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鼓星  作者: 吉川元景
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厳島の戦い―食べることは生きること

湯気のたつ味噌汁、焼き握り、漬物。変わり映えのしないもののはずなのにどこかいつもより美味しい気がする。

そう思いながら3人で朝餉をいただいていた。

兄は雫とニコニコと側近の赤川殿や国司殿の話で盛り上がっている。

出会った頃は自分たち家族しか知らなかった貴方は、いつの間に赤川殿や国司殿等と仲良くなったのかと言いたくなったが、自分が小早川家の立て直しや水軍国衆との関係構築をしておりなかなか郡山に顔を出せなかったせいかとも思い、ただニコニコしている雫殿を眺めていた。

「ところで雫、今朝は顔色が良くなって安心したぞ。昨夜は景のところで、よく眠れたか?」

その瞬間、天幕の中の空気が波紋も残さない湖の水面のように静かに止まった。

何を言い出すのだ、兄上は。

「はい!景様は暖かくて…なんだか安心して寝てしまいました!」

へへっと笑っている雫を見て、嬉しい想いが込み上げるが、それをなんとか顔に出さないように飲み込んだ。

「景も昨晩はよく休めたか?」

寝れたのかではなく、休めたかと聞く兄は、きっと気を使って寝ていたことを隠してくれているのだ。

「はい。私もよく休めました。」

それを聞き

「それは何より。」と嬉しそうに答えていた。

兄上は雫を日頃独り占めしているというのに、私が顔を出した際には雫との時間を作ろうとしてくださる。

兄上は雫を自分のものにしたいのか、どうなのかよく分からない。

本当は今すぐにでも三原に連れ去って手元に置いておきたいなどと思っているとは気がついて無いであろう。

そんなことを思いながら、黙って味噌汁を啜った。

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