ERROR 19 朝
窓から差し込む光で目が覚める。
ルクスはゆっくり起き上がる。
体の重さは抜けている。
「……回復してるな。」
隣を見ると、カインはまだ寝ている。
静かな寝息だけが聞こえる。
ルクスは立ち上がって、軽く体を動かす。
違和感はない。
ポケットに手を入れる。
核に触れる。
ただの感触が返る。
「……何もなし。」
手を離す。
扉をノックする音が鳴る。
間を置かずに開く。
ヴェルカが入ってくる。
「起きたか。」
「起きてる。」
ルクスが答える。
ヴェルカがカインを見る。
「遅い。」
「寝てるだけだ。」
ルクスが言う。
ヴェルカが近づく。
そのままカインの肩を掴んで揺らす。
「起きろ。」
カインの体が揺れる。
「……うるせぇ。」
目を開ける。
「朝だ。」
「分かってる。」
カインが起き上がる。
頭を押さえる。
「静かに起こせ。」
「起きたからいいだろ。」
ヴェルカが言う。
三人で部屋を出る。
階段を降りると、食堂の匂いが広がる。
焼いたパンとスープの香り。
ヴェルカの足が自然に速くなる。
「肉。」
「ない。」
ルクスが即答する。
「あるかもしれない。」
カインが言う。
「聞くだけ聞こう。」
席に座る。
店主が水を置く。
「朝飯かい?」
「ああ。」
カインが頷く。
「三人分。」
ヴェルカが身を乗り出す。
「肉は。」
店主が笑う。
「少しだけなら出せるよ。」
「それだ。」
ヴェルカが即答する。
ルクスがため息を吐く。
「それも頼む。」
しばらくして料理が並ぶ。
パン、スープ、そして小さめの肉。
ヴェルカが即座に肉に手を伸ばす。
一口で噛みちぎる。
「……少ない。」
「朝だからな。」
カインがパンをちぎる。
ルクスもスープに手をつける。
温かさが体に広がる。
少し落ち着いたところで、カインが口を開く。
「で、どうする。」
「何がだ。」
ルクスが返す。
「ダンジョンの続きだよ。」
カインが言う。
「戻るのは確定だろ。」
ヴェルカが言う。
「奥が残ってる。」
ルクスが頷く。
「行く。」
カインがパンを口に運ぶ。
「問題は中身だな。」
「構造が崩れてた。」
ルクスが言う。
「道が変わる。」
「位置もズレる。」
カインが続ける。
ヴェルカが肉を食いながら言う。
「同じ場所に戻らない。」
「そうだ。」
ルクスが頷く。
「目印は信用できない。」
カインが指でテーブルを叩く。
「あと、あのガーディアン。」
「管理側。」
ルクスが言い直す。
「動きが外れなかった。」
「全部当ててきたな。」
カインが苦笑する。
「普通にやったら勝てない。」
ヴェルカが言う。
「だから壊した。」
「止めてからな。」
ルクスが補足する。
少し間が空く。
スープの音だけが続く。
カインが顔を上げる。
「もう一回やるなら、同じやり方でいけるか?」
ルクスは少し考える。
「通用はする。」
「ただし、そのままじゃ足りない。」
「強くなるってことか。」
「違う。」
ルクスが首を振る。
「ズレを増やす。」
カインが目を細める。
「意図的にか。」
「そうだ。」
ルクスが答える。
「向こうは最適で動く。」
「なら、最適が成立しない状況を作る。」
ヴェルカが笑う。
「面倒だな。」
「単純だ。」
ルクスが言う。
「予想できない動きを増やすだけだ。」
カインが息を吐く。
「それをやるのが俺か。」
「お前しかいない。」
ルクスが即答する。
ヴェルカが皿を空にする。
「じゃあ私は壊す。」
「それでいい。」
ルクスが頷く。
「止めて、崩して、当てる。」
カインが苦笑する。
「いつも通りだな。」
食事が終わる。
ヴェルカが名残惜しそうに皿を見る。
「足りない。」
「後でだ。」
ルクスが言う。
カインが立ち上がる。
「準備するか。」
「装備の確認と補給。」
ルクスが続ける。
ヴェルカも立つ。
「肉も。」
「それもだ。」
三人が並んで歩き出す。
朝の街は静かで、空気が澄んでいる。
ダンジョンはまだ遠い。
だが、次にやることは決まっている。
「行くぞ。」
ルクスが言う。
二人が頷く。




