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追放された鑑定士、世界の“バグ”が見えるようになった 〜無能扱いされた俺だけが、この世界のエラーメッセージを読める〜  作者: まままま


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ERROR 11 未定義領域突入

一歩踏み込んだ瞬間、空気が変わった。


湿気が消え、音も消える。


「……ここ、本当にダンジョンか?」


カインが小さく呟く。


床も壁も確かに存在している。

しかし、距離感が明らかにおかしい。


近いはずの壁が遠く見え、遠いはずの通路がすぐそこにある。


ヴェルカが鼻を鳴らした。


「匂いがない」


「魔物もいないのか?」


「いる」


即答だった。


次の瞬間、視界の端で何かが動く。


振り向くが、何もいない。


「おい、今……」


カインが言いかけたその時、今度は正面に“それ”が現れた。


人型。


だが輪郭が安定していない。


腕が三本に見えたかと思えば、次の瞬間には二本に戻る。


「なんだよあれ……」


カインの声がわずかに震える。


ヴェルカは一歩前に出た。


「喰っていいか?」


「待て」


ルクスは即座に制止する。


視線を集中させる。


――見える。


だが、いつものERRORとは違う。


赤い線ではない。


そもそも、対象に“定義”が存在していない。


名前も種別もない。


「未定義……」


思わず口に出た。


その瞬間、“それ”が消える。


「消えた!?」


カインが叫ぶ。


「違う。消えたんじゃない」


ルクスは静かに言う。


「認識から外れただけだ」


そう言いながら、地面に手をつく。


個体ではなく、空間全体に意識を広げる。


――いた。


すぐ後ろ。


振り向かない。


代わりに、何もない空間へ手を伸ばす。


ぐにゃりとした感触。


「っ……!」


掴む。


そして、そのまま“修正”する。


弾けるような感覚とともに、空間が歪む。


次の瞬間、“それ”は形を持って現れた。


人型として固定される。


腕は二本。顔も定まる。


ただし、目はなかった。


「……これなら喰えるな」


ヴェルカが笑う。


一歩で間合いを詰め、拳を叩き込む。


重い衝撃音。


胴体が砕け散る。


しかし――


砕けたはずの身体が、ズレながら再び繋がる。


「壊れない?」


「壊れてる」


ルクスは即答した。


「壊れたまま成立している」


理解しがたい現象。


だが結論は一つ。


「完全に定義されていない」


だから、壊れても終わらない。


ヴェルカが小さく舌打ちする。


「めんどくさいな」


「核を探せ」


ルクスが言う。


「核?」


「こいつは単体じゃない」


視線を空間全体へ向ける。


歪みが点在している。


「空間に分散してる」


カインが息を呑む。


「マジかよ……」


その瞬間、周囲の景色が大きく歪んだ。


床が波打ち、壁が溶ける。


そして“それ”が増える。


一体ではない。


三体、五体と数が増えていく。


「増えたぞ!」


「違う」


ルクスは首を振る。


「最初から複数いた。ただ見えていなかっただけだ」


ヴェルカが楽しげに笑う。


「いいな。面白くなってきた」


牙を覗かせる。


「全部まとめて喰えばいいんだろ?」


「できるならな」


ルクスは淡々と答える。


「ただし、順番を間違えたら終わる」


空間がさらに歪む。


距離が消え、上下の感覚も曖昧になる。


未定義領域が、完全に牙を剥いた。


ルクスは目を細める。


「……検証開始だ」

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