ERROR 17 核
ガーディアンが三人へ同時に距離を詰める。
「来るぞ!」
カインが叫ぶ。
ヴェルカが前に出て正面を受け止める。
押し込みながら動きを止める。
ルクスは観察する。
「……やっぱりか」
小さく呟く。
「見えないだけで、干渉はできる」
カインが振り向く。
「マジかよ」
「当てるしかない」
短く返す。
「今だ、カイン!」
「任せろ!」
カインが横へ走り、急停止して逆方向へ切り返す。
さらに踏み込んでから引き、軌道を崩す。
ガーディアンが追う。
動きが遅れる。
「もう一段だ!」
ルクスが言う。
カインが体勢を崩しながら無理やり振り抜く。
読めない軌道。
ガーディアンの動きが止まる。
その瞬間、ヴェルカが踏み込み体ごと押し込んで姿勢を崩す。
「ルクス!」
「ああ」
ルクスが踏み込む。
狙いは一つ。
さっき掴んだ位置。
迷わない。
手を差し入れる。
「そこだ」
触れる。
確かな感触。
核。
だが浅い。
「ヴェルカ!」
「任せろ」
踏み込み、爪で外殻を引き裂く。
内部が露出する。
「カイン!」
「来い!」
カインが一直線に踏み込み、露出した一点へ振り抜く。
打撃がめり込み、構造が揺れる。
「今だろ!」
「……ああ」
ルクスがさらに踏み込む。
深く手を差し入れる。
核を掴む。
逃がさない。
「終わりだ」
三秒をそこに集中する。
核だけを見る。
「修正」
ガーディアンが崩れ、構造物が音もなくほどけていく。
黒い線が消え、空間が静かになる。
ルクスはその場に立ったまま、ゆっくり息を吐く。
ヴェルカが肩を回す。
「終わったな」
カインがその場に座り込む。
「はぁ……マジで死ぬかと思った……」
誰もすぐには動かない。
さっきまでの圧が嘘みたいに消えている。
ルクスは視線を落とす。
崩れた中心に、小さな核が残っている。
脈打っている。
ゆっくり歩いて近づく。
しゃがみ込み、手を伸ばす。
触れる。
今度は弾かれない。
静かに手の中に収まる。
「……これか」
カインが顔を上げる。
「それが元か?」
「たぶんな」
短く答える。
ヴェルカが覗き込む。
「喰えないのは分かる」
「触るな」
ルクスは核を握り直す。
まだ微かに脈打っている。
完全に止まってはいない。
「終わってないな」
小さく呟く。
カインが顔をしかめる。
「まだ何かあるのかよ」
ルクスは奥を見る。
通路は続いている。
さっきより静かで、何もない。
だが――
「ある」
はっきり言う。
「ここから先も繋がってる」
ヴェルカが笑う。
「いいな」
「でも、一旦戻る」
カインが即座に頷く。
「それがいい」
「準備もいるし、情報も足りねえ」
ヴェルカは少しだけ不満そうにする。
「今行かないのか」
「無駄に突っ込む意味はない」
ルクスは短く返す。
「分かってるだろ」
ヴェルカが小さく笑う。
「……まあな」
立ち上がる。
カインもゆっくり立ち上がる。
「帰れるよな、これ」
「来た道を戻るだけだ」
ルクスが前を向く。
「行くぞ」
三人が歩き出す。
静かな通路を戻る。
背後に残るのは、崩れた構造と消えた気配。
だが――
ルクスの手の中で、核がわずかに脈打つ。
まだ終わっていないと告げるように。




