止める。
そのまま、ゆっくりと後ろに下がる。
距離が一気に開く。
ノイズのような声が落ちる。
「 カンソク ブソク 」
短く、はっきりと。
ルクスが繰り返す。
「観測……」
影が再び構える。
今度は、さっきより複雑にズレる。
接続点が増える。
流れが速くなる。
ルクスが歯を食いしばる。
「……まだ足りないか。」
攻撃が来る。
結果が重なる。
ルクスが避けきれず、腹に衝撃が入る。
体が後ろに弾かれ、床に叩きつけられる。
呼吸が抜ける。
カインが叫ぶ。
「ルクス!」
ヴェルカが踏み込む。
だが位置が固定されて動けない。
拳が届かない。
影がゆっくりと近づく。
逃げ場はない。
ルクスが起き上がろうとする。
体が重い、視界が揺れる。
影が腕を上げる。
だが振らない。
そのまま、わずかにズレを動かす。
流れを“強調する”。
接続点がルクスの視界に焼き付く。
「……そこか。」
小さく呟く。
手を伸ばす、だが届かない。力が足りない。
影が一歩下がる。
距離が離れる。
ノイズが落ちる。
その瞬間、どこからか人間のようなナニカが現れる。
「管理者側か?」
ルクスは呟く。
「喰えるか?」
「多分まずいだろ……」
カインが答える。
「 オマエ、ナメテルノカ ? 」
人間の言葉でないはずなのになぜか理解できる。
「ひっ」
「お前は管理者側なのか?」
「 ソウダ。 」
「何が目的なんだ?俺達を殺そうと思ったら殺せただろ。」
「 オマエタチ、マダヨワイ。バグナオセナイ。ダカラキタエテヤッテル。 」
「なるほどな… でもなんで俺なんだ?」
「 …テキトー。」
「なんだよそれ…」
「まあいいじゃねえか。まだまだ強くなれるっってことだろ?」
「そうだな。」
話している横で何故かヴェルカは気まずそうにしている。
「どうした?ヴェルカ。」
「…なんでもない。」
「 オマエ、ナマエアッタノカ。 」
「……」
これはなにかありそうだが、後で聞くとしよう。
「とりあえず、この世界にはあとどのくらいバグがあるんだ?」
「 ワカラナイ。マイニチフエツヅケテル。 」
「そうか…」
「俺達を鍛えるってことは管理者側でも直せないバグがあるのか?」
「 ソウダ。ニンゲンシカナオセナイ。」
「管理者なのにな。」
「 イマココデコロシテモイイ。」
カインが素早く首を横に振る。
「俺達はこの辺で一旦帰ることにするよ。また話を聞かせてくれ。」
「 ワカッタ。 」
――――――
地上
「まじで殺されると思ったぜ。」
「あっちが本気で殺しに来ていたら俺達は今頃死んでただろうな。本当に運が良かった。」
「ヴェルカ、お前管理者側と昔何かあったのか?」
「…いろいろ」
地上に戻ってもヴェルカはまだ緊張している様子だ。
「とりあえず今日は休もうぜ。うまい飯でも食って寝よう。」
「そうだな。」
「…腹減った。」
更新遅くなりすみません。。。




