表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/39

13話 ど、どうしたんですか?

「大丈夫?雪待くん・・・」


水奈月さんは硬直する僕に、そう声を掛けてきた。いや、誰の所為だと思っているんですか?あなたですよ、あなた・・・。

僕の人生に於いて、こんな事態が起きるなんて誰が予想しただろうか。

ほっぺとはいえ、女の子にちゅーをされるなんて。終末が近いのかもしれない。


「はい・・・」

水奈月さんの唇は暖かく、凄く柔らかかった。恥じらった顔も、可愛すぎてやばい。と、思っても何も出来ないヘタレです、僕は。


「でも、嬉しい。」

そうですか、それは良かったですね。

「ね、見て。」

と、嬉しそうにプリントされた写真を見せてくる。ばっちり、水奈月さんが僕の頬にキスをしていた状態が収められていました。

う・・・どう反応すればいいんだ。

この場から逃げ出したい。恥ずかしすぎる。

「半分あげるね。今ハサミで切るからちょっと待って。」

いるかぁぁぁぁっ!

そんなもん誰かに見られたらどうすんだよっ!?

もう外を出歩けないじゃないか!

備え付けのハサミで切った写真を、水奈月さんは僕に渡してきた。もちろん拒否、なんて出来るわけがないので受け取る。家に帰ったら速攻封印確定。


それから少し、ゲーセン内を回ったのだけど、あまり記憶がない。

頬にちゅー。

頬にちゅー。

頬にちゅー。

うぜぇっ!

僕の頭の中を這いずり回るその言葉に、脳内で怒鳴ってみるが、嘲笑うようにすり抜けて何時までも回っていた。


「そろそろ帰ろうかな。」

十二時を廻ったところで、水奈月さんがそう言った。

「そう・・・」

「森高くんに返してあげないと。」

僕は祐二の所持品じゃないっての。と、呆れたところでパーカーの袖が引っ張られる。引っ張ったのは水奈月さんだっが、顔は道路に向けて僕の方を見ていなかった。

「あの、僕、何かしました?」

その態度に何かしてしまったかと聞いてみたが、直ぐに返事はない。どうしようか困り始めたところで、水奈月さんが口を開いた。

「雪待、くん・・・」

「は、はい。」

「私とこの先も、このまま付き合って、くれる?」

何故か、そう言った水奈月さんの声は震えるように、弱々しかった。何かを、怖がるように。

「はい、僕で、よければ。」

意味が分からなかったが、僕が拒否する理由はないので、素直に返事をした。

「良かった。」

顔を上げた水奈月さんは笑顔だったけど、瞳は少し潤んでいるように見えた。

「ど、どうしたんですか?」

「ううん、何でもないの。ありがとう。」

聞いてはみたけど、答えは無い。何故、突然そんな事を聞いて来たのか、分からないままだった。

「じゃぁ、私は帰るね。」

笑顔で言った水奈月さんが、背中を向けて歩き始める。

「水奈月さん!」

その姿を見た僕は、僕自身でも驚くほどの声で呼び止めていた。何故呼び止めたのかは自分でも分からない、勝手にそうしていたんだ。

「お昼、食べてから、に、しませんか?」

自分からそんな言葉が出た事に、驚きしかない。何故僕は、そんな事を言ったのか。

「はい。」

ただ、笑顔で返事をしてくれた水奈月さんの顔は、嬉しそうでとても綺麗だった。




ゼット ≪おいAlice、何をぼけっとしてるんだ≫

Alice ≪ん、ああごめん≫

DEWをプレイしながら、祐二がチャットで話しかけてくる。どうやらぼーっとして、魔獣の攻撃を喰らっていたらしい。

あ、死んだ。

RINA ≪大丈夫っ?Alice・・・≫

いや、あんたの所為なんですが・・・。

拠点に戻され、また戦いの場に戻る準備をしながら、内心でそう言った。今日のデートでいろんな事がありすぎて、思い出しては恥ずかしさが込み上げてきて固まる。

でも水奈月さんを責めるのは間違っている。それは僕だって分かっている。免疫が無い、なんて言い訳でしかない事も。

Alice ≪ごめん、ちょっと明日の授業の事を考えちゃってたわ≫

ゼット ≪嘘だな≫

RINA ≪嘘ね≫

なんだその息の合った突っ込みはっ!

Alice ≪お前ら・・・≫

ゼット ≪狩り中の妄想禁止な≫

RINA ≪まさか、私との・・・≫

ちょっと黙れよアホども。

Alice ≪明日覚えておけよ!≫

ゼット ≪ぶw≫

RINA ≪あはは≫


こうなったら本気で、明日は学校でなんか仕返ししてやろう。祐二限定で。


>頭に黒板消しを落とす。

 校門で水を撒いて、間違った振りで掛ける。

 下駄箱に偽のラブレターを入れて様子を見る。

 椅子に音の出るクッションを設置する。


お、来た来た。こういうのを待っていたんだよ。どうせ降ってくるなら、こういう方がいいに決まっている。

って、古典過ぎて使えねぇよ馬鹿。

>机の上にバナナの皮を置く。

一番簡単で手間いらず。そしてちょっと嫌な感じの仕返し、これも古典だけどこれで行こう。 


そんなこんなで、僕の日曜は一瞬で過ぎ去って行った。

チャットはグループチャットにしたので、僕ら三人しか会話は見れない。内容をそんなに気にしなくていいのは楽だし、何より楽しかった。

僕の扱いは、何故か酷いんだが・・・


翌日の朝、早めに学校に行った僕は、朝食のバナナを学校で食べた。ちょうど家にあったんだよね、うちのボスは仕事が出来るぜ。

「髷の置き忘れだ、良かったな見つかって。」

登校した祐二がそう言って、僕の頭の上にバナナの皮を置いた。ってか髷ってなんだよ、取り外し可能な髷って何処に需要があるってんだ。

「いやぁ、僕のじゃないよ。」

とりあえず知らばっくれる。すると、祐二が僕の耳元に顔を近づけて来た。

「数音さ、水奈月と付き合ってるの言っちゃうぞ。」

「なんで知ってんだよっ!?」

驚いて椅子から立ち上がり、思わずそう言ってしまった。教室内に登校しているクラスメートが僕に視線を向けるが、何時もの祐二との会話だと分かると興味を失くしていく。

そんなこ・と・よ・り、だ。何故祐二は知っているんだ?まさか水奈月さんが?

いや、今はそれよりあのニヤニヤ顔をどうにかしてやりたい。

「ああ、今数音が言った事で知った。」

はぁぁぁぁぁっ!!

今何をしれっと言いやがった馬鹿祐二!

くそ、計られたっ!

バナナの皮は、超特大ブーメランとなって僕に戻って激突した、そんな感じだった。

満面の笑顔の祐二に、それ以上言葉が続かない。どうしよう。

ついに、知られた・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