ERROR 10 未知の領域
翌朝
街の門前
「早いな」
ルクスが言うと、カインは肩をすくめた
「そっちもな」
ヴェルカは何も言わず、周囲を見ている
「で、場所は?」
「こっちだ」
街の外れ
人気のない森の奥
やがて、小さな洞窟の入口が見えてくる
「ここか」
「ああ。元はただの低ランクダンジョンだ」
「元は、ね」
ルクスは小さく呟く
中に入る
空気が変わる
ひんやりとしているが、どこか重い
「……嫌な感じだな」
「分かるか」
カインが少し驚いたように言う
「まあな」
ヴェルカは一言
「濃い」
少し進む
すぐに魔物が現れた
小型のゴブリン
カインが前に出る
「これは俺がやる」
剣を振るう
一撃で仕留める
「……普通だな」
「だろ?最初はこんなもんなんだ」
さらに奥へ
数体の魔物を処理しながら進む
だが
「……」
ルクスは足を止めた
「どうした」
「今、壁見たか」
「壁?」
カインが振り返る
さっきまで通ってきた通路
「……あれ?」
一本道のはず
だが、分岐がある
「さっきこんなのなかったぞ」
「だよな」
ルクスは近づいて確認する
触れる
違和感
〈ERROR〉
構造不整合
「……やっぱりか」
「なんだそれ」
「このダンジョン、構造が変わってる」
カインの表情が少し引き締まる
「マジかよ……」
ヴェルカは淡々と言う
「壊れている」
分岐の先を見る
暗い
奥が見えない
「……行くか?」
カインが聞く
ルクスは少し考える
「まだやめとく」
「慎重だな」
「様子見だ」
さらに進む
本来ならボス部屋に近い位置
だが
空気が明らかに違う
重い
息が少ししづらい
「……ここだな」
カインが小さく言う
「“変な階層”ってやつ」
目の前には、階段
だが
見たことのない形状
黒く歪んでいる
「……普通じゃねえな」
ルクスは近づく
視界に、はっきりとした“ヒビ”が見える
今までで一番大きい
〈ERROR〉
未定義領域
侵入推奨:不明
「……未定義ってなんだよ」
「入るか」
ヴェルカが即答
「早いって」
カインが苦笑する
「でも、ここまで来て引くのもな……」
ルクスは階段を見つめる
手の中の結晶が、じわりと熱を持つ
「……反応してるな」
「行く理由は十分」
ヴェルカが言う
少しの沈黙
そして
「……よし」
ルクスは一歩踏み出す
「無理はしない。やばかったら即撤退」
「了解」
「問題ない」
三人は階段の前に立つ
その先は、完全な闇
今までとは明らかに違う領域
「行くぞ」
足を踏み入れた瞬間
空気が、変わった




