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追放された鑑定士、世界の“バグ”が見えるようになった 〜無能扱いされた俺だけが、この世界のエラーメッセージを読める〜  作者: まままま


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ERROR 18 帰還

ダンジョンを出た瞬間、肺に入る空気が軽くなる。


「……外だな。」


ルクスが呟くと、ヴェルカが伸びをする。


「狭かった。」


骨が鳴る音が乾いて響く。


カインが肩を回す。


「とりあえず生還か。」


「一旦終わりだ。」


ルクスが答える。


ヴェルカが顔をしかめる。


「終わりじゃないだろ。」


「区切りだ。」


ルクスは言い直す。


「奥はまだある。」


カインが頷く。


「けど今は戻る。」


「腹減った。」


ヴェルカが即座に言う。


「そればっかだな。」


カインが苦笑する。


街に入ると、人の気配が一気に増える。


露店の匂いが風に乗る。


ヴェルカの足が止まる。


「肉。」


一直線に視線が刺さる。


「後だ。」


ルクスがそのまま歩く。


「先にギルド。」


「今食う。」


ヴェルカが動かない。


カインが間に入る。


「軽くでいいだろ。」


ルクスが振り返る。


ヴェルカと目が合う。


数秒、無言。


ルクスが息を吐く。


「……一つだけだ。」


「二つ。」


「一つ。」


「二つ。」


カインが笑う。


「間とって二つでいいだろ。」


ルクスが目を細める。


「……一つ半だ。」


「半分いらん。」


ヴェルカが即答する。


「二つ。」


ルクスが諦める。


「……二つだ。」


ヴェルカが即座に歩き出す。


串焼きの屋台の前で止まる。


焼ける音と脂の匂いが混ざる。


「全部。」


ヴェルカが言う。


「二本だ。」


ルクスが修正する。


店主が苦笑する。


「景気いいね。」


カインが金を出す。


「とりあえず三本。」


「増えてるぞ。」


ルクスが言う。


「俺の分だ。」


カインが一本受け取る。


ヴェルカが串を掴んで、そのまま噛みちぎる。


肉汁が跳ねる。


「……うまい。」


短く言う。


ルクスも一本受け取る。


一口噛むと、油の重さが広がる。


「悪くない。」


カインが笑う。


「生き返るな。」


三人とも、しばらく無言で食う。


人の声と足音が、周りで流れていく。


食い終わると、ヴェルカが満足そうに息を吐く。


「もう一本。」


「ない。」


ルクスが即答する。


「ケチ。」


「計算だ。」


カインが肩をすくめる。


「次はギルドな。」


ヴェルカが名残惜しそうに屋台を見る。


それでも歩き出す。


ギルドの扉を押すと、中の空気が少しだけ重い。


視線が集まる。


「戻ったか。」


誰かが呟く。


カインがそのままカウンターへ進む。


「依頼完了。」


タグを置く。


受付が確認して頷く。


「……奥まで行ったの?」


「行った。」


ルクスが答える。


それ以上は言わない。


受付もそれ以上は聞かない。


「報酬、すぐ出すね。」


「頼む。」


カインが下がる。


三人で壁際に寄る。


少しの静けさが落ちる。


ヴェルカが周りを見る。


「弱いのばっかだな。」


「声落とせ。」


カインが小さく言う。


ルクスは何も言わずに立っている。


ポケットの中で、核に触れる。


ただの感触しか返らない。


「……静かだな。」


ルクスが呟く。


「さっきまでがうるさすぎただけだろ。」


カインが返す。


ヴェルカが鼻を鳴らす。


「退屈。」


「そのうち慣れる。」


ルクスが言う。


受付が戻ってくる。


「お待たせ。」


袋が置かれる。


カインが中を確認して頷く。


「問題なし。」


ヴェルカが覗き込む。


「これ全部肉になるか?」


「なるな。」


カインが答える。


「全部は使わない。」


ルクスが言う。


「装備と補給を優先。」


ヴェルカが不満そうに目を細める。


「肉も補給だろ。」


「一部な。」


ルクスが返す。


カインが笑う。


「バランス取るぞ。」


ギルドを出る。


夕方の光が街を染めている。


人の流れがゆっくりになる。


ヴェルカが空を見上げる。


「明るいな。」


「外だからな。」


カインが答える。


ルクスはそのまま前を見る。


「……今日は休む。」


「賛成。」


