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追放された鑑定士、世界の“バグ”が見えるようになった 〜無能扱いされた俺だけが、この世界のエラーメッセージを読める〜  作者: まままま


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13/19

ERROR 13 順番

空間が軋む。



俺の手の中で概念の断片が暴れる。



掴んでいるのに存在が安定しない。



頭に流れ込む情報が増える。



処理が追いつかない。



視界が歪み、足元の感覚が消える。



思考が崩れかける。



その時だった。



“それ”に走って剣を振りかざすカインの動きが止まった。



よく見ると輪郭はほとんど消え、霧のように崩れていく。



「ここまでか…。」



かすれた声。



「くそ……!」



時間がない。



「未定義なら、俺が定義してやる…!」



核の力をかり、掴んでいる未定義を固定しようとする。



だが弾かれる。



拒絶されてしまう。



「まだ弱いのか……!」



未定義はこの空間そのものであり、今までとは規模が違う。



この空間に干渉できる時間は残り少ない。



これ以上は、意識が崩れる。



ヴェルカが前で押し返す。



「早くしろ、ニンゲン!」



その瞬間、違和感に気づく。



「……全部やろうとしてるから足りないのか。」



歪み、空間、カイン。



全部同時に修正しようとしている。



「なら――」



息を吐き、思考を切り替える。



修正する順番を決める。



その瞬間、世界の見え方が変わる。



歪みに強弱が生まれる。



優先順位が見える。



「これだ……!」



一番強い干渉点だけに集中し、他は捨てる。



「まず一つ。」



触れて修正。



バチン、と弾け空間が一瞬だけ安定する。



「カイン!」



輪郭は戻るがまだ薄い。



だが確かに存在しているのはわかる。



「戻った……?」



「次だ。」



残り時間は短い、感覚で分かる。



次の歪みに手を伸ばす。



だがそのとき――



空間の奥で、異質な歪みが生まれる。



今までと違い、重く、濃い。



ヴェルカが目を細める。



「なんだ、あれは。」



歪みが形を取る。



黒い球体がゆっくりと脈打っている。



そして音が鳴る。



ズレている。



動きと一致しない。



一瞬遅れる。



いや、違う。



「時間が……ズレてる?」



次の瞬間、地面が抉れヴェルカの頬が裂ける。



「なにっ?!」



ヴェルカでさえ見えない攻撃。



遅れて球体から黒い何かが伸び、ヴェルカの方へと突き進む。



ヴェルカはなぜか避けない。



「どうした、なぜ避けない?!」



「避けられんのだ…。体が動かん…。」



おかしい、あのヴェルカに麻痺や催眠は効かないはずだ。



ヴェルカでさえ避けられなかった攻撃、時間のズレ。



「順番が逆なのか…?」



結果が先に来ていて、そのあとに過程が来ている。



理解した瞬間、思考が途切れる。



視界が揺れ、膝から崩れ落ちる。



「っ……!」



干渉が途切れる。



カインの輪郭がまた揺らぐ。



「ニンゲン!」



「大丈夫だ…。次で終わらせる……!」



俺は顔を上げ、黒い球体を見る。



やることは分かっている。



優先順位も見えている。



一番先に修正すべきもの、それは黒い球体そのものじゃない。


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