カインが即答する。


ヴェルカが頷く。


「寝る。」


ダンジョンを離れて少し歩くと、人通りが落ち着く。


宿が並ぶ通りに入る。


カインが看板を見上げる。


「ここでいいか。」


「どこでもいい。」


ルクスが答える。


ヴェルカはもう扉の前に立っている。


「入るぞ。」


勝手に開ける。


中は静かで、木の匂いが強い。


カウンターの奥から店主が顔を出す。


「いらっしゃい。」


カインが前に出る。


「三人、一泊。」


「部屋はどうする?」


「二部屋。」


ルクスが即答する。


ヴェルカが振り返る。


「なんでだ。」


「分ける。」


「同じでいいだろ。」


「よくない。」


ルクスが切る。


カインが間に入る。


「まあまあ、二と一でいいだろ。」


ヴェルカが眉を寄せる。


「一は誰だ。」


「お前だ。」


ルクスが言う。


「なんでだ。」


「落ち着かないからだ。」


即答。


ヴェルカが数秒止まる。


「……別にいい。」


少し間を置いて答える。


鍵を受け取る。


「風呂は奥だよ。」


店主が指を向ける。


カインが頷く。


「助かる。」


部屋に入ると、簡素なベッドが二つ並んでいる。


ルクスは荷物を置く。


そのまま椅子に座る。


「……静かだな。」


カインがベッドに倒れる。


「そりゃな。」


天井を見たまま続ける。


「さっきまでがおかしい。」


ルクスはポケットに手を入れる。


核に触れる。


何も返ってこない。


ただの重さだけがある。


指を離す。


「反応なし。」


「いいことだろ。」


カインが目を閉じる。


「少なくとも今はな。」


ノックが鳴る。


間を置かずに扉が開く。


ヴェルカが入ってくる。


「風呂。」


一言だけ言う。


「行くぞ。」


カインが起き上がる。


ルクスも立つ。


浴場は湯気で白く曇っている。


水の音がゆっくり響く。


ヴェルカが先に入って、そのまま湯に沈む。


「熱い。」


言いながらそのまま動かない。


カインが肩まで浸かる。


「ちょうどいいだろ。」


ルクスも入る。


体の力が抜ける。


「……軽いな。」


「疲れてたんだよ。」


カインが言う。


ヴェルカが目だけ動かす。


「弱いな。」


「基準がおかしい。」


ルクスが返す。


しばらく、誰も喋らない。


湯の音だけが続く。


ヴェルカがぽつりと呟く。


「また行くんだろ。」


ルクスが目を閉じたまま答える。


「行く。」


「奥だな。」


「そうだ。」


カインが息を吐く。


「今度はもっと面倒だぞ。」


「分かってる。」


ルクスが短く返す。


ヴェルカが笑う。


「いいな。」


風呂を出る。


体が軽い。


三人で廊下を歩く。


ヴェルカが途中で止まる。


「腹減った。」


「さっき食っただろ。」


カインが呆れる。


「減った。」


ルクスがため息を吐く。


「少しだけだ。」


「二つ。」


「一つだ。」


「二つ。」


カインが笑う。


「結局増えるな。」


部屋に戻る。


簡単な食事を持ち込む。


パンとスープだけ。


ヴェルカが不満そうに見る。


「肉は。」


「ない。」


ルクスが言う。


「明日だ。」


ヴェルカが渋々食べる。


「……少ない。」


カインが笑う。


「我慢しろ。」


食べ終わると、静けさが戻る。


外の音が遠くに聞こえる。


ルクスはベッドに座る。


カインはすでに横になっている。


「寝るか。」


「寝る。」


ヴェルカが即答する。


自分の部屋に戻る気配はない。


ルクスが見る。


「戻れ。」


「面倒。」


「戻れ。」


数秒の沈黙。


ヴェルカが立つ。


「……分かった。」


ゆっくり扉へ向かう。


出る直前で振り返る。


「明日、肉。」


「状況次第だ。」


「肉。」


「分かった。」


ルクスが折れる。


ヴェルカが満足そうに出ていく。


扉が閉まる。


カインが目を閉じたまま言う。


「振り回されてるな。」


「分かってる。」


ルクスが横になる。


天井を見る。


核のことは、考えない。


今日はここまでにする。


「……休む。」


「そうしろ。」


カインの声が遠くなる。

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パチスロ化しないかなあ
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